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君が幸せであれば  作者: 神崎寧々
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変化の始まり

分かっていた。


ずっと一緒にいたけど、百合が持つ「好き」の意味と

私がもつ「好き」は違うということ。


それでも、良かった。

百合の持つ「好き」も割合は違えど、私も持っていた。


そばに居られるのなら、それで良かった。


「ゆーめ、聞いて!」


明るく笑顔で、飛んでくる百合に

これからも、変わらず笑って側にいられるなら。


食堂に座って、注文したカレーを食べようと口を開けると、

背中に衝撃が走った。

声と、行動で簡単に判別できる。


「なぁに、いいことあったんだ。」



いつのまにか、首に回っていた腕を外しながら言葉を促すと、照れ笑いをしながら百合は隣の席に腰掛ける。



「えへへーー、私、彼氏ができましたーっ!」



ピースで報告する百合の言葉に、少し動揺が走る。



「……あれ?今年入ってから何人目になるんでしょうか?」


「やだ、言わないでよ夢〜〜〜〜!」



焦る百合をよそに、再び食事を再開する。

横で、いろいろ言っている百合の言葉は入ってこない。

平然とした態度を貫くが、心の中は真っ暗だ。



「もーー。聞いてるの?夢!彼氏ができても、私たちは変わらないよ!ねっ!」



黙々と食べていたカレー皿から、視線を百合へ向ける。

満面の笑でこちらを見ている百合が目に入ると、そのまま、またカレー皿へと戻す。



「……暑」


「ん!?暑苦しいとカレーの熱いを掛けたの!?ねぇ!?」



変に頭が回っているが、大方外している。

照れる顔を背けて、水を飲む。


ーーー人の気も知らないで。



そりゃそうだ。伝えてないんだから。

食べ終わった食器を持つと、そのまま席を立つ。


「次の講義始まるから、行こう」


「だねぇ〜〜。あ、お茶買いたい。


「はいはい。」


変わらないいつもの光景。

ずっと側に居られると思ってた。


そもそも、気分が変わりやすい百合は

私の一瞬の落ち込みも虚しく、数ヶ月で彼氏と別れていた。

長続きしない、彼女の恋。


今までだってそうだった。

彼氏ができては、別れて、そして、出会ってを繰り返す。


その性質にあぐらをかいていたのだろう。


わすれもしない。

人恋しくなる、晩夏。


秋が近づいてきていた9月末。


「夢!」


呼び止められて振り返ると、走ってきたのか百合が肩で息をしながら顔を上げた。



「わ、わたし…す、好きな人が出来た。」



その表情に目を見張る。

いつもと違う、キラキラとした表情。


「そ、そう…」


「バイト先の先輩でね!!」


テンションの上がった百合の話に相槌を打ちながら、心の端に引っ掛かったモヤモヤを押し込める。


変わらない。

いつもの感じになる。


嫌な予感を感じながら、百合の話を内容半分で流していた。


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