第五部 第二十話 ~休暇の終わりは、音を立てない~
休みの終わりっていつでも悲しいですよね
長期休暇、三週目の終わり。
悠馬は、ふと気づいた。
(……ログイン時間が減っている)
理由は、特にない。
ただ、
夜更かしが
少しだけ億劫になった。
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昼。
フラットの窓から、外を見る。
秋の気配が、はっきりしてきている。
(……夜会はもう終わった)
夏の終わり。
秋の始まり。
季節が、ちゃんと進んでいる。
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ノアが、キッチンで言った。
「兄さん」
「はい」
「休暇、あと何日?」
「……四日です」
「……短っ」
「……一か月です」
「体感がおかしい」
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その日。
悠馬は、久しぶりに
スーツをクローゼットから出した。
しわはない。
型は崩れていない。
(……問題ない)
だが、
袖に腕を通した瞬間、
少しだけ
違和感があった。
(……重い)
着慣れているはずの服が、
一拍遅れて体に乗る。
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夜。
ネトゲにログインする。
カタカタカタカタ。
チャット。
『最近、短時間ですね』
(……そうか)
「……復帰が近いので」
※定型文。
『お仕事?』
(……はい)
「……はい」
それ以上、言わない。
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ノアは、
その様子を横から見ていた。
「兄さん」
「はい」
「戻る?」
悠馬は、少し考えた。
「……戻ります」
「どこに?」
「……日常に」
ノアは、笑った。
「それ、一番分かりづらいやつ」
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翌朝。
スマホに、通知。
オフィスの定例会議。
予定は、すでに
カレンダーに入っていた。
(……入れたのは自分だ)
忘れていたわけではない。
見ないふりをしていただけだ。
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昼。
コーヒー。
砂糖三杯。
久しぶりに、デスクの椅子に
座る感覚を思い出す。
(……ここも足元の一部か)
そう思って、すぐに否定した。
(……まだ分からない)
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その夜。
エド叔父から、短い連絡。
> 休暇は
> 有意義だったか
悠馬は、
少し考えてから返した。
> 予想外でした
既読。
数秒。
> それでいい
> 想定通りだ
(……やはり)
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最後の夜。
悠馬は、
ログアウトしたあと、
画面をすぐに閉じなかった。
暗くなったモニターに、
自分の顔がうっすら映る。
(……足元)
まだ、答えはない。
だが。
(……探し続けている)
それだけは、確かだった。
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ベッドに横になる。
明日は、起きる時間が決まっている。
それを不思議と
嫌だとは思わなかった。
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『休暇の終わりは、
いつも音を立てない。』
気づいた時には、
もう戻る準備ができている。
悠馬は、
その静かな兆しを受け取った。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




