第七部 第十話 ~友達の定義~
友達のいない悠馬君。大丈夫。僕もいないから(`・ω・´)
食事会の終わり際。
サラはグラスを置いて、軽い調子で言った。
「じゃあさ」
「友達からでいいじゃん」
カイルが大きく頷く。
「それだよ!」
ジェシカは黙って見ている。
凛は遠くで淡々とスマホを見ている。
悠馬は止まった。
友達。
その単語が、恋愛より難しい。
「……友達」
悠馬は一拍置いて繰り返した。
サラは笑う。
「そう、友達!」
「気楽にさ」
悠馬の脳内で、業務分類が始まる。
友達とは。
利害がない関係。
定期的な接触。
相互の好意。
契約はない。
報告書もない。
(定義が曖昧すぎる)
悠馬は真顔で言いかけた。
「友達とは――」
カイルが即座に手を伸ばした。
「やめて!!」
サラが吹き出す。
「定義しようとしないで!」
悠馬は口を閉じた。
閉じた瞬間、ふと気づく。
(僕は)
(友達を作り損ねている)
大学でも。
職場でも。
気づけば周囲はいた。
でも、関係は全部役割だった。
ノアは弟分。
凛は妹。
エドワードは上司。
ジェシカも上司。
友達。
役割が無く横に並ぶ人間。
僕にはそれが、いない。
サラが少しだけ声を柔らかくする。
「悠馬ってさ」
「一人で立ちすぎなんだよ」
悠馬は返せない。
立っているのではない。
立たされている。
だが今さら区別はつかない。
ジェシカが静かに言った。
「悠馬」
「あなたは友達を作る暇がなかったのね」
観測。
正しい。
残酷。
悠馬は小さく息を吐いた。
「……必要がありませんでした」
嘘だった。
必要を認めた瞬間に崩れるからだ。
サラは笑った。
「必要だよ」
即答だった。
凛と同じ速度。
カイルと同じ軽さ。
西海岸の光の速さ。
カイルが肩を叩く。
「じゃあ決まり!」
「友達!」
悠馬は一拍遅れて頷く。
「……検討します」
サラが叫ぶ。
「検討じゃない!!」
ジェシカが小さく笑った。
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そのころ。
ロンドン。
ノアが胃薬を飲みながら呟く。
「兄さん、友達作ってきて……」
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悠馬は光の中で、少しだけ思った。
友達。
横に並ぶ場所。
それもまた、居場所なのかもしれない。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




