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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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第三部 第五話 ~「それでいい」かどうか~

悠馬君のコイバナはいつ始まるんだろう

第三候補が去った後、ダイニングには静けさが残った。

食器を下げる音も、どこか遠い。


悠馬は、

椅子に深く腰を下ろしたまま、

しばらく動けなかった。


胃の奥が、じわじわと重い。


(……言ったな)


条件。

自分の時間。

「今は無理だ」、という本音。


初めて、

“選ばれる場”で自分の側から線を引いた。


それだけで、体力を使い切った感じがする。


「……叔父上」


悠馬は、顔を上げずに言った。


「今のは……計画外、ですよね」


エド叔父は、

すぐには答えなかった。


紅茶を注ぎ、一口飲む。

その間が、やけに長く感じられる。


(……評価が来る)


そう身構えた瞬間。


「計画外だ」


はっきりした声。


悠馬の肩が、わずかに強張る。


「だが」


一拍。


「”悪くない”」


(……え)


思わず、顔を上げた。


エド叔父は、穏やかな表情のままだった。


「条件を言ったな」


「……はい」


「逃げずに、相手を下げずに」


「自分の状態を説明した」


(……そこ、見てたんだ)


「私はな」


エド叔父は、カップを置き、

悠馬をまっすぐ見た。


「“選ばれること”に慣れすぎた人間が、

自分の条件を言えなくなるのを何度も見てきた」


その言葉は、責めでも自慢でもない。

ただの事実だった。


「今日のお前は」


一拍。


「”ちゃんと止まった”」


(……止まった)


「それでいい」


その一言が、静かに落ちた。

評価でも、許可でもない。


“確認”だった。


悠馬は、しばらく何も言えなかった。


胸の奥で、

張りつめていたものが少しだけ緩む。


「……有能嫁計画は」


恐る恐る、そう聞く。


エド叔父は、すぐには否定しなかった。


「止めない」


(……やっぱり)


「だが」


ここが、肝だ。


「”急がない”」


悠馬の眉が、わずかに動く。


「条件を言えた人間を、

 無理に前に進めると壊れる」


(……分かってたのか)


「お前は、

 もう“用意された場”だけで

 動く段階ではない」


紅茶を飲み干し、穏やかに言う。


「次は、お前が“入る場”を選ぶ」


それは、これまでとは明らかに違う宣言だった。


悠馬は、

ゆっくりと息を吐いた。


「……正直、胃が限界です」


思わず、本音が漏れる。


エド叔父は、小さく笑った。


「知っている」


「だから、今日はここまでだ」


立ち上がり、話を終わらせる。


「よくやった」


それだけ言って、部屋を出ていった。

残された悠馬は、しばらく天井を見ていた。


(……それでいい、って言われたな)


否定されなかった。押し戻されなかった。


それだけで、十分だった。

少し遅れて、ノアがぽつりと言う。


「……父上が

 “それでいい”って言うの、珍しいよ」


「……そうなのか」


「うん。たいていは“まだ足りない”」


悠馬は、小さく笑った。


「……じゃあ、今日は合格か」


「たぶんね」


ノアは、肩をすくめる。


「でも」


「うん?」


「第二フェーズは、絶対来る」


「……分かってる」


それでも。


今は、この一歩でいい。


有能嫁計画は、

まだ続く。


だが、

”悠馬は“条件を言える側”に

 足を踏み入れた。


それを、エド叔父がはっきりと認めた。


それだけで、

物語は確実に次の段階へ進んだ。



エド叔父さん、大層なこと行ってるようですが、単純に縁談あっせんしてるだけです。


AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


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