第七部 第四話 ~眩しい人たち~
まぁ、うん。この人たちと気が合わないよね悠馬君。
その日の昼は、
凛が「必要だから」と言って
本社の近くで簡単な食事を取ることになった。
必要。
凛の言う必要は、だいたい決定事項だ。
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席に着くと、
カイルは周囲を見回して目を輝かせた。
「いいね、ここ」
「ロンドンってさ」
「静かに格好いい」
ノアが即座に乗る。
「わかります!」
(……乗った)
悠馬は水を一口飲んだ。
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「ノアって言ったよね?」
「はい!」
「君、いいね!」
カイルは迷いなく言う。
「反応が速い!」
ノアは笑った。
「昔からこんな感じです!」
「最高だな!」
(最高とは)
悠馬は心の中でだけ呟く。
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凛は淡々とメニューを見ている。
「私はこれ」
即決。
カイルも即決。
「じゃあ僕もそれ!」
ノアも即決。
「俺も!」
(……全員即決)
悠馬だけがメニューを見ている。
まだ開いている。
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カイルが身を乗り出した。
「悠馬は?」
悠馬は顔を上げる。
「……考えています」
「考える?」
カイルは笑った。
「君、考えるの好きだね!」
悠馬は否定できなかった。
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注文が終わる頃には、
ノアとカイルの距離が異常に縮まっていた。
「ノアはさ、普段どんな感じ?」
「俺ですか?」
「うん!」
「ええと、、、普通?」
「普通!」
カイルは笑った。
「普通って言う人、普通じゃないよ!」
ノアも笑った。
(……仲間認定されている)
悠馬は水を飲んだ。
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「悠馬は?」
また来た。
カイルは無邪気だ。
「君はどうなの?」
悠馬は一拍置く。
「……業務です」
「業務!」
カイルは爆笑した。
「それしか言わない!」
ノアも笑った。
「兄さんはそういう人だよ」
(そういう人とは)
悠馬は心の中でだけ続けた。
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料理が来る。
カイルは一口食べて即座に言う。
「うまい!」
ノアも即座に言う。
「うまいですね!」
(反射で生きている)
悠馬は静かに食べる。
味は分かる。
ただ、会話の速度が分からない。
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凛がふと悠馬を見る。
「悠馬」
「はい」
「置いていかれてるわよ」
即答だった。
悠馬は少しだけ目を逸らす。
「……そうでしょうか」
「そうよ」
凛は淡々と言う。
「あなたはいつも一拍遅れる」
妹の言葉は容赦がない。
昔から。
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カイルが楽しそうに言う。
「凛がさ」
「君のこと、ほんと信頼してるって」
「でも君、もっと笑えばいいのに」
悠馬は一瞬だけ止まった。
笑う。
それは努力で増えるものなのか。
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ノアが横で頷く。
「兄さんは笑うときは笑います」
「いつ?」
「……たまに?」
(たまに)
カイルは爆笑した。
「たまにか!」
ノアも笑った。
凛は食べている。
悠馬は水を飲んだ。
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眩しい。
この二人は、眩しい。
そして自分は、その眩しさの中で
どこに立てばいいのか分からない。
戻る場所はある。
けれど。
居場所はまだ、
更新されないままだった。
AIアシスト作品です。
対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。
前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。
一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。




