第八部 第十話 ~生活改善~
悠馬君は普通を探し続けます。
公園で終わるはずだった。
ノアはそう信じたかった。
普通の昼。
犬。
芝生。
平和。
胃が平和。
でも。
普通は続かない。
父上がいる限り。
エドワードはベンチに座ったまま、淡々と言った。
「悠馬」
悠馬は姿勢を正す。
「はい、叔父上」
ノアの胃が鳴った。
(始まる)
「試す時間が必要だと言った」
「はい」
「なら」
一拍。
「生活はどうする」
拓海が即座に口を挟む。
「生活?」
エドワードは拓海を見ない。
「そうだ」
「業務は戻る」
「だが生活は戻らない」
悠馬の指が止まる。
ノアが呻く。
「父上、それ今ここでやるんですか」
エドワードは淡々と返す。
「今だ」
(今なのか
ーーーーーーーーーーーーーーー
拓海が腕を組む。
「生活って何だよ」
エドワードが静かに言う。
「冷凍庫」
拓海が固まる。
「……は?」
「冷凍庫が空になっている」
悠馬が小さく咳払いをした。
「母が送ってくれます」
ノアが即答する。
「菜摘母さんがいなかったら兄さんは死にます」
「黙れ」
「はい」
エドワードは悠馬を見る。
「家政婦は」
悠馬は答える。
「週に一度です」
エドワードは一拍。
「少ない」
拓海が笑う。
「生きてるだろ」
エドワードが淡々と返す。
「生存しているだけだ」
ノアが小声で呟く。
「父上、正論で刺さないでください…」
拓海が急に明るく言った。
「じゃあ増やせばいいだろ」
「家政婦を」
悠馬は頷く。
「検討します」
ノアが即座に叫ぶ。
「兄さんの検討は信用ならない!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
エドワードが静かに言う。
「増やすだけでは足りない」
拓海が眉を上げる。
「何がだ」
「同伴」
ノアの胃が終わった。
(来た)
(有能嫁作戦)
悠馬は淡々と返す。
「叔父上、今は普通を試す時間で…」
エドワードは遮る。
「普通に同伴は必要だ」
拓海が笑った。
「普通って便利だな!」
ノアが叫ぶ。
「便利に使わないでください!!!」
拓海が突然立ち上がった。
「よし!」
嫌な予感。
「俺が教えてやる!」
ノアが即答する。
「やめてください!!!!」
「何でだよ」
「拓海父さんが教えるとろくでもない方向に行くんです!」
拓海が胸を張る。
「俺は経験豊富だぞ!」
悠馬が真顔で聞いた。
「母ともそうだったのですか」
拓海が固まった。
ノアが固まった。
エドワードの眉がわずかに動いた。
「……悠馬」
拓海が低い声で言う。
「お前はそういう爆弾を真顔で投げるな」
悠馬は首を傾げた。
「事実確認です」
ノアが呻く。
「兄さんは事実確認で人を殺す…」
エドワードが静かに言った。
「拓海」
「余計なことをするな」
拓海が笑う。
「俺に言うな」
「お前に言っている」
ノアが胃薬を握りしめた。
(父上が拓海父さんに注意している)
(効かない)
拓海は肩をすくめた。
「まあいい」
「生活改善だ」
「普通だ」
ノアが叫ぶ。
「普通って言葉を免罪符にしないでください!!」
悠馬は静かに思った。
生活。
普通。
帰る場所。
答えはまだ出ない。
でも。
叔父上がここまで言うということは、
もう逃げ場は片付けられている。
拓海がニヤリとする。
「次の休日な」
「今度こそ普通の夜の続きだ」
ノアが即死した。
「やめてください!!!!!!!!」
悠馬は淡々と頷いた。
「検討します」
ノアが叫んだ。
「検討するな!!!!」
公園の犬が吠えた。
それがノアの心境だった。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




