第一部 第一話 ~暇な男は、過去を掘り返す~
雑な紹介
佐伯悠馬:仕事は神、恋愛は初期設定未実装。胃が弱い。
ノア:弟。兄の人生の実況解説者。
凛と蘭:アメリカにいる双子の妹
エド叔父:人生をイベント扱いする人。
ハミルトン邸は、今日も静かだった。
エドワード・ハミルトンーーー通称エド叔父は、
紅茶のカップを手に、居間のソファに深く腰を下ろす。
「……暇だな」
仕事がないわけではない。
責任を放り出したわけでもない。
ただ、”今は自分が前に出なくても回ってしまう”だけだ。
グループの実務は、ほぼすべて佐伯悠馬が担っている。
拓海とジェシカは相変わらず忙しく、
凛と蘭は海外。
悠馬もロンドンか、さもなければその先だ。
そして、ノアは……
まだ爵位を継ぐ年齢ではない。
「平和だな」
そう呟いてから、
エドは小さく苦笑した。
この家で平和という言葉が出るときは、
だいたい”余計なことを考え始めた合図”である。
血縁関係だけなら、この家は単純だ。
佐伯拓海と菜摘の子どもは、
悠馬と、双子の凛と蘭。
自分とジェシカの子どもが、
ノア。
ただし、家としてはほぼ一つ。
仕事も生活も近すぎて、
境界線はとっくに曖昧だ。
その中心にいるのが、悠馬だった。
優秀で、真面目で、
言われたことは必ずやる。
だが生活は雑で、
放っておくと食事も睡眠も適当になる。
「……仕事は完璧なんだがな」
エドは紅茶を一口飲み、
今度はノアの顔を思い浮かべた。
あれはあれで、問題がない。
社交もできるし、友人も多い。
私生活も、それなりに充実している――ように見える。
だが。
「女関係は……」
一瞬考えて、エドは首を振る。
いや、特に問題があるという話は聞いていない。
実際には、何もない。
”ただの親心と(主に)偏見”だ。
「そういえば……」
ふと、昔の話を思い出す。
ノアと、蘭。
かつて一度、
二人を婚約させる案が出たことがあった。
だがあれは――
ジェシカに止められた。
「婚約だからよ。
縛る理由がないでしょう?」
もっともだ。
その通りすぎて、
エドは引き下がるしかなかった。
だが。
「婚約だから、進まなかった……のか」
ならば、婚約でなければ?
エドは、思考を止めなかった。
蘭はもう二十六だ。
仕事もできる。
現在はアメリカが主戦場。
そして、
ジェシカがその気になれば、
いくらでも“良さそうな相手”は見つかるだろう。
アメリカは、自由の国だ。
自由すぎて――
”変な虫がつかないとも限らない。”
(※根拠はない)
「……先に決めてしまえばいい」
その瞬間、
屋敷に一報が入った。
”双子が一時帰国する。”
ただし、凛は少し遅れる。
エドは、
ゆっくりと笑った。
「なるほど……今か」
『暇を持て余した男が、
過去の未消化案件を思い出し、
「ちょうどいい」と判断した時。』
それはもう、計画と呼んで差し支えない。
この日、佐伯悠馬はまだ知らない。
自分の恋愛事情が、
叔父の紅茶と、
”根拠のない心配”から始まったことを。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、
人との距離感が終わっている
悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?
……な話です。
一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を
読んでいなくても分かるように
頑張ってみました。
一言でもいいので、
感想をいただけるとうれしいです。




