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異世界ゾンビ戦記  作者: 餅の米
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第6話 性格の不一致

死人だらけのおぞましい通路を抜け扉を開けると天井に電球だけが吊るしてあり、部屋の中央に机と椅子が三つ置かれた休憩室見たいな場所があった。



机の上にはレオナとセレナの服が雑に置かれ無線機が立てられていた。



レオナは一先ず服を着るとセレナにも服を着せ無線を持った。



「こちらレオナ、シャル一等兵応答を」



そう言いレオナは無線機を離しシャルからの反応を待つ、すると30秒ほど立ってから無線機に一つの反応があった。



「こちらシャル一等兵、ここ数時間応答が無かったからどうしたものかと思ったが無事の様で安心した、それよりレオナ現在地は?」



「かなり殺風景な休憩室と思われる場所に居ます、場所が分からないので管制室までのナビゲートをお願いしたい」



「休憩室……恐らく管制室の近くだ、こちらから迎えに行く、動かず待機しててくれ」



シャルはそう言い無線を切った。



レオナは死人が居た方の扉の鍵を締めるとセレナを地面に寝かし椅子に座った。



銃弾が入っていない小銃を拭きながらレオナはこの世界の死人発生の原因を考えようと思考を少しばかり働かせるが士官学校で習った事だけではやはり決定的な事は全く分からなかった。



ある人は化学兵器と、またある人は神の審判と、やはり異世界も元の世界と変わらず様々な意見があった。



レオナ自身あまり考えた事は無かったが先ほどの通路に居た大量の死人を見て少し考えざる負えなかった。



初任務で死人を見てまだ1日と経っていない、士官学校では死人の見本などは感染防止で一切無かった、幼少期に見たあの新聞の1面の時からレオナは死人は見た事が無かった、その分先程の量を一気に見て少し時間差で恐怖が来ていた。



耳をすませば死人のうめき声が聞こえてくる、レオナは少しシャルが来るまでの暇つぶしに先程の死人達を見に行こうと立ち上がり扉を開けた。



扉は防音の役割を果たしているのか扉を開けた瞬間飛行機のエンジン音程に大きいうめき声が聞こえてきた。



右を見ても死人、左を見ても死人、凄まじい量の死人がレオナを求めて檻の隙間からうでをのばしていた。



ゆっくりと死人1体1体の顔を見て行くがやはりまだ若干の恐怖が残っていた、この量が一気に檻を壊して出てくると考えると震えが止まらなかった。



いつまでもこの場所に居ると頭が痛くなりそうとレオナは感じ休憩室に戻ろうとした時、檻の根元部分にヒビがはいっているのが気が付いた。



「いつからついてるんだこれ……」



死人に捕まらない程度に距離を取りヒビを見つめる、これがもし死人の力ではいったヒビならばかなり大きな問題だった。



修復は不可能、壊れるのも時間の問題かもしれなかった。



ヒビの大きさや鉄格子の強度を確かめている時突然後ろから肩を掴まれレオナは驚きのあまり変な声を上げた。



「わふっ!」



後ろを振り向くと任務開始以来に見る茶髪の20代前半の男、シャルが立っていた。



「わふって反応は流石に」



そう言いながら笑うシャルにレオナは少し顔を赤くしながらもヒビの事に話をすり替えた。



「シャルさん、それよりこのヒビ見てください」



そう言いヒビを指差す、心做しかヒビが広がっている気がした。



「ヒビか、それにしてもすごい量だね」



そう言い小銃を構え死人の頭に銃弾を撃ち込むシャル、銃声は死人の声に掻き消され死人の多さをレオナは再び実感した。



「そろそろ行こうか、入口で仲間も待たせてるし」



シャルはそう言いレオナの先を歩き手招きした。



休憩室に戻ると入口には小銃を持ったこの世界では比較的珍しい部類に入る黒髪の男が立っていた。



「軍人さんや、こんなチビとぶっ倒れてる女を助けにわざわざ来たのか?」



そう言い終始辺りを見回す黒髪の男、レオナからの第一印象はクソだった。



「まあまあそう言わず、彼はレイオス、んでこっちはレオナと誰この子?」



そう言い2人の仲を取り持とうと2人の自己紹介をしてシャルはセレナを指さした。



「セレナ、俺が地上で入った民家にたまたま居たんだ」



そうシャルにレオナが説明している内にいつの間にかレイオスはセレナに近付いていた。



「こいつかなりの熱だな……脈も早い、早く解熱剤飲まさねーとやばいぞ」



額を触り目を確認するとそう判断するレイオス、その行動にレオナは違和感を感じた。



「感染の可能性は疑わないのか?体を見た訳じゃあるまいし」



セレナの現在の症状は死人化と全く同じ、レオナは一応噛み跡がないか確認したがその確認もせずに感染の疑いをしなかったレイオスを不思議に思っていた。



「感染?お前シャルの話に聞くと軍人見たいだけどちゃんと習わなかったか?」



少し嫌味っぽく言うレイオスの言葉にレオナは士官学校時代の授業を思い出したが学力的には中の下、全く思い出せなかった。



「お前に聞くのは癪だ、シャルさん分かりますよね?」



そう言いレオナはシャルに問い掛ける。



「仲良くしてよ……あとレイオスが言ってるのは目の事だよレオナ」



「目……あ、そう言う事ですか」



シャルの言葉にようやくレオナは死人化の特徴を思い出した。



死人化と高熱の表情は非常に似ている、高熱、脈拍数、尋常じゃない程の発汗、だが死人化にはそれに加えてもう一つ症状があった、それが目の白目の部分が真っ黒になる症状だった。



今思い出せばレオナの見てきた死人に1匹たりとも白目がある奴など居なかった、そしてセレナはまだ白目がある、これでただの高熱と確信が持てた。



だがまだ疑問が一つ残っていた、それを何故レイオスが知っていたのかだった。



「シャルさんのお陰で分かったが何故それを一般人のお前が知ってるんだ?死人の詳細に関しては一般公開はされてない筈だ」



そう言い椅子に座るレオナの言葉を聞いてレイオスは鼻で笑い言った。



「俺がいつ軍人じゃ無いって行ったよ、俺はバイドリアの軍人だ」



そう言い羽織っていた服の中に着ていた軍服をレオナに見せる、確かに嘘では無いようだった。



「バイドリアの軍人……階級は?」



「兵長、お前の三つ上だよ」



そう言い誇らしげな表情をするレイオスを見てレオナは無性に殴りたくなった。



「2人とも、そろそろ管制室に戻ろう、セレナって子にも下剤飲まさないとだし」



そう言いセレナを背負いシャルは言った。



「そうですね、シャルさん弾薬余ってますか?」



「腰のポーチから取って」



そう言うシャルの腰から弾倉を一つ取り出すとレオナは銃に装填した。



「シャルとレイオス、2人とも準備はいいね?ここまでスムーズに来れたけどまあ死人は居るには居るから」



「了解です、おいレイオス、足引っ張んなよ」



そう言い扉を開けようとするとレイオスは隣からレオナを蹴飛ばし扉を開け転んだレオナの事を見下ろして言った。



「お前が足引っ張んなよ糞ガキ」



そう言い銃声を上げながら扉を出るレイオスを睨みつけながらレオナも小銃を構え扉を出た。


「糞野郎が……」

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