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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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第四部 第六話 ~誠実の刃で振られる~

悠馬君は告白からふられるまでの2か月間、キスはおろか手も握ってません。

悠馬「誠実に一線はこえません(`・ω・´)」

その日は、最初から静かだった。

天気も、人の流れも、会話の始まりも。

何も、悪くなかった。


だからこそ、

悠馬はどこで間違えたのか

すぐには分からなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「……少し、お話ししてもいいですか」


看護師は、そう切り出した。


声は、穏やかで、ためらいもない。


(……来た)


悠馬は、一度だけ深呼吸をして頷いた。


「はい」


逃げない。途中退出しない。

それだけは、決めてきた。


ーーーーーーーーーーーーーー


店は、いつもより

少しだけ静かな席だった。


「佐伯さん」


看護師は、まっすぐにこちらを見る。


「……私」


一拍。


「佐伯さんが私の事、大切に

 思っていただいているのは分かっています」


(……よかった)


一瞬、そう思ってしまう。


だけど、

その続きがあることも分かっていた。


「でも」


やはり、その言葉は来た。


「正直に言いますね」


「……はい」


「私、ずっと戸惑っていました」


悠馬の指先が、わずかに緊張する。


「優しい」

「丁寧」

「誠実」


「それは、本当にありがたいです」


「でも」


一拍。


「私は、あなたの中に

 入れてもらえていない感じがしました」


(……入れてない)


「守られている、というより」


「距離を決められているような」


その言葉で、すべてがつながった。


ーーーーーーーーーーーー


悠馬は、ゆっくりと口を開いた。


「……正直に言ってもいいですか」


「はい」


「私は、あなたに

 負担をかけたくなかった」


「……うん」


「あなたの生活を乱したくなかった」


「……うん」


「だから」


一拍。


「先に、下げました」


自分でも、

はっきりそう言えた。


「向いていないかもしれない」

「合わないかもしれない」


「そう思って」


「……切られる前に、切りました」


看護師は、少しだけ目を伏せた。


「佐伯さん」


「はい」


彼女は、静かに言った。


“相手の人生を尊重するあまり”


“自分を先に下げすぎる”


“それは、誠実です”


(……)


“でも”


“相手の選択肢を奪うことにもなるんです”


その言葉は、刃のように鋭かった。

でも、冷たくはなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「私は」


看護師は、続ける。


「あなたに

 決めてほしかったわけじゃありません」


「私自身が、決めたかった」


「近づくか」

「離れるか」

「続けるか」


「それを」


一拍。


「一緒に迷いたかった」


悠馬の胸が、静かに潰れる。


(……ああ)


(……これだ)


エド叔父が言っていたこと。


「切るな」

「委ねろ」


それを、一番大事なところでできなかった。


ーーーーーーーーーーーーーー


「……すみません」


思わず、口をついて出た。


だが、看護師は首を振った。


「謝らないでください」


「あなたは、本当に誠実です」


「でも」


微笑みながら、はっきりと言った。


「今のあなたと交際を始めると」


「私は、あなたに

 “守られる側”になってしまう」


「それは、私の望む関係ではありません」


——振られた。


逃げ場のない、とても丁寧なお断りだった。


ーーーーーーーーーーーーー


帰り道。


悠馬は、ゆっくりと歩いていた。


胃は、不思議と痛くない。


潰瘍の痛みは、もうない。


代わりに、胸の奥がじんわりと熱い。


(……これが)


(……恋か)


初めて優しくされて、

初めて自分から踏み込んで、

初めて失敗した。


それも、自分の癖が原因で。


(……遅いな)


小さく、笑ってしまう。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ハミルトン邸。


リビングに入ると、

ノアがすぐに察した。


「……来た?」


「……来た」


「ちゃんと?」


「……ちゃんと」


ノアは、それ以上聞かなかった。


しばらくして、ぽつりと言う。


「兄さん」


「……何だ」


「それ、

 ”初めてのちゃんとした失恋”だね」


「……そうだな」


「で?」


「……学んだ」


ノアが、少し笑う。


「何を?」


悠馬は、少し考えてから答えた。


「……下げる前に、委ねる」


「……おお」


「それが一番怖い」


「うん」


「でも」


一拍。


「……次は、やる」


ノアは、何も言わず、親指を立てた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


その夜。


悠馬は、コーヒーを淹れた。


砂糖は、三杯。


(……戻ったな)


甘さを感じながら、思う。


(……これで、終わりじゃない)


恋は、終わった。


だが、

”やっと始め方を間違えていたことを知った”。


それは、失恋としては

悪くない終わりだった。



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


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