第五部 第十三話 ~余波は、昼休みにやってくる―(ノア視点)~
本人変わってないのに評価だけ変わることありませんか?
昼休み。
ノアは、オフィスの一角で立ち止まった。
(……何この光景)
兄がいる。
ただ、
”座っているだけ”だ。
コーヒー。
砂糖三杯。
静止。
なのに。
(……人、集まってない?)
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「佐伯さん、昨日の夜会どうでした?」
「……通常です」
(……通常って何)
「疲れてません?」
「……問題ありません」
(……問題しかなさそうだが)
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さらに。
「佐伯さん、この資料のここ、
どっちがいいと思います?」
「……こちらです」
「ありがとうございます!」
(……即回復)
別の人。
「佐伯さん、ちょっといいですか」
「……はい」
(……詠唱なしで単体回復飛んだ)
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ノアは、そっと同僚に聞いた。
「兄、今日どう?」
同僚は、真顔で答える。
「……落ち着きます」
(……でしょうね)
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数分後。
「佐伯さん」
「……はい」
「お昼、それで足ります?」
(……食事確認まで)
「……足ります」
(……HP管理されてる)
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ノアは、兄の背後に回り、小声で言った。
「兄さん」
「はい」
「”今、
完全にオフィスの回復床”」
「……?」
「立ってるだけでHP戻るやつ」
「……そうでしょうか?」
「そう」
即答。
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兄は、首を傾げる。
「……昨日の夜会の余波でしょうか」
「そう」
「“並んで立てる男”
って評価、今日“触っていい人”に変換されてる」
「……変換?」
「誤訳」
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ノアは、
兄を観察する。
* 昨夜は線を引いた
* 踏み込ませなかった
* でも拒絶しなかった
(……なるほど)
「兄さんさ」
「はい」
「**安心感って、
勝手に拡散する**」
「……制御は」
「不可」
「……了解」
(……了解で済ますな)
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そこへ、
また声。
「佐伯さん、
この後の会議……」
「……はい」
兄は、
立ち上がった。
(……範囲回復終了)
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歩きながら、
ノアは言う。
「昨日は夜会で
並んで立ったでしょ」
「……はい」
「今日は昼休みで
並んで座ってる」
「……並んで?」
「心配と」
「質問と」
「チョコ」
「……チョコ?」
(……どこで拾ってきた)
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会議室前。
ノアは、
最後に言った。
「兄さん」
「はい」
「余波ってさ」
一拍。
「**静かなところに
一番出るんだよ**」
兄は、
少し考えた。
「……仕事には
支障ありません」
「そう」
「でも」
ノアは、
ドアノブに手をかける。
「**そのうち
“誰が回復してるか”
勘違いされる**」
「……勘違い?」
「夜会では
兄さんが場を回してる」
「オフィスでは
兄さんが人を回復してる」
「で」
一拍。
「**本人は
何もしてない**」
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会議が始まる。
兄は、
いつも通りだった。
資料。
説明。
判断。
何も変わらない。
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昼休み後。
ノアは、
席に戻りながら思った。
(……これは)
(……次の噂、
“癒し系”に
派生するな)
(……偽装結婚説と
合流するやつだ)
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ノアは、
兄の背中を見て
小さく笑った。
(……兄さん)
(……回復職、
天職すぎる)
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**夜会の余波は、
昼休みに
最も静かに現れる。**
そしてそれは、
本人の知らないところで
**次の誤解を育てていく。**
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AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




