4 side Tateishi
彼のだらしなくヘラッとした笑顔から顔をそむけた。
正直な話、イケメンは目にも心臓にも毒だと思う。
彼は、いったい何を考えているのだろう。本気で取扱い説明書がほしいと思う。
「カケルぅ!!」
教室の入り口から学内でも美人だと評判の谷口さんが彼を呼んだ。
スタイルも素晴らしい、彼女は本当に綺麗、だと思う。ちょっとだけ、ケバイなぁなんて思っているってことは秘密だけれども。
「気になる?」
彼の友達の中でも唯一マトモだと思っている間宮ゴロウくんがニヤリと楽しそうに笑って言った。
「何が?」
「ほんと、立石さんってからかい辛い!」
「あら、褒め言葉として受けとっておくわ。ありがと」
ケラケラ笑う間宮くんは心底楽しんでいるようにしか見えない。つかみどころがない人物で今現在、一番に浮かぶのが彼だと思う。ちなみに、変態、うるさい人、では三島カケルが堂々の一位だ。
「何か面白いことでもあった?」
「いや。見てみろよ、カケルのやつ」
間宮くんの指さす方向を見ると三島カケルは目をギンギンとしてこっちを見ていた。いや、何かもう、こわいし。
「カケル……一著前に嫉妬してやがんの!」
ケラケラと笑って机をバンバン叩く。その横には私がさっきまで読んでいた本。あぁ、よかった机で。コレ、人のだし。
「もう付き合っちゃいなよ」
死刑宣告に近い発言に私は固まる。へらへらと笑う彼の顔面を殴り飛ばしたくなったのは公然の秘密だ。
「嫌よ」
「なんでー?」
心底楽しそうにいう彼、もう間宮でいいや、間宮を殴っても誰の害にもならないと思います! いいですか!?
「私は目立たないで地味にかつ平凡な高校生ライフを送りたいんです!」
「それ、もはや無理じゃない?」
言わないで。なんとなく自覚しているから。
がっくりとへこみながら話を変えようと三島カケルを指さした。
「っていうか、アレはいつまで続くの?」
「え? もしかして冗談だと思ってる?」
「冗談でしょう?」
間宮くんが遠い目をしてドンマイ、と呟いていたのはスルーしようと思う。
カナコちゃんとカケルくんが絡んでいないと書きづらくて書きづらくて!!