幕間 失恋後、静かなところ
悠馬君の傷心回。
失恋の翌日は、驚くほど普通にやってきた。
朝は来るし、コーヒーも淹れる。
砂糖は、三杯。
(……減らせなかったな)
悠馬はそれを見て、少しだけ苦笑した。
泣くほどではない。
何もできなくなるほどでもない。
ただ、胸の奥に小さな違和感が居座っている。
(……これが“終わった”ってやつか)
仕事の予定を確認する。
会議。
資料。
移動。
全部、今まで通り。
(……戻れるな)
戻れることに、少しだけ安心する。
同時に、少しだけ寂しくなる。
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昼。
ノアが、何でもない顔で言った。
「兄さん、昼どうする?」
「……適当に」
「胃に優しいやつね」
「……はい」
会話は、それだけ。
失恋については、触れない。
それが、ノアなりの距離感だった。
(……助かる)
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午後。
窓の外を見ながら、悠馬はふと思った。
最初のフランス。逃げ回った自分。
ノアの結婚。置いていかれた感覚。
エド叔父の言葉。
「切るな」
白衣の天使。優しさに落ちた自分。
二ヶ月間の丁寧すぎる時間。
そして、振られた。
(……全部、ちゃんと起きたな)
逃げなかった。
誤魔化さなかった。
結果は、「失恋。」
でも、以前ならそこまで辿り着く前に切っていた。
(……進んでは、いる)
それだけで、今は十分だと思えた。
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夜。
部屋で一人、コーヒーを飲む。
砂糖三杯。
変わらない習慣。
変わったのは、少しだけ考え方だ。
(……次は)
(……下げない)
(……でも、無理はしない)
矛盾している。しかし、今はそれでいい。
恋愛をすぐにしたいわけじゃない。
結婚を急ぎたいわけでもない。
ただ、「委ねる」という選択肢を忘れずにいたい。
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ベッドに横になり、灯りを落とす。
胃は、静かだ。
胸の奥も、騒いでいない。
(……今日はこれでいい)
悠馬は、そう思いながら目を閉じた。
失恋は、確かに終わった。
でも、何かが壊れたわけではない。
むしろ、
『ようやく“自分の癖”を自覚しただけ』だ。
それは、
次の物語へ行くための静かな準備だった。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




