第五部 第十話 ~叔父上は、盤面を動かす~
一度悠馬君が夜会にいてダンスの一つも踊ってるとこ見てみたいものだ
叔父上が動く時は、いつも静かだった。
前触れはない。
相談もない。
確認もない。
結果だけが、置かれる。
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その日。
悠馬の元に、一通のメールが届いた。
件名は、簡潔だった。
> 来週の夜会について
(……いつものだ)
悠馬は、何気なく開いた。
内容を読み、一行目で指が止まる。
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> 同伴者について、
> 今回は調整を行った。
>
> 当日、紹介する。
(……調整)
(……紹介)
嫌な予感が、確信に変わる。
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その日の夜。
叔父上は、いつもより早い時間に
フラットを訪れた。
コートを脱ぎ、ソファに腰を下ろす。
「……噂が落ち着き始めている」
「……そうでしょうか」
「訂正しなかったからだ」
即答。
「余計な混乱が止まった」
(……結果論では)
だが、口には出さない。
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「そこでだ」
来た。
叔父上は、指を組んだ。
「次の夜会は、“説明がいらない形”にする」
「……説明」
「噂を否定しない」
「肯定もしない」
「ただ」
一拍。
「形を置く」
(……形)
悠馬は、ゆっくり聞いた。
「……どういう」
「“守っている男”という評価は、悪くない」
「だが」
「守る対象が曖昧すぎる」
(……曖昧)
「だから」
叔父上は、はっきり言った。
「仕事の形で、置く」
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「……仕事、ですか」
「そうだ」
「私の秘書だ」
(……秘書)
「有能だ」
「余計なことを言わない」
「線を引ける」
「噂に興味がない」
(……それは、優秀だ)
「当日は」
叔父上は、淡々と続ける。
「同行ではない」
「紹介だ」
「席も、距離も、固定しない」
「だが」
一拍。
「“並んで立てる”姿を見せる」
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悠馬は、静かに考えた。
(……同伴ではない)
(……紹介)
(……距離を詰めない)
(……だが、並ぶ)
それは、今まで避けてきた“中間”だった。
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「……叔父上」
「何だ」
「それは」
言葉を選ぶ。
「……利用、でしょうか」
叔父上は、一瞬だけ目を細めた。
「使う」
否定しない。
「だが」
「誰も、傷つかない」
「踏み込ませない」
「誤解を整理するだけだ」
(……整理)
「噂を消すのではない」
「噂の居場所を変える」
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悠馬は、黙った。
これは、強制ではない。
だが、拒否もしにくい。
「……断る、ことは」
「できる」
即答。
「だが」
一拍。
「その場合、次は
もっと直接的なカードになる」
(……それは、避けたい)
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夜。
フラット。
ノアの服を着て、椅子に座る。
カタカタカタカタ。
「ゆう」が今日も安定している。
チャットが流れる。
『固定、考えません?』
(……同じだ)
線を引く。
「今回は、見送ります」
送信。
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画面を閉じ、天井を見る。
(……並んで立つ)
(……踏み込まない)
(……形だけ)
それは、今の自分にできるだろうか。
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翌朝。
叔父上から、
短い追伸が来た。
> これは選ばせるための
> 罠ではない
>
> お前が立てる場所を
> 増やすための仮設だ
(……仮設)
悠馬は、ゆっくり息を吐いた。
(……夜会は、
楽だ)
(……だが、
これは)
楽ではない。
だが、
逃げでもない。
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叔父上は、盤面を動かした。
噂を消すためではない。
結論を出すためでもない。
“立てる場所”を、一つ増やすために。
悠馬は、そのカードをまだ取っていない。
でも、テーブルの上に
置かれたことだけははっきりと分かっていた。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




