第五部 第四話 ~叔父上は、逃げ道を許さない~
週5で昼間家政婦さんに来てもらえばいいのではと思わなくもない。でも嫌なんだろうな。
その日は、夜会がなかった。
それだけで、悠馬の一日は少しだけ重かった。
(……外に出る理由が、ない)
逃げ場がない、という意味ではない。
ただ、立っていなくていい時間は、判断を迫ってくる。
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昼過ぎ。
鍵の音。
「……叔父上」
「昼だ。いい時間だろう」
叔父上は、当然のように入ってきた。
今日はコートを脱がない。
長居するつもりはないらしい。
「座れ」
言い切り。
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「結論から聞く」
叔父上は、悠馬の顔をまっすぐ見た。
「生活改善は、進んでいないな」
「……はい」
「夜会は」
「……問題ありません」
「だろうな」
即答。
「だから聞いている」
一拍。
「なぜ、夜会はできて、生活はできない」
悠馬は、すぐには答えられなかった。
(……できる、からだ)
そう言いかけて、飲み込む。
それは答えにならない。
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「では順に潰す」
叔父上は、淡々と言った。
「家政婦を毎日にする案」
「……無理です」
「理由」
「……家に、人がいるので」
「却下」
即断。
「次」
「誰かに昼だけ来させる案」
悠馬は、わずかに眉を寄せた。
「……それも無理です」
「理由」
「……知っている人に、生活を見られるのは、
耐えられません」
叔父上は、一拍考え、頷いた。
「合理的だ」
(……認められた)
「次」
「外に出る頻度を減らす案」
「……はい」
「実行しているな」
「……はい」
「結果」
「……少し、楽です」
「だが」
叔父上は、静かに言った。
「それは解決ではない」
悠馬は、反論しなかった。
できなかった。
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「夜会がある日は、立てる」
「家にいる日は、立てない」
「つまり」
一拍。
「お前は“役割がある時しか、存在できていない”」
その言葉は、痛かった。
だが、的確だった。
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「聞く」
叔父上は、声を落とした。
「夜会で、お前は何をしている」
「……役割を果たしています」
「具体的に」
「……場を回し、相手を立て、失礼がないように」
「感情は」
「……使いません」
「だろうな」
即答。
「では、家では」
悠馬は、黙った。
「役割がない」
叔父上が続ける。
「正解もない」
「評価もない」
「だから、お前は止まる」
悠馬は、小さく息を吐いた。
「……はい」
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「では、選べ」
叔父上は、言い切った。
「役割を増やすか、役割なしで立つか」
「中間は、ない」
悠馬の指先が、わずかに動く。
「……役割を、増やすと?」
「夜会を増やす」
「管理を外注する」
「生活を、誰かに預ける」
(……延命だ)
悠馬は、それを理解していた。
「……役割なしで立つ、というのは」
「何もしない時間を、自分で引き受けることだ」
叔父上は、静かに続ける。
「判断しない」
「選ばない」
「だが、逃げない」
「そこにいる」
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沈黙。
長い。
時計の針の音が、やけに大きい。
悠馬は、ようやく口を開いた。
「……それは」
一拍。
「……一番、怖いです」
叔父上は、それを否定しなかった。
「だろうな」
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「だが」
叔父上は、立ち上がった。
「そこを通らなければ」
「お前は」
一拍。
「誰とも、並べない」
その言葉は、脅しではなかった。
未来予測だった。
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「期限は設けない」
「だが」
「夜会の数は、増やすな」
「外注もしない」
「逃げるなら、はっきり逃げろ」
「曖昧に立つな」
それだけ言って、叔父上は出ていった。
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一人になる。
部屋は、相変わらず静かだ。
冷蔵庫。
電子レンジ。
ソファ。
(……役割なしで、立つ)
それは、何もしないこととは違う。
“ある自分”を、そのまま置くということだ。
悠馬は、椅子に座り直し、ノートPCを開いた。
外には、行かない。
誰とも、会わない。
でも、逃げもしない。
(……試してみるか)
そうして、悠馬は初めて
『夜会以外の場所で、立つことを選んだ』。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




