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第五話

しばらく剣を支えに荒い息をあらげて、休息をとる。


なんとか勝てた…


勝てたのはいいがすごい疲労感が襲う。

しばらくして呼吸も戻り、辺りを見渡す。

他にはいないみたいだな

周りには魔物気配はしない。


((でもなぜこんなところに魔物が⁉))

そう、ここは本来魔物なんて出現しないのである。


そう考えごとをしてると急な胸騒ぎがする。

考えすきだといいけど……


そう考えながら走りだす。

しかし、その考えが現実のものとなる。



村と方へと走ってると、村の方からなんか明かりが見える。

一瞬村でお祭りでもしてるのかと思うがそんな話しは聞いていない。


さらに近づくと明かりが大きくなり現実が突きつけられる。


そう、村の家々が燃え盛っているのである。



村に到着すると悲惨な光景が広がる。

すべての家が火に包まれていて、村人が獣に切り裂かれた痕や食われた痕で倒れている。


ソラはあまりの光景に佇んでいて、ふと我に戻る。

ソラは自分の家へと向かう。


ソラの家は半壊していて、いまにも崩れそうな建物の中を躊躇いなく入る。


『かあさーん、かあさーん』

いまにも崩れそうな家の中必死に呼びかける。


『ソラなの?』

かあさんの声がしたところの瓦礫を掻き分ける。


『かあさん…』

『よかった…ソラが無事で』

かあさんは大きい柱の下敷きになって、弱りきった体でソラに微笑む。


『かあさんいまどけるからね』

必死になって柱をどかそうとするがビクともしない。


『ソラ、もういいのよ…』

『なにいってるのかあさん、絶対何とかするから…』

そういいながら何度も何度も持ち上げようとするけど動かない。


『ソラ、かあさん幸せよ。あなたみたいな人を想いやるいい子に育って。』

ソラは半分泣きそうな顔をしながらもかあさんの話しを聞く。


『ソラ、あなた一つ話さなければならないことがあるの…』

ソラはいまにも泣き出しそうなのを必死に堪えながらかあさんをみつめる。


『実はあなたのお父さんはまだどこかで生きているのよ。』

『なんだって!?』

いままで事故で死んだと聞かされてきたので驚愕な表情になる。


『あなたが3才になるときにアレクは旅に出たのよ。』

アレクとは父親の名前だと昔に聞いている。

『彼もあなたに似て冒険家で、いつもどこかにいってはそのときの話しとか聞かせてもらったわ。』

いくら冒険好きとはいえ自分やかあさんを見捨ててまで冒険に出かけるのってどうなんだろう?


そんな考えを読んでかかあさんが話し続ける。

『彼のことは嫌いにならないであげて。』

『彼は真っ暗な人生だったわたしに光をくれたのよ』


『光…?』

『楽しい思い出に暖かくなる優しい想い、そして…』


『そして!?』

ソラが聞き返した。


『ソラ、あなたがわたしたちのところにきてくれたこと。』


『あなたはアレクによく似ているわ。冒険好きで自分勝手で、でも人一倍優しくて気がついたらいつも幸せを運んできてくれた…』


『かあさん…』


『そろそろ行なさい。あなたの信じる道に向かって。』


『何いってるんだかあさん!かあさんもいっしょに…』

そういったとき天井ががしゃんと不気味な音をたていまにも崩れ落ちてきそうになる。


もう長い時間は持たない。ソラはこれでもかってくらい力を込め、柱に手をかける。途中ジューって手が焼けるがそんなの気にしない、いまはかあさんを助けることに頭がいっぱいなのである。

『ソラ、お願いだからやめて。もうわたしのことはいいから逃げて。』

かあさんはいつだってオレの味方だった。自分が冒険にいくって言ったとき周りは厄介なものを見る目で自分を見てきたがかあさんはいつも笑顔でいってらっしゃいと見送ってくれて。


そんなかあさんのお願いでもこればかりは聞けない。



絶対逃げない!オレがなんとか救い出してみせる!


それでも想い叶わずちっともびくともしない。

どうしようか悩んでいたとき自分が入ってきたところから物音がする。



『ソラ!?』

そう、呼ぶのは荒々しく息を荒げて駆けてきたカレンだった。


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