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異世界ゾンビ戦記  作者: 餅の米
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第7話 ノープラン

「走れ!早くしないと死ぬぞ!」



「そんな事を言ったってこれが精一杯ですよシャルさん!」



全力疾走をしながらレオナは後ろを振り向く、するとそこには20は軽く超える死人の群れがレオナ達4人を追いかけ全力疾走していた。



「おいレイオス!お前残弾は!?」



「ねぇよバカ!お前がくだらねぇ挑発すっからだろ!」



全力疾走をしながらシャルを間に口論するレイオスとレオナ、何故こんな状況になったか、それは全てレオナの一言が原因だった。



今から遡ること10分前、シャルが十字路の真ん中で死人の数を確認している中レイオスは相変わらずレオナの事が気に入らない様子だった。



「子供が軍人ねぇ……能力者だかなんだか知らないけど子供じゃねぇ……」



ここ数分同じ事をずっと言ってくるレイオスにレオナはかなり頭に来ていた。



元より馬鹿にされる事は慣れていたが何故かレイオスは別だった、そしてレオナはある提案をレイオスに持ち掛けた。



「そこまで馬鹿にするなら試すか?お前と俺、どちらが管制室に着くまでに死人を殺せるか」



レオナのその言葉にレイオスはそれを予想していたかの様にかなりの速さで小銃を構え死人を撃ち抜いた。



「良いだろう、早くしないと死人が無くなるぜ?」



「上等だよ糞野郎!!」



そして挑発して逆にレオナが挑発に乗った結果、考え無しに出て来た死人を撃ち続け弾は無くなり死人は音に反応して大量に集まり今のこの大量の死人から全力疾走で逃げると言う状況に至っていた。



「シャルさん大丈夫ですか!?」



セレナを背負って走るシャル、いくら女性とは言え50キロはある筈、それを抱えて10分以上走り続けているとそろそろ限界が来てもおかしくなかった。



「まあまあにキツイかな……」



そう言い苦笑いをしながら苦しげな表情をするシャル、少し時間稼ぎの必要があるようだった。



「それじゃあ少し時間を稼ぎます……少しペースダウン出来る位にしか稼げないと思いますけどね」



レオナは笑ってそう言い刀を抜くと刀を構えた。



死人は幸い先頭の一体と後続の差が5m程あった。



レオナは体勢を低くして死人に突っ込むと先頭の死人の足を斬り転ばせた。



通路の横幅は人が3人通れる程、そして死人を横に転がせば奴らは飛ぶ事は出来ない、少しだけだが後続を転ばせた時間稼ぎが出来る……筈だった。



死人は問題なく横に転がり後続の死人を転ばせた、しかしその時に後方約150m程にとてつもなく嫌な物がレオナの視界に映ってしまっていた。



特別種だったーーーーー



その影を確認した瞬間レオナは死人を一体も殺さずに刀をしまい全力で走りながらシャル達に叫んだ。



「不死の死人だ!!!全力で逃げろ!!!」



「不死の死人?どう言う事なんだ?」



レオナがシャル達に追いついたタイミングでシャルはレオナの言った言葉の意味を聞いた。



「つまり死なないって……」



レオナは特別種の存在をシャルに説明しようとしたが途中で言葉を止めた。



不死の死人、この言葉はかなりおかしかった、死人は基本不死に近い存在……ならばあの本当に不死の死人をどう説明すれば良いのかレオナには分からなかった。



「どうしたんだレオナ?」



「取り敢えずやばい個体が居るってことです」



そう言いレオナは後ろを振り向く、不幸中の幸いと言うべきか特別種が転んでいた死人を踏み潰し死人の数が8体程に減っていた。



「足は遅い、動きはノロマ、あんな奴にビビるなんてお前の実力も底が知れるな」



後方でかなりゆっくりめのスピードでこちらに迫ってこようとしている特別種を見てレイオスは笑いながら言った。



「あいつはそう言った点ではおそるるに足らない、問題はどんだけ頭を撃ち抜いても死なないって言う事なんだよ」



真剣な表情でそう言うレオナにレイオスの表情が少し強ばった。



死人は基本頭が弱点、頭以外はどれだけ切り刻もうが撃ち抜こうが全くの無意味、頭さえ残っていれば死人は死なない。



稀に再生する個体も居るが大抵は再生はしない、問題はあの特別種がどちらかだった。



少し特別種に近付くためにスピードを落とし後ろを振り向いてレオナは足を確認するが傷跡はあまり良く分からなかった。



「こちらシャル!残り100m至急扉を開けてくれ!」



シャルのその叫び声にレオナは前を見ると重圧な金属製の2枚扉がそびえ立っていた。



大きさはおよそ7、8m、恐らく銃弾を撃ち込んでも傷すらつけられない程に硬く分厚いのは離れていても分かるほどに扉は大きかった。



扉までの距離が段々と近づいて行く、しかし扉は開く気配がしなかった。



「シャルさん大丈夫なんですかこれ?全く開く気配がしないんですけど……」



「もうそろそろ開くはずなんだけど……」



そう言い無線機をじっと見つめるシャル、まだ開きそうにはなかった。



後方を確認すると一番近い死人で約50m、レオナはゆっくりと後ろを振り向き刀を抜くと歩き出した。

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