表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/137

第八部 第五話 ~普通のカフェ~

ノアが目立つだけで悠馬君もそんなに悪くは胃です。たぶん。

「よし」


拓海が言った。

嫌な予感しかしない。


ノアの胃がキリキリと痛んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「次は普通のカフェだ」


拓海が胸を張る。


ノアが即座に言う。


「普通って言葉を信用できなくなってきました」


悠馬は真顔で頷いた。


「同意します」


拓海が笑う。


「お前ら難しく考えすぎだ」


カフェは角にあった。

ガラス張り。

明るい。


人が多い。

“普通”に見える。


ノアは一瞬だけ安心した。

一瞬だけ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


席に着いた途端、店員さんがにこやかにやってくる。


「ご注文お決まりですか?」


拓海が即答する。


「コーヒー」


悠馬が一拍置く。


「……紅茶」


ノアが胃薬を握りしめながら言う。


「水で」


店員さんが微笑んだ。


「かしこまりました」


そして。

視線が止まった。


ノア。


顔。

服。

アクセサリー。

存在。


店員さんの笑顔が少しだけ柔らかくなる。


「……素敵ですね」


ノアが固まる。


「え?」


店員さんは何事もないように続けた。


「モデルさんか何かですか?」


ノアが叫ぶ。


「違います!!」


悠馬が真顔で言う。


「彼は胃薬係です」


ノアが机に額を打ち付けた。


ゴン。


ーーーーーーーーーーーーーーー


拓海が腹を抱える。


「おいノア、歩くブランドじゃねえか」


ノアが呻く。


「やめてください……」


隣の席。

女の子二人組がひそひそ話している。


ちら。


ちら。


ちら。


ノアを見る。

悠馬を見る。

拓海を見る。


拓海を見るのは間違いだ。


ーーーーーーーーーーーーーー


「ねえ、あの人すごくない?」


「どっち?」


「そっちじゃなくて…隣の!」


「顔が良すぎる…」


ノアが聞こえてしまう。

胃が縮む。


悠馬は静かに言った。


「ノア」


「はい…」


「君は普通に座っているだけで話題になりますね」


ノアが泣きそうになる。


「兄さん、やめてください…」


拓海が笑う。


「これが普通だ」


ノアが叫ぶ。


「普通じゃない!!」


紅茶が来た。

悠馬はカップを見つめる。


「……カフェとは」


拓海が言う。


「女と出会う場所だ」


ノアが即座に言う。


「違います!!」


悠馬が真顔で聞く。


「父さんはここで母さんと?」


拓海が凍った。

ノアが死んだ。



拓海は咳払いをした。


「……話を戻す」


悠馬が頷く。


「戻してください」


拓海は腕を組む。


「悠馬」


「はい」


「普通ってのはな」


「こうやって座って」


「何も決めなくても時間が過ぎることだ」


悠馬の指が止まった。


何も決めなくても。

時間が過ぎる。

走らされなくても。

予定がなくても。

ただ座っている。


悠馬は小さく息を吐いた。


「……それは」


拓海が笑う。


「怖いか?」


悠馬は少し考える。


「慣れていません」


ノアが小さく呟く。


「兄さんが座ってるだけで哲学になるのやめてください…」


拓海が肩を叩く。


「まあいい」


「今日は服」


「次はカフェ」


「そのうち普通に息ができる」


悠馬はカップを持ち上げた。


紅茶は温かい。

静かだ。

眩しくない。


悠馬はぽつりと言った。


「……呼吸ができます」


ノアが顔を上げた。


「兄さん?」


拓海が一瞬だけ黙る。


そして笑った。


「そうか」


ノアは胃薬を握りしめたまま呟く。


「……山じゃない日が来るんでしょうか」


悠馬は一拍遅れて答えた。


「検討します」


ノアは泣いた。


『普通のカフェは、普通ではなかった。』



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ