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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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第八部 第十一話 ~普通の夜・第二幕~

拓海さんは割と好きなタイプです

菜摘という地面の話をした直後だった。

拓海が少しだけ真面目になった直後だった。

悠馬は少しだけ温度を感じた直後だった。


だからノアは油断した。


人は油断すると死ぬ。



「よし」


拓海が立ち上がる。

嫌な予感。


「次は夜だ」


ノアが即座に叫んだ。


「やめてください!!!!!!!!」


「なんでだよ!」


「さっき反省した空気ありましたよね!?」


「反省と夜は別だ」


「別にするな!!!!」


悠馬は静かに聞いた。


「……普通の夜とは何度も来るものなのですか」


ノアが叫ぶ。


「兄さん学ばないで!!!」


拓海が満面の笑みになる。


「普通は繰り返すんだよ!」


ノアが呻いた。


「地獄も繰り返してます…」


夜。


ロンドン。

また光。

また音。

また匂い。


また胃。




悠馬はコートの襟を整えた。

昨日買った服。

普通の服。


普通のはず。


店の前でノアが立ち止まる。


「拓海父さん」


「なんだ」


「ここ、クラブじゃないですよね」


拓海が胸を張る。


「違う!」


ノアが疑う。


「本当に?」


「健全だ!」


「健全って何ですか」


「大人が集まる場所だ!」


「全部そうです!!!」


ーーーーーーーーーーーーー


悠馬は看板を見上げた。


“BAR”


短い。


「……酒ですか」


拓海が即答する。


「飲まない!」


ノアが即答する。


「飲むでしょう!!!」


ーーーーーーーーーーー


中は落ち着いていた。


昨日より静か。

照明も暗い。

音も小さい。


匂いも…酒だが昨日よりはマシ。


ノアが小声で言う。


「兄さん、ここなら…」


拓海が即答する。


「ほら普通だろ!」


悠馬は淡々と頷いた。


「昨日よりは普通です」


ノアが泣きそうになった。


「比較対象が地獄なんです…」


ーーーーーーーーーーーーーー


席に着く。


メニューが置かれる。


拓海が言う。


「悠馬、好きなの頼め」


悠馬は一拍止まる。


「……分かりません」


拓海が眉を上げる。


「水じゃねえのか」


「水です」


「じゃあ水だ」


「はい」


ノアがメニューを閉じる。


「兄さんは水でいいです」


拓海が笑う。


「お前は?」


「僕は飲みます」


「飲むのか」


「僕は胃が壊れてるので」


「壊れてるのか」


「兄さんのせいで」


「黙れ」


「はい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


拓海が店内を見回した。


「よし」


嫌な予感。


「普通の出会いをするぞ」


ノアが即座に死んだ。


「やめてください!!!!」


悠馬が静かに聞く。


「……出会いとは」


「ナンパだ!」


「ナンパは普通ではありません」


「普通だ!」


「違います」


拓海が笑う。


「昔は普通だった!」


「拓海父さんの昔を基準にしないでください!!」


拓海が立ち上がる。


「じゃあ手本だ」


ノアが叫ぶ。


「やめろ!!!!」


拓海は軽い。

軽すぎる。

そして声がでかい。


「Hey!」


近くの女性が振り返る。


拓海がにやりと笑う。


「一杯どうだ?」


女性が一拍。

視線が拓海の後ろに移る。


悠馬。


ノア。


悠馬。



「……息子さん?」


拓海が即答する。


「そう!」


ノアが即答する。


「違います!!!」


女性が微笑む。


「仲良いんですね」


ノアが呻く。


「最悪です…」




その瞬間だった。

女性が悠馬を見る。


「あなた、すごく素敵なコートね」


悠馬が固まる。

褒められた。


普通に。

生活圏で。


初めて。


悠馬は真顔で答えた。


「……ありがとうございます」


女性が笑う。


「堅いのね」


ノアが即座に割り込む。


「兄さんは仕様です」


「仕様!?」


「人間の仕様が特殊なんです」


「ノア!」


「はい!」


拓海が爆笑している。


「ほら出会いだ!」


ノアが叫ぶ。


「出会いじゃなく事故です!!!」


悠馬は水を飲んだ。

胃がきゅっとした。

酒ではないのに。


人間の会話で胃が動く。


拓海が肩を叩く。


「どうだ」


「普通だろ」


悠馬は一拍置いて答えた。


「……普通は胃に来ますね」


ノアが即答する。


「兄さん、それ名言にしないでください」


拓海は満足そうに頷いた。


「よし」


「次はもっと普通だ」


ノアが絶叫した。


「もうやめて!!!!!!!!」


普通の夜・第二幕は終わった。


普通ではなかった。


でも。


悠馬の世界に、


ほんの少しだけ


“業務ではない声”が混ざった夜だった。





AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


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