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剣魔祭予選前 王女様奪取計画

「……ふぁ…」


眠い、眠い眠い眠い!!


結局一睡も出来なかった!!


現在、レイチェルの寝室でセシリアがレイチェルに町娘の服を着せていた。

勿論俺は窓の外の景色を眺めて、後ろの幸せそうな話し声を聞いているだけだ。



「綺麗だよレリィ!花屋の看板娘みたいだ!!」


それレイチェルに伝わるのか?


「町人の服は動きやすくて良いですわ、ドレスなんかよりコチラが良いです……アツキ様、もう大丈夫です」


「あっはい」


振り返ると花屋の看板娘が居た。


「セシリア、イイセンスだ」


「だろう?」


小さな鞄に花の髪飾り、皮のドレスの質素な感じ、そして胸のブローチが輝いている。


この感じがちょっと裕福な花屋の看板娘感なのだ。




「じゃあ行くか」


俺は窓を開けてレイチェルを抱える、セシリアは扉を開けて外に出ていく。


それにしても軽い、まだまだ少女とは言え軽すぎやしないか?


警備兵の視界の死角を狙って窓から飛び降りる、落ちる途中でレイチェルがギュッと強く抱き付いてくるのが可愛らしい。



そのままダッシュで外庭を駆け、城壁を木と壁を蹴り返して登る、最後の砦である大堀は流石に飛び越せるわけないので船を飛び石変わりにした。



歓喜と称賛の声が俺を後押しした。






アサシン流フリーランが終わり、とりあえず俺の宿で休憩することになっている、セシリアが来る前に少し寝ていたい。


「リシュ、膝」


「ウン」


リシュは膝枕を笑顔で引き受けてくれた、いい子だ。


「……」


尤も、うつらうつらしている所をレイチェルにジーっと見られていなければ直ぐにでも夢世界へ旅立てるのだが…。







数時間後、セシリアも集まり闘技場へ移動する。


あのあと自分はリシュの膝枕とエルフの子守唄で10分ほど深い眠りに着く事ができた、リシュマジいい子。





「レイチェル、どうだ?」


「賑やかで、皆さん生き生きしていますね!」


笑顔で笑うレイチェル、やはり女の子は笑顔が一番輝いて見える。

そんな俺達に一人のオッサンが話し掛けてきた。


「おや、お嬢ちゃん見ない顔だね」


「あ、火蜥蜴亭のマスターだ」


その初老の男性はお世話になってる酒場、火蜥蜴亭のマスターだった。



「ん?アツキか、何だよアツキの彼女さんか何かか?」


「ああ、いや違う…って何で嬉しそうなんだよ!?」


「い、いえ!そんなこと言われるの、初めてなもので…」


「可愛らしいねぇ、この野郎!!」


「マスター、彼女のために何か奢ってよ」


「わかっているよ、ほら!ワニバナナガメの子供の丸焼きだよ!」


一見グロテスクな丸焼きだが、滋養強壮寝不足眼疲れに効く万能食である、更にコラーゲン的な物も含まれていて庶民に愛されている逸品である。



「ありがとうございます!頂きます!!」



小さな一口で美味しそうに食べる彼女を見て何故か幸せな気持ちになる。


「おいひぃ」



「良かったな…あ!」


「どうしたんだい…あ!」


「?」


俺と火蜥蜴亭のマスターが驚きの声を上げる。


「卵持ちだ!!良かったな嬢ちゃん!」


「え…え?」


「卵持ちのワニバナナガメを女の子が食べると願い事が叶うんだってさ、まぁ迷信だが」


「本当ですか!じゃあ…」


レイチェルは眼を瞑ると願い事をするように頭を小さく下げた。


「……願いました!!」


「何を…とは聞かねぇよ、アツキ、剣魔祭頑張れよ」


「あ、ああ…じゃあなマスター」




何を願ったかは解らないが、とりあえずレイチェルの願いが叶えばいいなと思う。





剣魔祭参加者控え室は暑苦しいったらありゃしない。

今は開始に当たってのルール説明を受けている。


大体以下の通り。


降参は認める、武器を捨て両手を挙げれば強制転移される。


今年は対百人のバトルロアイヤルで、生き残り五人が予選通過。


気絶、ステージアウト、降参で脱落。


闘技場内の殺しは全て状態異常「深睡眠」となる。



つまり殺してもなんの問題もない状態になっていると言うことだ。

状態異常「深睡眠」は体力が全快する変わりに何分も寝てしまうと言う状態。


皆、遠慮なしで殺り会えるわけだ。





……さて、準備するか。



《さて!!盛り上がってきた剣魔祭予選!注目カードが揃い踏みのブロックGだぁぁ!》



テンションの高い司会が告げるとこれまたテンションの高い観客達が叫ぶ、アレだプロレスみたいなやつだ。



《ブロックGは今大会唯一の職業が揃い踏み!注目選手チェックのコーナーだ!》


それは気になるな。


《先ずは闇夜からの刺客、得意属性の「毒」を活かせるのか?それとも華麗なナイフ捌きを魅せてくれるのか?アサシンのアツキだぁぁぁ!》


……誰だそんなこと書いた奴は!!


《続いては優勝筆頭の呼び声高い長剣の聖騎士、ノリス=グラディウスだぁぁぁあ!》


ノリス=グラディウス

通称“聖盾”と呼ばれている有名人だ、彼の盾はドラゴンのブレスさえ弾き飛ばす……らしい。



《続いては異国のナイトが剣魔祭初参戦!!魅せてくれるか!?その剣捌き!風頼のサムライ、アマノ=リョーマだぁぁぁ!》


サムライ

ナイトが炎ならばサムライは雷、攻防速全てが揃った職業…それがサムライ。

そしてサムライは多彩なカウンター系パッシブスキルを持つ、あまり相手にしたくない。



《そしてあの“グリフォンサーカス団”から足技格闘娘が初参戦!!フォン=メイシャンだぁぁ!!》



恐らく俺の横に立っているチャイナドレスの中華少女の事だろう、まず職業が分からん、モンク?サモナー?テイマー?

何はともあれ気になる、相手にしたくない。



そしてゲートが開き、決戦場への道が現れた。





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