表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/82

第二部 第一話 ~同行者選定、そして空港~

ノア君実は悠馬君が嫌いなのかそれともキュートアグレッションなのか。

秘書は、実に淡々と仕事をした。


「今回のフランス出張ですが、

 日程が長く、レセプションも含まれますので、

 同行者を一名つけるのが適切かと」


「お願いします」


佐伯悠馬は、即答した。


「条件は?」


「業務優先。

 社交経験があり、

 出過ぎず、引きすぎない方」


「それで」


一拍。


「”ノア以外で”お願いします」


秘書は一瞬だけ視線を上げたが、

理由は聞かなかった。


「承知しました」


それだけで話は終わる。


数日後、同行者は決まった。

実務能力、社交経験、距離感。

どれも申し分ない。


(……今回は大丈夫だ)


悠馬は、

久しぶりに胸の奥が静かになるのを感じていた。


一人じゃない。でも、ノアでもない。


(ちゃんと“仕事”になる)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃。


ハミルトン邸・書斎。


エドワードは、

特に指示を出すでもなく、

ただ一枚の報告書に目を通していた。


――フランス出張(長期)

――レセプション複数

――同行者選定:秘書判断

――ノア除外指定


「……なるほど」


それだけで、十分だった。


(安全策を取ったな)


判断としては、正しい。

だからこそ――

こちらの出番でもある。


エドワードは、

数本の連絡を入れただけだった。


内容は、どれも正当。


・急な家庭事情

・別案件の発生

・本人にとっても断れない理由


誰も責められない。

誰も悪くない。


ただ、

結果だけが変わる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



出発当日。


ロンドン・ヒースロー空港。


悠馬は、搭乗手続きカウンターの近くで立っていた。

腕時計を見る。


(……まだ来ないな)


時間は、遅れてはいない。

ただ、少しだけ余裕がある。


(同行者も、

 この辺にいるはず……)


周囲を見渡す。


その時だった。


視界の端に、

”見慣れすぎた後ろ姿”が映る。


(……?)


一瞬、脳が現実を拒否する。

だが、その人物は振り向いた。


「おはよう、兄さん」


――ノアだった。


「……は?」


声が、素直に出た。


「……え?」


ノアは、何もおかしくない様子で近づいてくる。


搭乗券。

パスポート。

完全に準備万端。


「……ノア」


悠馬は、

一拍遅れて言葉を探す。


「……なんで、ここにいる」


「同行だよ」


即答。


(聞いてない)


「……同行者、決まってたよな?」


「うん」


「……ノア以外で、頼んだよな?」


「うん」


全部、理解している返事。


それが一番怖い。


「じゃあ、なんで」


ノアは、少しだけ困った顔をした。


「父上に言われた」


(……やっぱり)


「なんて?」


ノアは、正確に繰り返す。


「”兄が気になるのだろう。ならば行ってこい”」


完璧な論理。

反論不能。


悠馬は、その場で一度、目を閉じた。


(……詰んだ)


「……他の同行者は?」


「急用」


「……急用」


「うん。本人にとっても、断れないやつ」


(綺麗すぎる)


誰も悪くない。

だから余計に、逃げ場がない。


「兄さん」


ノアは、少し声を落として言う。


「安心して。

 僕、余計なことは言わない」


(それが一番信用できない)


だが、ノアは続けた。


「兄さんは、本当に優秀だし」


(やめろ)


「仕事もできて」


(今じゃない)


「意外と家庭的で」


(言うな)


「小さいころから、ずっと面倒見てくれてたし」


(爆弾)


悠馬は、ゆっくりと天井を仰いだ。


(……これは、前回より確実に地獄だ)


搭乗案内が流れる。


ノアは、屈託なく言った。


「じゃ、行こうか」


悠馬は、

一歩遅れて歩き出した。


胸の奥で、

何かが静かに崩れる音がした。


その頃。


ハミルトン邸の書斎で、

エドワードは紅茶を飲んでいた。


「……現場で気づく方が、学習効果が高い」


穏やかな声。


「さて、応用編の続きだな」



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ