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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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第五部 第十七話 ~三十を越えて、長期休暇~

僕も一か月休暇ほしい

夜会が一段落したのは、夏の終わりだった。

正確には、秋に入ったかどうか、

その境目。


空気が少しだけ乾いて、

夜風が冷たい。


悠馬は、その頃になって

ようやく気づいた。


(……休暇、取っていない)


ーーーーーーーーーーーー


三十を越えてから、時間の感覚が

少し変わった。


若い頃のように

「今しかない」

という焦りはない。


だが、

「このまま行くのか?」

という感覚は、常に足元にある。


だから。


悠馬は、

取り損ねていた

「長期休暇」を

まとめて申請した。


期間は、およそ一か月。

理由は、特に書かなかった。


ーーーーーーーーーー

「兄さん」


申請を見たノアが、即座に言った。


「……何するの?」


「……未定です」


「未定で一か月?」


「……はい」


ノアは、嫌な予感しかしなかった。


ーーーーーーーーーーーー


休暇初日。


悠馬は、朝からフラットにいた。

着ているのは、

いつものノアのパーカー。


だぼだぼ。

袖は余っている。


下は――気にしない。


ーーーーーーーーーー


そして。


カタカタカタカタカタカタ。


モニターが光る。

ログイン。

「ゆう」が、そこにいた。


(……時間を気にしなくていい)


それだけで、思考が軽くなる。


ーーーーーーーーーーーー


一日目。


ダンジョン。


回復。

立て直し。

解除。


誰も落ちない。

チャットが流れる。


『今日、長いですね?』


「……休暇です」


『いいですね!』


(……そうでしょうか)


ーーーーーーーーー


二日目。


ログイン時間、

伸びる。


朝。

昼。

夜。


(……問題ない)


食事は、適当。


チキン。

ヨーグルト。

卵。

電子レンジは、ノアがいる時だけ使った。


ーーーーーーーーーーーーーー


三日目。


ノア、ついに口を出す。


「兄さん」


「はい」


「……それ、何時間目?」


「……不明です」


「不明で済ませるな」


ーーーーーーーーーーーーーー


四日目。


ノアは、あきれ顔。


「休暇ってさ」


「はい」


「回復する期間だよね」


「……しています」


「どこが」


「……HPは安定しています」


ノア、頭を抱える。


ーーーーーーーーーー


その頃。

画面の向こうでは、

変化が起きていた。


『ゆうさん、いつもいますね』


『固定、本気で考えません?』


『毎日いるの、珍しいですよ』


(……珍しい?)


「……休暇です」


ーーーーーーーーーーーーーーー

五日目。


ついに来る。


『ゆうさん、普段は

 お仕事何してるんですか?』


(……来たな)


これまで、避けていた質問。


「……会社員です」


『どんな?』


(……そこまで答える必要はない)


「……管理系です」


ーーーーーーーーーーーー


六日目。

さらに来る。


『年齢って聞いてもいいですか?』


(……業務外)


一拍。


「……三十代です」


『若い!』


(……普通だが)


ーーーーーーーーーー


七日目。


決定打。


『休暇一か月って、すごいですね』


『独身ですか?』


(……踏み込み)


「……今はソロです」


嘘ではない。


ーーーーーーーーー


ノアは、隣でそれを見ていた。


「兄さん」


「はい」


「それ、”ネトゲ出会い廚”」


「……何でしょうか」


「フラグ」


ーーーーーーーーーーー


悠馬は、画面を見つめた。


(……フラグ)


(……立て直すべきか)


だが。


(……今は休暇だ)


その夜。


エド叔父は、状況をすべて把握していた。


だが、何も言わない。

ただ、一言だけ残す。


「……休暇は使い方も

 含めて休暇だ」


それ以上、何も指示しなかった。


ーーーーーーーーーー


こうして。


・ 悠馬は

 足元を探すと言いながら「廃プレイ」を始め

・ノアはあきれ

・エド叔父は無言

* そして

 「新しい厄介事」が静かにログインした


ーーーーーーーーー


『三十を越えて取った一か月の休暇は、

 回復期間になるはずだった。』


だが実際は、


> 考えないための時間

> +

> 新しい地雷の準備期間


だったらしい。


悠馬は、まだそれを知らない。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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