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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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幕間 悠馬から見た「普通の服」

悠馬君から見た「普通の日」

拓海が来た。

珍しい。


父親は基本、突然来るタイプではない。

突然来るのは大抵、エド叔父だ。

だが今日は拓海だった。




「……お前さ」


部屋に入るなり、拓海が言った。


「その格好、ずっとそれか?」


悠馬は自分の服を見下ろした。

ノアの部屋にあったシャツ。

適当に掴んだ。

便利だった。


「服ですが」


「服なのは分かる」


拓海が額を押さえる。


「普通にしろ」


「普通とは」


「そこからか……」


ーーーーーーーーーーーーーー


ノアが後ろで咳払いをした。


「兄さん、それ本当に……やめてください」


「何がですか」


「雰囲気が……」


雰囲気。

服に雰囲気があるらしい。

悠馬にはよく分からない。


拓海は即決した。


「買いに行くぞ」


「何を」


「普通を」


ーーーーーーーーーーーー


ロンドンの店は明るかった。

服が並んでいる。


人が多い。


目的が分からないまま入る場所ではない。

悠馬は少し息を止めた。


「こういうところに来たことがありません」


「あるだろ」


「スーツなら」


「私服だ私服!」


拓海が勢いで進む。

ノアは後ろで静かに胃を押さえていた。


いつものことだ。


店員が声をかけてきた。


「いらっしゃいませ。プレゼントですか?」


拓海が即答する。


「そうそう!息子に!」


「父親ですか?」


「父親だ!」


店員が微笑む。


「素敵ですね」


ーーーーーーーーーーーーー


その瞬間、店員の視線が移った。


悠馬。

ノア。

悠馬。


何かを確認するように。


「……こちらはお連れの方ですね」


「違います」


「違います!!」


ノアが即座に否定した。

拓海が肩を揺らして笑っている。


「ノア、お前アクセサリーだな」


「殺しますよ拓海父さん」


父さんと呼ばれて拓海が余計笑った。


試着室で、渡された服を着た。

ただのコートだった。


サイズが合っているだけで、落ち着く。

それだけのことだ。


ーーーーーーーーーーーーー


出た瞬間、空気が変わった。

店員が一拍止まる。


「……とてもお似合いです」


ノアが呻いた。


「兄さん、やめてください」


「何をですか」


「存在を」


「存在はやめられません」


拓海が満足そうに頷く。


「これが普通だ」


悠馬は小さく考えた。

普通とは、服で決まるものなのか。



帰り道。

紙袋は軽い。


だが、少しだけ重かった。

服を買っただけだ。

街を歩いただけだ。


それでも。


自分が今まで知らなかった種類の時間だった。


ーーーーーーーーーーー


ノアが言った。


「兄さん、今日で満足してくださいね」


「検討します」


「殺すぞ」


短いやり取り。

通常運転。


拓海が陽気に笑う。


「次は夜だな!」


「夜?」


「普通の夜!」


 ノアが即座に叫んだ。


「やめてください!!!!」


悠馬は真顔で聞いた。


「……普通の夜とは」


拓海がニヤリとする。


「次の休日に教えてやる」


ノアは胃薬を握りしめた。

嫌な予感しかしない。


悠馬は、ほんの少しだけ思った。

今までできなかったことを試す時間が欲しい。


それが答えに繋がるかは分からない。


でも。


走らされてきた人生の中で、

初めて自分で選んだ“普通”だったのかもしれない。



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


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