第五部 第六話 ~ノア「兄さん、どこ向かってんの?」~
電子レンジは使えないけどパソコンは使える悠馬君
数日後。
帰国したノアは、
兄のフラットに足を踏み入れた瞬間、違和感を覚えた。
「……兄さん」
「はい」
「ここ、前より生活感ないんだけど」
「……そうでしょうか」
「前は“死んでる生活”だったけど」
一拍。
「今は“選んで死んでる生活”になってる」
悠馬、否定しない。
ノアは、部屋の一角を見て固まった。
「……何これ」
「……必要だったので」
「夜会?」
「……違う」
「仕事?」
「……違う」
ノア、モニターを見る。
無言ヒーラー「ゆう」。
「……ネトゲ?」
「……はい」
「……本気?」
「……安定します」
ノア、頭を抱える。
「兄さんさ」
「はい」
「電子レンジより先にこれ揃えたよね」
「……はい」
「引くわ」
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ソファに座り、ノアはため息をついた。
「兄さん、どこ向かってんの?」
悠馬は、すぐに答えられなかった。
「夜会、減らしたよね」
「……はい」
「人とも会わない」
「……はい」
「で、ネトゲで回復職」
「……はい」
ノアは、少しだけ真剣な顔になる。
「それさ」
一拍。
「逃げ?それとも、立ってる?」
悠馬は、画面を見たまま答えた。
「……立っています」
「どこで?」
「……ここで」
カタカタ。
ノアは、苦笑した。
「……兄さん、相変わらず変だよ」
「……そうでしょうか」
「うん」
即答。
「でもさ」
一拍。
「前よりは、生きてる顔してる」
悠馬は、少しだけ驚いた。
ノアは立ち上がり、玄関に向かう。
「まあいいや」
「壊れるよりマシだし」
「でもね」
振り返る。
「そのまま行くと、誰かに拾われる前に、
兄さんが“選ばされる”からね」
悠馬は、その言葉を胸に留めた。
(……選ばされる)
ノアが帰った後、部屋はまた静かになる。
カタカタカタカタカタ。
今日も、回復は間に合った。
でも。
この“安定”が、いつか終わることを、
悠馬はまだ知らない。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




