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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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第五部 第八話 ~一線は、越えられる~

悠馬君はじぇんとるまんです

その夜会は、最初から空気が違っていた。

ざわつきではない。

視線の数が、

いつもより多い。


(……見られている)


悠馬は、いつも通りに立っていた。


同伴者は、

叔父上が選んだ女性。

仕事関係。年上で、落ち着いている。


腕を貸し、歩調を合わせる。

動作に、迷いはない。


しかし、

会話の合間に感じるのは、

“測られている”視線だった。


ーーーーーーーーーーーーーー


「最近、お忙しそうですね」


「……ええ」


「夜会も、減らされたとか」


(……広まっている)


「必要な場には出ています」


それだけ答える。

同伴者は、一瞬だけ目を細めた。


「……余裕、ですね」


(……余裕ではない)


だが、訂正しない。


ーーーーーーーーーー


別の輪に移る。


「佐伯さん」


声をかけてきたのは、

以前から顔見知りの人物だった。


「最近、雰囲気が変わりましたね」


「……そうでしょうか」


「ええ。以前は“立っている”感じでしたが」


一拍。


「今は、“立てている”ように見える」


(……違いは分かりません)


そう言いたかったが、飲み込んだ。


ーーーーーーーーーー


会の後半。


問題は、帰り際に起きた。

同伴者が、足を止める。


「佐伯さん」


「はい」


「……失礼を承知で伺いますが」


間。


「今、どなたともお付き合いは?」


来た。


悠馬の中で、警報が鳴る。


(……業務外)


「……特定の方はいません」


嘘ではない。


だが、言葉が少し足りなかった。

同伴者は、穏やかに笑った。


「そうですか」


そして、続ける。


「でしたら、

 今夜は少し踏み込んでもよろしいですか」


一線。


確実に、一線だった。


ーーーーーーーーーーーーーー


悠馬は、一拍置いた。

夜会で、初めて。


「……それは」


言葉を選ぶ。


「控えさせてください」


丁寧に。はっきりと。


「私は、今は

 誰かと距離を詰める状態ではありません」


沈黙。


同伴者は、驚いた顔をした。


そして、ゆっくり頷いた。


「……分かりました」


「率直ですね」


「……申し訳ありません」


「いいえ」


一歩、下がる。


「その線の引き方、

 嫌いじゃありません」


それだけ言って、去っていった。


ーーーーーーーーーーーー


悠馬は、深く息を吐いた。


(……越えなかった)


だが、

それで終わらなかった。


---


翌日。


オフィス。


空気が、妙に柔らかい。


「佐伯さん、昨日の夜会……」


(……もう来た)


「大人でしたね」


「踏み込ませないのに、失礼じゃない」


「逆に、信用できるって」


(……なぜ評価が上がる)


悠馬は、

笑わず、

否定せず、

ただ仕事に戻った。


ーーーーーーーーーーーー


その日の午後。


コピー機の近くで、小声が聞こえる。


「……弟さんの結婚、契約だったんでしょ?」


「らしいね」


「じゃあさ」


一拍。


「本命、

 兄のほうじゃない?」


(……待ってほしい)


「だから表に出せなくて、妹と形だけ、とか」


「ありそう」


「家族思いだもんね」


(……想像が暴走している)


ーーーーーーーーーーーーーー


悠馬は、その場を離れた。

訂正は、しなかった。

説明するには、相手が多すぎる。


ーーーーーーーーーーーーーー


夜。


フラット。

ノアの服を着て、椅子に座る。


カタカタカタカタ。


「ゆう」が今日も回復する。


チャットが流れる。


『最近、距離感うまいですね』


『踏み込みすぎない感じ』


(……ここでもか)


「了解」


それだけ打つ。


ーーーーーーーーーーーーーー


翌日。


叔父上が、短く言った。


「……一線を越えさせなかったな」


「……はい」


「そして」


一拍。


「越えさせなかったことで、話が膨らんだ」


(……いつものことです)


「だが」


叔父上は、珍しく言葉を選んだ。


「今回は、

 “守っている”という評価が付いている」


「……誰を」


「お前自身を、だ」


悠馬は、少しだけ考えた。


(……守ったつもりはない)


ただ、無理をしなかっただけだ。


「覚えておけ」


叔父上は、静かに続ける。


「一線を越えない男は、安心される」


「安心されると、

 人は勝手に物語を作る」


「そして」


一拍。


「その物語は、

 本人の手を離れていく」


悠馬は、黙って頷いた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


その夜。


ベッドに横になり、天井を見る。


(……足元は、まだ不安定だ)


だが。


(……立っては、いる)


一線を越えず、誰も選ばず、

それでも立っている。


その姿が、次の誤解と噂を

呼び込むことを、悠馬はまだ知らない。


”一線は、越えられた。”


越えなかったことで。



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


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