幕間 ~季節が巡る~
次、ラストです!
ロンドンの空は、相変わらず灰色だった。
雨は降っていない。
降っていないのに、湿っている。
それがこの街の通常運転だ。
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拓海父さんと菜摘母さんは、結局ロンドンに残った。
ハミルトンのタウンハウスに移り、
「何かあればすぐ行けるから」と菜摘は言った。
悠馬が尋ねた。
「……日本には戻らないんですか」
菜摘母さんは笑った。
「今更よ」
拓海父さんは肩をすくめた。
「戻る理由がねえ」
それだけだった。
雑で、重い答えだった。
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悠馬は少しだけ息を吐いた。
戻らない人がいる。
帰らないと決めた人がいる。
それでも日常は続いている。
妙な安心感が胸に落ちた。
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答えは出ない。
居場所も、帰る場所も、まだ言葉にならない。
だが生活は続く。
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菜摘の冷凍便は途切れず届き、
拓海は相変わらず騒がしく、
ノアはいつの間にか胃薬を常備するようになった。
「兄さん、胃薬は切らさないでください」
「切らしているのはノアです」
「僕のせいにしないでください」
そんな会話が通常運転になった。
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季節がいくつか巡った。
悠馬は変わらない。
変わらないまま、少しだけ整った。
走らされてきた人生の中で、
初めて“立ち止まる時間”だけが増えた。
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答えは保留のまま。
だが、保留のまま進むものもある。
世界は何事もなかったように、
次の“決定事項”を運んでくる。
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ある日。
いつものように連絡が入った。
淡々とした業務報告の形で。
「家政婦が、腰を痛めたそうだ」
生活は、突然終わる。
山は終わる。
だが生活もまた、山を作る。
悠馬は紅茶を置いた。
そして思った。
ーーー少し、では済まないらしい。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




