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旅は道連れ、乗り掛かった船

あのあとアミやアンスィの手当てで意識を取り戻した俺はこれまでの経緯を話した。


カミュの事も魔王の一部の事も、全てを話した。


レイチェルの安否を伝えた時、セシリアは涙を流しながら喜んでいた。




この洞窟は騎士団の訓練所として使っていた洞穴らしい、多少の魔物は現れるがそこまで強い魔物は現れないのでここに逃げ込んだ、と言うわけだ。




「アツキ、これからどうするつもりだ?」


「これから?」


「私達はアツキに助けられてばかりだ、どんなことでももするからアツキに恩を返したい」


「恩ねぇ…」



恩を返すと言われても、今この状況で次の目的と言ったら次の町に行くだけだろう、それまでお供を願うか?

ここから近い町は港町“ポルポルアン”だ、別にお供を頼む必要ない位近い町だ。




「逆にレイチェルが起きたらどうするつもりだ?」


「何処かでひっそりと暮らすしか無いな、レリィを戦争の道具にはしたくない」



レイチェルがもしも戦争国家に見つかれば戦争の道具として使われるのが落ちだろう、そして三人の騎士だけでは守りきれる訳がない。



考えすぎるのが傷と小学校の通知表に書かれた事があったが、最悪の結末を想定して動くことのどこが悪い?


救える人から救え、これが俺の人生の師匠でありお爺ちゃんの口癖だった。



「じゃあ俺と一緒に行こう」


「はい!?」


「俺と一緒に旅をしろ。レイチェルも連れて、アンスィの腕をどうにかして、自由に旅をするんだ」


「ま、待ってくれアツキ!!」


「俺への恩返しはこれで決定だ」


「だがな…!」


「どんなことでもするって言ったよな?」


「ッ……!!」



有無は言わせない、決定事項だ。

ってか男に対してどんなことでもするとか言うんじゃない。



「リシュも来るよな?」


「……イイノ?」


「勿論だ」



パァァとリシュが素敵な笑顔を見せてくれる、首には忌まわしきあの首輪が無い、解放されたんだなリシュ。




「ねぇアツキ君、私も着いていきたいなぁ?」


「ええっと、アミだったか?どうしてだ?」



「私も失業しちゃってさぁ…これからどうするか悩んでたんだよね、少しの間でいいから一緒に連れていってよ」


「まぁ俺は構わないが…」


回復職業が居てくれたらかなりありがたい、乗り掛かった船だ。



「じゃあまずはポルポルアンに行くんだよね?私が先行しようか?」


ニアが先行を請け負ってくれた、ニアの軽足ならば今日中にもポルポルアンにたどり着けるだろう。


「明日の朝一に出発してくれ、俺たちは三日後に移動する」


「分かった、じゃあ私はもう寝るね?」




ニアは横になるとスヤスヤと寝息をたて始める。

「アンスィ、腕は?」


「先程アミ殿が薬を打ってくれた、大分楽になったよ」


「ああ、辛かったら無理をするなよ?」


「うむ、私ももう寝るとしよう」



「明日は早いからねぇ、ゴルディーさんは放って置いても大丈夫かな?」


「明日村で会うさ、俺が見張りをするから寝てな」


「ん、お休み~」



アミもアンスィも眠りについた、リシュはいつの間にか俺に寄り掛かりながら寝ていた。


「セシリア、お前は寝ないのか?」


「……お前は物好きと言うか、なんと言うか…よく私達みたいな面倒事の種を拾ったな?」


「お前らみたいなカワイイ娘を手放すのが惜しくてな」


「ふっ、お世辞が上手いな」


「お世辞?俺は至って真面目だぞ?」



顔が髪の毛みたいに真っ赤になってるセシリア、やっぱり恥ずかしがっているセシリアは可愛いな。


そう言えばセシリアの恥ずかしがっているのを最後に見たのって……何時だっけ?

最近気絶しまくってるせいか、記憶が曖昧だ。



「セシリア、まだ起きてるか?」


「……すぅ…すぅ…」


「あら、寝ちゃったか」


夜守りって暇なんだよなぁ…。




翌日はニアがポルポルアンへ旅立ち、俺達はウォーターエルフの村へ半日かけて歩き帰った。




『おお!!帰ってきたぞ!』


村の村長が俺とアミを見つけ、話し掛けてきた。


『連れのお嬢さんが目覚めましたぞ!!今はゴルディーとサムライの青年が介抱して…』



と、言葉を切るとリシュにジリジリと近寄っていく。



『も、もしや貴女様は…“ハイエルフ”様では?』


『ハイエルフ?』


聞き慣れない単語だ、話を聞こうとした瞬間、村長はリシュを担ぎ上げて、『ハイエルフ様じゃ!祭りを開け!!』と叫びながら引っ立てていった。


「タスケテ!アツキ!」


「悪い人じゃないから大人しくもてなされてろ!!」



「だ、大丈夫なのか?」


「まぁなんか喜ばれていたし大丈夫だろ、それよりレイチェルが起きたらしい」




俺たちは急いでレイチェルの場所へ向かった。



「ご心配をおかけしました…セシリア、私は無事よ」

「レリィ…レリィ…よく無事でいてくれた…」


レイチェルは柔らかな笑みで笑いかける、アミはレイチェルの検診をするために準備をしている。



俺は席をはずして台所の二人に話しかける。


「リョーマ、久し振りだな」


「拙者も修行を終えたのでな、一度国に戻ろうかと思っている」


「国って言うと…外海国か?」


「ああ、明後日立つつもりだ」


「俺達も明後日ポルポルアンに向かうつもりだ、実はまだ行き先までは決まってなかったが…一緒に行かないか?」


「何故?」


リョーマは訳がわからないと言った風に首を傾げた。


「何故って…旅は道連れとか言うだろ?」



リョーマはかなり微妙な顔をして俺を睨む、そう言えばリョーマは俺のことを邪道の剣とか言って毛嫌いしていたな。

しかしリョーマはニヤリと笑いながら言った。



「旅は道連れ…か。良いだろう邪道の剣、我が国へ招待してやる」


「ホントか?」


「武士に二言なしだ」



なんだかよくわからないがリョーマの気分が良さそうなので良かった。


サムライの国、楽しそうじゃないか。




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