第五部 第七話 ~評価は、本人の知らないところで更新される~
夜会ってことは悠馬君ダンスできるのかと今更思った
翌週。
悠馬は、意識的に夜会の数を減らしていた。
叔父上との約束通り、週二回まで。
それ以外の誘いは、丁寧に断る。
理由は書かない。感情も添えない。
それだけで、
意外なほど
周囲は引いた。
(……拍子抜けだな)
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夜会当日。
同伴者は、今回もローテーションの中から。
落ち着いた女性。仕事関係。
腕を貸し、歩調を合わせる。
やることは、いつもと同じ。
だが。
周囲の視線が、少し違う。
「最近、落ち着きましたよね」
「余裕が出たように見える」
(……余裕?)
本人は、単に疲れているだけだ。
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会の途中。
同僚が、声を落として言った。
「佐伯さん、無理してません?」
「……いいえ」
「最近、外で見かけなくなったので」
(……見かけなくて結構なのだが)
そうは言えない。
「必要な場には、出ています」
それだけ答える。
同僚は、なぜか納得した顔をした。
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数日後。
オフィス。
コピー機の前で、耳に入ってきた会話。
「佐伯さんって、
私生活はあまり表に出さないらしい」
「そうそう。でも家族思いで」
「弟さんの結婚、
大変だったんでしょ?」
(……大変ではない)
でも、
訂正するほどの関係でもない。
悠馬は、静かにその場を離れた。
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評価は、
いつもこうだ。
* 説明しない
* 訂正しない
* 否定しない
『その結果、都合よく整えられる。』
(……またか)
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夜。
フラット。
ノアの服を着て、椅子に座る。
カタカタカタカタ。
「ゆう」が
今日も安定している。
チャットが流れる。
『落ち着いてますね』
『最近、雰囲気変わりました?』
(……変わってはいない)
返事は、いつも通り。
「了解」
「回復まわします」
それだけ。
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翌日。
叔父上が、短く言った。
「……外で、評判が動いている」
「……そうですか」
「お前が何もしていないのに、だ」
(……いつものことだ)
だが。
「今回は、
“落ち着いた”“余裕がある”という方向だ」
悠馬は、少しだけ考えた。
(……外に出ない=落ち着いて見える)
(……役割を減らす=余裕に見える)
「……誤解です」
「知っている」
叔父上は、即答した。
「だが、
*誤解は使われる」
その言葉に、悠馬は嫌な予感を覚えた。
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「次の夜会だが」
「同伴者は、少し考えた」
(……来たな)
「“余裕のある男”としての
お前を見る者が増えている」
「だから」
一拍。
「試される」
悠馬は、小さく息を吐いた。
(……やはり)
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その夜。
ベッドに入って、目を閉じる。
(……足元は、まだ不安定だ)
(……だが、立ってはいる)
外でも。
内でも。
そして、
本人の意思とは関係なく、
物語は次の段階へ進もうとしていた。
評価は、
本人の知らないところで静かに更新されていく。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




