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わが家はローグライク風ランダム生成ダンジョン! ~ 俺の部屋だけ固定セーフティールームで、ヒロイン達と同棲することになりました ~  作者: 初美陽一
第四章 ランダム生成ダンジョン生活 ★変なアイテムや魔法のスクロール使ってみた回★

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第33話 そういえば〝同時に拾った場合〟って、どうなるんでしょう?

「そういえば〝同時に拾った場合〟って、どうなるんでしょう?」


 本日はランダム生成ダンジョンの三階層を探索中、唐突にそんなことを呟いたのは、少女剣士ラム=ソルディア。

《異次元の魔女》ことクロエ引っ越し直後と違い、今は安定した三階層で、襲ってくる魔物もあまりいない。そんな余裕が及ぼした考えだろう。


 しかしハークはハッとした表情で、今日も一緒に探索しているリーリエに言う。


「い、言われてみれば……前までは単独《ソロ》か、ほんのたま~にリーリエと組んで探索するくらいだったから、気付かなかったけど……その場合、どうなるんだろうな!? リーリエ、間違いででも同時にアイテムを拾ったことあったっけ?」


「んん……残念ながら、ないわね。普段は探索と魔物を倒すのに集中するから……アイテムもその場その場で、特に何も考えず拾ってたし」


「だよな? じゃ、じゃあもしかすると、だぞ……たとえばラムが拾えなかった五階層のアイテムでも、俺と同時になら拾えるんじゃないか? しかもその場合、ラ(・)ム(・)の(・)L(・)U(・)K(・)が(・)適(・)用(・)さ(・)れ(・)る(・)可能性も高いんじゃ――!?」


「わあ、ハーク師匠、テンション上がってますねぇ……ほんとにお好きなんですねぇ、ランダム生成アイテム拾い。でも正直、アタシもハマってきちゃってますし……試す価値はあるんじゃ、って思います!」


 ぐっ、とラムが両手を握って同意を示すと、リーリエが目ざとく落ちているアイテムを見つける。


「あら、ちょうど良いところに何か……軽装の鎧かしら。ラムさんの体装備を探してるとこだったし、ちょうどいいわね」


「でかしたリーリエ! よし、じゃあ早速……早速やってみるか! まず試しに、な!? ホント、試すだけだから、優しくするから!」


「そんなハーク師匠、お望みなら少しくらい激しくして頂いても……♡ なんてアタシまでボケてたら話が進みませんからね。ここは我慢しますよ。んもうっ、アタシがツッコまないとしょうがないんですからっ」


 自らのツッコミに存在意義を見出《みいだ》しつつある少女剣士、それでいいのかと思うが――とにかくハークとラム、二人そろってしゃがみ込み、鎧らしき装備に手を添える。

 できるだけラムのLUKが適用されるように、と先に触れさせ、その小さな手をハークが上から包むように握った。


(! お、おぉ……ハーク師匠の逞しい手が……これは役得、役得ですね……♡)


「どうだろう、ラム。持ち上げられそうか? おーい、ラム?」


「……ハッ!? す、すみません緊張で呆けちゃって! えっと、あ……あっ!? は、ハーク師匠、持ち上げられそうですっ……アタシじゃ三階層の装備でも、あんまり拾えなかったのに……!」


「おお……おお! こ、これは期待できそうだなっ……よし、じゃあ、いくぞ!」


 ハークの合図と同時に、ラムと共に拾い上げる。


「! こ、これは……この装備は――!?」


 ハークが鑑定した、その結果とは――!?



 ――――★鑑定結果★――――


『ディDdドOOオソmアのタかシKなイと』

 くぁwセdrftgyふジこppppp。


効果:コんいチわア


 ――――★鑑定終了★――――



「うわあああああああっ!? ウッウオアアアアアア!!?」


「きゃああああああっ!? ハーク師匠のリアクションも鑑定結果も、二重にきゃあああああっ!!? 何ですかコレなんなんですかぁっ!?」


 ハークとラムが拾い上げ、鑑定した直後には投げ捨てた、その何とも形容しがたいモノ――もはやアイテムか装備なのかすら分からない、モザイクが更にツギハギになったような異物。

 ハークにとっても初めて見るだろうナニカを、それでも長男の責任感からか、どうにか説明しようとする。


「う、うう、これは、こういうのは……クロエいわく、バグとか何とか……ランダム生成ダンジョンの想定外の瑕疵《かし》だから、出来るだけ起こさないようにするべきだっていう……う、うう、恐ろしすぎる……」(状態異常:恐怖)


「は、ハーク師匠が初めて見るくらい取り乱してる……何でだろ、ランダム生成にハマってる反面、それ関係だと感情が比例しちゃうのかな……まあ怖いのは共感しますけど。そ、それでどうしましょう、この、これ……バグとか何とか?」


「粉々に爆破して燃やし尽くして灰も残さず消滅させよう。出来るだけ不具合を残したくない、俺はこのランダム生成ダンジョンを……実家を守らねば……!」


「な、なるほど、ご実家の長男という責任感もあるんですね。にしても強火な姿勢、まあそれくらい怖かったのも分かりますけど……」


 ラムが同意する、その隙に――強《したた》かに怯えるハークを、いつの間にやらリーリエが抱きしめ、白く滑らかな手で撫でつつ慰める。


「何にせよ、二人同時に拾う方法はダメみたいね。……よしよし、ハーク、幼馴染の胸の中で泣いてもいいのよ?」


「うう、すまないリーリエ……くっ、今の鎧、もしかしたらレア二つ名つきで高性能だったかもしれないのに……せめて、せめて消耗品とかで試しておけばぁぁぁ……」


「そういうとこの後悔もあるのね。大丈夫、大丈夫よ……きっとクソ、いえウ〇コみたいな装備だったわ。装備はまた探して拾えばいいから……うふふ、弱ってるハーク、可愛いわ……ずっと甘やかしたい……軽めに百年くらい♡」


 珍しくシワッシワに憔悴するハークと、ご満悦の幼馴染エルフことリーリエ。

 そんな二人をモヤモヤしつつ眺めていたラムだが、ふと気づいた。


「うぐぐ、一緒に驚いたりツッコんだりしてる内に、完全に出遅れたぁ……ん? あれ、これは……魔法のスクロール?」


「ウッ! ら、ラム、それ、拾うのか? ……か、鑑定する?」


「ハーク師匠、軽く鑑定がトラウマになってません? で、でも一応、お願いしますっ」


「わ、分かった。それじゃ、どうにかこうにか気を取り直して――」



 ――――★鑑定結果★――――


『メタシオータのスクロール』

〝メタシオータ〟の魔法を一度だけ放てる。


 ――――★鑑定終了★――――



 普通に拾ったものだし、一先《ひとま》ずハークが懸念していたであろうバグではない。だがやはり不明瞭な魔法の名前に、ラムが首を傾げる。


「あれっ? ここ三階層なのに、五階層の〝アルメキオラ〟の時みたいによく分からない魔法ですね……?」


「よく覚えてるな、ラム。うーん、三階層でも例は無くもないんだけど、珍しいな……案外クロエが三階層に引っ越してきた影響かもな。……それで、そのスクロール、持って帰るのか?」


「あ、えっと……じゃあ、一応? ま、まあそんなに嵩張るものでもないですし、いつかは魔法の効果が分かるかもしれませんからっ」


「そっか、そうだな……LUKの高いラムが拾ったなら、良いものって可能性もあるし。分かった、じゃあ……ちょっと俺の精神的ダメージが大きいから、今日の探索はここまでにしようか」


「精神的ダメージが大きい割に、冷静かつ的確な判断にも思えますけど……さすがハーク師匠♡ ということにしておきます。じゃあ帰還しましょ~!」


 こうして、ハークとラムの心に〝バグ〟という名の引っかき傷をちょっぴり残しつつ(リーリエはノーダメージ)、本日の探索は、早々に切り上げることとなった。

 ただしそれは、あくまでも探(・)索(・)は(・)という話だ。。


 本番は――セーフティールームに帰ってからである――


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