第七部 第九話 ~未遂という分類~
悠馬君はお酒が飲めません。なのでこういう席で飲んでいるのは水かコーラあたりでしょう。たぶん。
「未遂って何よ!」
サラは笑いながら言った。
カイルは腹を抱えている。
「恋愛に未遂あるの!?」
悠馬は真顔だった。
「結果が成立していないので」
「成立!」
カイルが机を叩いた。
「恋愛を契約みたいに言うな!」
サラは面白がって身を乗り出す。
「じゃあさ」
「成立って、どこから?」
悠馬は一拍置いた。
質問が難しい。
業務なら定義できる。
恋愛は「定義」が曖昧だ。
「……双方の合意?」
サラが吹いた。
「合意!!」
カイルが倒れた。
「面接だ!!完全に面接だ!!」
悠馬は即答する。
「面接ではありません」
サラは笑いながらも目を細めた。
「悠馬ってさ」
「怖いの?」
悠馬の動きが止まった。
質問が業務に変換できない。
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「怖い?」
カイルが首を傾げる。
「君が?」
悠馬は水を飲んだ。
逃げ道。
西海岸の光の下では薄い。
「……怖いわけでは」
言いかけて止まる。
否定はできる。
でも説明はできない。
サラが言った。
「前に誰か好きになったの?」
悠馬は一拍遅れる。
白い制服。
消毒の匂い。
「ごめんなさい」
淡い声。
淡々と終わった結論。
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「……未遂です」
また出た。
カイルが叫ぶ。
「それもう失恋だよ!!」
悠馬は静かに訂正する。
「失恋というほどの進行がありませんでした」
サラが笑いすぎて涙を拭いた。
「進行って何!」
そこへ。
ジェシカが店に入ってきた。
空気が一段重くなる。
ロンドンの重さではない。
圧の重さだ。
「楽しそうね」
ジェシカは淡々と言った。
カイルが即座に言う。
「ジェシカ!悠馬が恋愛未遂です!」
ジェシカの眉が動いた。
「未遂?」
悠馬は目を閉じた。
(情報が雑に流れる)
ジェシカは席に座る。
「悠馬」
「はい」
「あなた、ここでは少し息をしてる」
悠馬は返せない。
観測されている。
サラが小声で言った。
「この人、怖い」
カイルが囁く。
「ラスボス」
正しい。
ジェシカは悠馬を見る。
「あなたはどこにいても仕事をする」
「でも」
一拍。
「仕事しかできない場所にいる必要はないのよ」
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悠馬の喉が詰まる。
凛の言葉と同じだ。
立場ではなく場所。
サラがふと柔らかく言った。
「ねえ悠馬」
「ここ、嫌いじゃないでしょ」
悠馬は一拍遅れて答えた。
「……悪くはありません」
それが限界だった。
カイルが笑う。
「ほら!進行してる!」
悠馬は即答する。
「進行ではありません」
サラがまた笑う。
ジェシカが小さく息を吐いた。
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そのころ。
ロンドン。
ノアが机に突っ伏した。
チャットを打つ。
『兄さん、何してるんですか』
既読はつかない。
時差。
いや、兄さん。
たぶん通常運転。
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光の中で。
悠馬は一拍遅れて気づく。
ここでは、逃げ道が少ない。
その代わり。
問いが少しだけ、見える。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




