風鳴きの洞窟
翌朝、朝日が昇るとすぐに、私たちはダンジョンに向かった。
「こんなに朝早くから行く必要があるの…?」
「日の出…
見てよ。
美しいだろう?
僕は日が沈む時よりも、昇る時が好きなんだ。
太陽はいつも一つ…
この世界でも…それは変わらないんだね。」
彼は少し眩しそうにしながらも、太陽を見つめた。
「うーん…」
彼の事が良く分からない。
「早起きは三文の徳とも言うでしょ?」
「そうだけど…」
「どもってないね。」
「どもる…?」
「最初に会った時はさ、あ、あ、あの…!って感じで、いっぱいいっぱいだったよね?」
「そう…かな…?」
私の問いに、ふん、と彼は意地悪そうに口の端を上げた。
「性格悪い…」
「どこが?
こんな善人をつかまえて?」
「………」
「おしゃべりはここまでにしよう。
着いたよ。」
「ここが…
風鳴きの洞窟…?」
「そう。
石灰岩の洞窟でね、風が岩の隙間を通る時に何とも言えない音が鳴るんだ。
それで、風鳴きの洞窟、って言われるらしい。
僕も初めて来るんだけどね。」
「えっ、2回目なんじゃ…?」
「うーん、僕さぁ、最初の方からチートだったんだよねぇ。
だから、すっ飛ばしたんだけど、それが悪かったのかな…?」
「はぁ…」
私は少し呆れながら、そう答えた。
「入るよ、マリス。」
「う、うん…!」
緊張すると、やはりどもってしまう。
私たちは洞窟の中に足を踏み入れた。
「キャッ!
何か触って!」
「それ、僕の手でしょ…?」
「僕の手、がどーしてお尻を触るのっ!?」
私はゼファーの手を捻り上げた。
「イタタタ…
降参…!
降参…!」
「あっ…!」
「今度はなに?」
「モンスターです!」
「あぁ…」
「あぁ…って!」
「ウィンドバッドでしょ?
超最下層のモンスターだよ。
君1人で倒して。」
「えぇ!?
そんなぁ!?」
「ほら、攻撃されるよ?」
ウィンドバッドが口を開き噛み付いてくる。
奴らは風を操るらしい。
羽ばたくと、風が鋭いナイフとなって私に向かってくる。
私は蛇行して走りながらそれらを避け、反撃の機会を伺う。
「今だよ。」
ゼファーが言い、私は剣を振った。
『ガヒッ!』
ウィンドバッドの1匹が倒れていく。
よし!
1匹仕留めた!
同じ要領で2匹目にも斬りつけるが、高い場所を飛ばれると、手も足も出せない。
「スキルを使うんだよ。」
ゼファーが言う。
「す、水弾!」
私はスキルを放った。
スキルはウィンドバッドに命中した。
2匹目が倒された。
残る一体をゼファーが仕留めていた。
「まぁまぁかな。」
「…褒めてる?」
「一応、ね。」
ゼファーは軽口をたたいて、先に進んでいった。
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