おめでとうが言えなくて
青い空、白い雲
分かりやすいくらい、キレイな晴れた空。
高らかに響き渡る教会の鐘。
目の前にはたった今、夫婦の誓いを済ませ
晴れて新婦となった、大事な親友の幸せな笑顔。
おめでとう!幸せになってね!
参列者が主役の二人に声をかける。
恥ずかしそうに照れながら、でも嬉しそうな表情に
私も笑みを浮かべる。
退出する二人が参列者の間を歩いていく。
フラワーシャワーを握ったところで、目の前に彼女がやってきた。
目があった瞬間、手に持っていた花を上へと飛ばす。
「最高にキレイだよ。」
そう短く伝えれば、ピースサインを作りながら、
満面の笑みで「ありがとう」が返ってきた。
「いやー、百合キレイだね!私ちょっと感動しちゃった……って、夢!?あんた、そんなに感動したの??」
「え?」
去っていく彼女を見つめていると、隣にいた友人からの言葉に、そっと頬に触れると、目から涙が溢れていた。
「っ……!?な、なんか感極まっちゃった、、」
「まぁ、そうだよねぇ。夢は百合と1番仲良かったし。」
そう言いながら、肩を叩いてくれる。
「この後、集合写真撮るって言ってたし、化粧直してきたら?」
まだ時間あるっしょ。と言われ、手に持ってたハンカチで涙を拭うと、その言葉に甘えることにした。
「だね、ちょっと直してくるわ。」
そっと列を抜け、バタバタと準備をしているスタッフさんに、化粧室の場所を聞くと、そのままトイレに駆け込んだ。
「……っ!ふっ………ゆ……ゆり……うっ……」
ドアを閉じると同時にこみ上げる嗚咽。
止まらない涙はそのまま、頬を伝う。
こみ上げるのは百合と出会ってから、長く長く続いた友情と、一方的な恋心。
分かっていた。バレないようにしていたのは私だ。
気持ちも伝えてない。伝えようとも思わなかった。
それでも、百合のウェディングドレス、幸せそうな顔。
その姿を見ただけで、胸が締め付けられる。
「百合………っ……」
ただ、思い出す。
二人で過ごした、大事な思い出がどんどんと蘇っていく。