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異世界ゾンビ戦記  作者: 餅の米
13/22

第12話 作戦開始

「隊長、具体的な作戦内容を聞きたいのですが」



傷も殆ど癒え、作戦を考えていた頃、ジルスはメガネを直しながら尋ねてきた。



「そうだな、よく聞け、今回俺達の任務は同盟国マリストネの君主マリストネ5世の殺害だ」



「はぁ?!」



ハリスが驚きのあまり大声を上げる、ほかの2人も同様に驚いた様子だった、だがそれも無理もない、レオナ自身まだ少し驚いて居るのだから。



マリストネとの同盟関係はアルトラ大佐曰く決して良いと言えるものでは無かったらしい。



アランドールは軍事力はあるものの食料を作るのに適した土地では無い、その為にある条件でマリストネから食料を得ていたのだった。



その条件、それは他国からマリストネを守ると言う条件だった。



その条件だけなら安いものだがマリストネ5世は他国に対して好き勝手し、その挙句戦争になる事が度々あった。



タダでさえ多かった戦争がマリストネと同盟を結んでから急激に増えとうとう暗殺に踏み込んだと言う訳だった。



「隊長、お言葉ですがそれは私達に死ねと言ってるのですか?」



直ぐに冷静さを取り戻すジルス、意外だった。



レオナが今現在分かっているジルスの性格からしたら想定外、計算外の出来事が起こり少し焦る筈、なのにジルスは至って冷静だった。



「いや、お前達は誰1人として死なせはしない、絶対にな」



真剣な表情で皆に伝えるレオナ、新たに出来た仲間という事もあったがなにより隊長と言う責任感が大きかった。



「でも隊長、どうやって国王に近づくんですか?」



「そこは簡単だ、同盟国という事を利用すればいい」



「それで具体的な私達の役割は何ですか?」



ミサがレオナに質問を投げかける、正直自分以外の役割は考えて居なかった。



この作戦には自分しか必要ないのだから。



「まあ取り敢えず死なない程度に死人と兵士を殺しといてくれ、怖いなら街でぶらつけ」



「適当すぎだろ……」



ハリスがボソッと呟く、それに他の2人も頷いていた。



「しょうがないだろ、お前らが王宮に行けばどんなに強くても殺されかねない、これが最善の策だ」



「しょうがない、ハリス、ミサ、ここは隊長に従おう」



「あんま腑に落ちないがそうするか」



そう言いハリスは銃を持ち森の中へと入っていく、ミサもそれについて行った。



「まとめてもらって悪いなジルス」



「いえ、私は部下ですから当然です」



「そ、そうか」



ジルスは少し苦手だ、ミサとはまた違う無表情、声色も変わらなければ表情もあまり変わらない、まるで機械の様な男だった。



「それでは私も皆と合流しますので」



そう言いジルスは去って行った。



「さてと、俺も行くか」



場所を移しレオナはマリストネの門の近くにある草陰で隠れて様子を伺っていた。



少し離れてるとは言え戦争中、それにもかかわらず門を守っている兵士は2人だった。



不自然……何かありそうだった、だが一応レオナはアランドールの兵士、入る事は容易な筈だった。



草陰から出て門の前まで行くと兵士達は銃を構えレオナを警戒していた。



「お前何者だ!」



「アランドール特別特殊部隊 隊長のレオナ・フィリスです、防衛任務で参りました」



「レオナフィリス……まて、連絡を取る」



アランドールと言う証の紋章を見せるも兵士はまだ疑っている様子、無線機を持つと本部と交信し始めた。



「こちら見張りのカインです、確認したいことがあります」



そう言いカインと言った男が確認を取っている間レオナは銃を肩に担ぎのんびりと辺りを見回していた。



こまめに殲滅をしているのか辺りには死人の影は見当たらない、しかし風が吹くとたまに死臭に似た臭いがする辺り今日はまだ殲滅を行って居ない様だった。



「お引き止めし失礼しましたレオナ隊長、どうぞお入り下さい」



頭を深々と下げる兵士のカイン、何があったかは知らないがどうやら侵入は成功の様だった。



「お勤めご苦労さん」



そう言い肩を叩くとレオナは市街地へと足を踏み入れた。



市街地の様子はとてもでは無いが平和とは言えなかった、武器を持った兵士が辺りをずっと駆け回っていた。



それを見ている市民の表情も強ばっていた。



そして気になる事が一つあった、市民の数があまりにも少なかった。



街の活気は聞いた話によるとアランドールよりも賑やからしいが今のマリストネはまるで小国の市街地の様に活気が無かった。



「お、お嬢ちゃん兵隊さんか?」



背後から突然肩を叩かれて声を掛けれる、それに少し驚くも直ぐに振り向き銃を構えるたがそこにはビクビクと怯えた老人が立っていた。



「ま、待って撃たないでくれ!」



老人とは思えない素早さで土下座する老人、それを見てレオナは銃を下げた。



「すみません、少し敏感になってたもので」



作戦が作戦なだけにかなり慎重になっていた。



「い、いや大丈夫さ、こんな状況なら尚更だよ……」



「そうですか、それで何か用ですか?」



何かを聞いて欲しそうな表情をしていた老人、恐らく聞いたら助けなければならない様子だったがこの不自然な状況を知る事も出来ると踏み老人に声を掛けた。



「じ、実は見てしまったんだよ」



「何をですか?」



表情がより一層強ばる老人、大体の予想はついていた。



「死人だよ死人!この街を歩いていたんだよ!」



「死人ですか、それで俺にどうして欲しいんですか?」



「殺してくれ!これじゃおちおち眠ってられんのだよ!」



凄い剣幕で言う老人、気はあまり乗らないがそれとなく返事をしておきその場から立ち去った。



「ま、これで全てが分かったか」



兵士の慌て様、市民の少なさ、それの理由が分かったが正直どうでも良かった。



国王を殺すには差し支えなかった、むしろそれに兵士が駆り出されている分やりやすかった。



街を駆ける兵士を横目に隠れる事もなく城に近づくレオナ、恐らく本部のサポートか怖い程に怪しまれなかった。



難無く城の門も通り抜け案内無しで城内に入る、その瞬間違和感を感じた。



静かだーーーーー



まるで誰も居ない様、しかし門には門番が居た、という事は少なからず誰かは居るはずだった。



「おかしいな……」



レオナの言葉が辺りに響き渡る、耳を澄まして見るが喋り声も歩く音もレオナのもの以外何も聞こえなかった。



色んな部屋を開けて回るが何処の部屋も人が居なかった。



死人の可能性も考えたがそれにしては静か過ぎる、幾ら考えてもこの状況を理解出来なかった。



「た、助けてくれ……」



何処からか微かに聞こえた声、その声が聞こえた瞬間レオナは耳を澄ました。



後ろ……違う、右の部屋……違う、左も違う……前方の大きな扉、王座から微かに物音が聞こえて来た。



小走りで扉の前まで行き扉に手を掛ける、だが開けようとすると手が動かなかった。



冷や汗が出る、恐らくこの先に居る者は"アイツ"、レオナはそっと銃を構えた。



「入るぞ……」



そう言いゆっくりと扉を開ける、するとそこには死人ではなく目元以外を全て隠した3人が居た。



その3人はマリストネ5世の遺体を抱え去ろうとしている途中だった。



「まずい、Sやれ!」



1人、声を聞いた限り男が1人に叫ぶともう1人が素早く銃を構え発砲してきた。



レオナは避けれる筈もなく弾は左肩に命中した。



しかし当たった場所が良かった、レオナはすぐ様右手だけで銃を構え発砲すると1人に命中し倒れた。



「ナ、ナジル!?」



「バカD!名前を叫ぶな!」



レオナに発砲した声から判断するに女が男に叫ぶ、かなり情報は揃ってきていた。



もう1人も始末しようと銃を構えた瞬間後ろからほぼ0距離で発砲されレオナはその場に倒れた。



(あいつら4人組だったのかよ……)



当たりどころなのか意識は飛んでなかった、しかし強烈な痛みがレオナを襲っていた。



「ナジルがやられたのか」



「あ、あぁ、すまねぇライナス……」



「気にする事はねぇ、それよりセレナ、国王は始末出来たか」



ライナスが口にしたセレナと言う名前、あまりの衝撃にレオナは痛みすら忘れライナス達の会話に聞き入っていた。



「大丈夫、それより早く引き上げよう」



「なんだ、やけにこの娘をきにするじゃねぇか」



そう言いライナスに蹴られるレオナ、痛みを堪えつつ死んでない事をバレないようにするのが中々きつくなって来ていた。



「気のせいじゃない?それより早く行かないと兵士達が戻って来るよ」



「そうだな、わざわざディルスに死人を放させた意味が無くなるな」



「本当に苦労したんですよライナスさん」



「まあ良い、早く行くぞ、この国も潰れるのは時間の問題だ」



潰れるのも時間の問題……その言葉が気になった、まさか国ごと潰す気なのか、何故そこまでするのかレオナには理解出来なかった。



どんどん遠のいて行く3人の足音、全く聞こえなくなったのを確認するとレオナは目を開きその場に座った。



「セレナ……同名なだけなのか……いや、今はそれより」



この街を救う、そんな大層な事はする気が無かった。



今は一刻も早く自分がこの街から逃げる、それしかレオナの頭には無かった。



残りの弾数を確認しマガジンの数も確認する、弾は全部で47発、無くならない事を祈りながら駆け足でその場を去った。

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