表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/54

第一部 第三話 ~大体禄でもない~

エド叔父の長年の夢?がかなった瞬間?です???

一方その頃、イギリス


ハミルトン邸には、すでに蘭が戻ってきていた。


外回り続きの帰国で、

本来なら時差も疲労も溜まっているはずだが、

彼女は特に気にした様子もなく、

いつもの調子で廊下を歩いていた。


この屋敷に戻ると、体が勝手に切り替わる。

仕事用でも、私生活用でもない、

”ハミルトン邸用のスイッチ”だ。


そしてほぼ同じ頃、

ノアもまた、

エド叔父に呼び出されていた。


理由は聞かされていない。


だが、この家で

「理由の説明がない呼び出し」は、

だいたい決まって、

『説明しなくても察しろという案件』である。


書斎に通された二人は、

自然と向かい合う形で座らされた。


「……なんだと思う?」


ノアが小声で聞く。


「さあ。でも、たぶん碌でもない」


蘭は即答した。


二人とも、この家で育った経験値が違う。

そこへ、

エドワード・ハミルトンが現れる。


紅茶を片手に、

まるで日常の延長のような足取りで。


「二人とも、よく来た」


挨拶はそれだけだった。


エドは机の前に座ると、何の前置きもなく、

書類の束を取り出した。

そして、机の上に置く。


音は軽い。

だが、その存在感は重い。


「婚姻証明書と契約条件だ。

 サインをしなさい」


一瞬、

空気が固まった。


ノアは瞬きを忘れ、

蘭は視線だけをエドに向けた。


「……え?」

「……父上?」


だがエドは、まったく気にした様子もなく、

紅茶を一口飲んだ。


「説明は書いてある。読む時間は与える」


ノアと蘭は、

顔を見合わせた。


ーーー来たな。


子供の頃から、

何度となく聞かされてきた言葉がある。


「お前たちは、そのうち結婚する」


本気とも冗談とも取れる調子で、

何年も、何年も。


(ついに来たか)

(思ったより早かったね)


蘭は書類を手に取り、ざっと目を通す。

ノアも続く。

沈黙の中、紙をめくる音だけが響く。


「……契約結婚?」


「そうだ」


「恋愛は?」


「不要だ」


「仕事への影響は?」


「出ないようにしてある」


「干渉は?」


「最小限だ」


一問一答。


エドの答えは、すべて即答だった。


条件は、驚くほど合理的だった。


感情の強要はない。

生活の自由もある。

互いの仕事を邪魔しない。


(……悪くない)

(というか、普通に断る理由がない)


ノアは内心で思った。


だが、

同時に理解していた。

ーーーこれを断ると、

 ”もっと面倒な手段を取られる。”


蘭も、同じ結論に至っていた。


「……あー」


蘭はペンを持ちながら、

小さく息を吐く。


「これ、断ると面倒なやつだよね」


「うん。すごく面倒なやつ」


二人は、ほぼ同時にサインした。

ペン先が紙を走る。

その音は、

驚くほどあっさりしていた。


「以上だ」


エドは書類を回収し、満足そうに頷いた。


「二人とも、下がっていい」


ノアと蘭は立ち上がり、

特に感想も述べずに書斎を出る。


廊下に出てから、

ノアがぽつりと言った。


「……俺たち、今、結婚した?」


「形式上はね」


「実感ないな」


「この家らしいでしょ」


二人は、

特に深刻そうでもなく、

それぞれの用事へと散っていった。


――書斎に残ったのは、

エドワード一人。


彼は書類を整え、

新しい紙束を引き寄せる。


「さて……」


ペンを取り、

リストの先頭に名前を書く。


『佐伯悠馬。』


「次は、真打だな」


有能。

責任感が強い。

生活が雑。


「有能嫁計画、第二段階だ」


その頃、当の本人はまだ知らない。


フランスで、

必死に逃げ回った数日間が、

”何の防御にもなっていない”ことを。



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ