奇跡の合体!その名は超次元勇士ゾーンG(グレート)ロボ!!
櫻魅耶の街は、地獄の様相を呈していた。全長52メートルの植物型次元獣ドキューノが、その巨大な蔓を鞭のようにしならせ、高層ビルや街を一撃で次々と粉砕する。
「させるかよっ! くらえ、フレア・ミサイル!」
上空から急降下するのは、タケルが操る1号機フレア・ストライカーだ。タケルは「駅前のゲーセンと同じだ」と言い張りながら、直感的なレバー操作とボタン連打で、驚くべきことに機体を自在に操っていた。放たれた光の弾丸がドキューノの硬質な皮膚を叩く。
「……信じられない。本当にゲーム感覚で操縦をこなしてるよ、タケルのやつ」
3号機ギガ・ランダーのコクピットで、ケンは冷や汗を流しながらホログラムパネルを操作していた。彼は持ち前の天才的頭脳で、短時間のうちにマシーンのOSを解析し、重力制御による浮遊移動の操縦を少しずつ慣れ始めつつあった。
「ケン君、助けて! 攻撃のやり方がまだ、全然わからないよ〜!」
一方で、2号機アイアン・グラップラーのモンタはパニックに陥っていた。目の前の力計測器は、彼の緊張に合わせて激しく針を振っているが、肝心の武装の使い方がわからず、ドキューノの足元を右往左往するばかりだ。
「ギギギィィィ……ッ!」
ドキューノが怒りに燃え、無数の棘が生えた蔓をモンタの機体へ向けて振り下ろした。
「モンタ、危ねえ!」
タケルが旋回し、機銃で蔓を逸らすが、ドキューノの再生能力は凄まじい。切られたそばから緑色の光を放ち、肉が盛り上がる。
「ダメだ、単発の攻撃じゃ再生が追いつかない! 一体どうすれば……」
ケンが計算の限界に突き当たったその時、タケルの不敵な笑い声が通信機から響いた。
「よし! こうなれば、"あれ"やるぞ!」
左右のモニターに映るケンとモンタが、同時に声を上げる。
「「"あれ"って?」」
「決まってんじゃん! 三機のマシーンと言ったら――"合体"しかないだろ!」
タケルが黄金の《ゾーンブレス》に右手をかざした瞬間、三人のモニターに「COMBINATION CONFIRMED(合体承認)」の文字が点滅した。
「合体ぃ!? ちょっと待って、タケル! 理論上は可能でも、僕たちはまだ、ドッキングのなんて、一回も試した事ないんだよ! 下手すれば空中衝突して、僕たちバラバラに――」
ケンの絶叫を無視するように、三人の《ゾーンブレス》が激しく共鳴を始めた。
キィィィィィィィィンッ!
「あ、画面が変わった……! 合体モード、起動?」
モンタの前に、三機のマシーンが重なり合う3Dシミュレーション図が表示された。
「よっしゃあ! 行くぜ二人とも、俺の動きに合わせろよッ! ゾーン・フォーメーション、セット・オン!!」
三機のマシーンが櫻魅耶の上空でV字の編隊を組んだ。
「うわあああ! 身体が引っ張られる!」
モンタの叫びと共に、2号機アイアン・グラップラーが変形を開始する。装甲車の中央が左右に割れ、強靭な両腕と屈強な胴体部が露わになった。
続いて、ケンの3号機ギガ・ランダーが巨大なコンテナ部分を二つに分割。重力制御によって垂直に立ち上がり、Gロボの巨大な両脚と腰部を形成する。
「……やってやる! 同調率、限界まで引き上げるよ!」
ケンが決死の表情でレバーを押し込む。
最後、タケルの1号機フレア・ストライカーが翼を畳み、機首を反転させながら、胴体部へとダイレクトに飛び込んでいく。
ガキィィィィィンッ!!
「合体……完了ッ!!」
1号機の機首が胸部中央の「青いコア」に収まり、内部から頭部がせり上がる。エメラルドグリーンのセンサーが眩い光を放ち、フェイスガードがガシャリと音を立てて閉じた。
「超次元勇士!!ゾォォォォォォォン……G、ロボォォッ!!」
タケルの雄叫びと共に、紅き巨神が櫻魅耶の空を背にして大地に着地した。
ドォォォォォォンッ!!
その衝撃波だけで、周囲の毒霧が吹き飛ぶ。
「…本当に、合体、成功させちゃったよ…!」
あまりの衝撃と加速度に目を回しかけていたケンが、コクピット内の安定した重力に驚き、メガネを直す。
「すごい……! すごいよタケル君! 」
モンタは、自分の腕の動きと連動して動くGロボの巨腕に興奮を隠せない。
「ギィィイイィィィ――ッ!!」
自分よりも巨大な標的の出現に、次元獣ドキューノが激昂した。全身の蔓を一本に束ね、巨大な槍のようにしてゾーンGロボへ突き出す。
「させるかよ! ケン、モンタ、足腰しっかり支えろよ!」
タケルが操縦桿を前に倒す。
――ズズゥゥゥゥンッ!
ゾーンGロボは突き出された蔓を左腕の分厚い装甲で受け流し、そのまま右ストレートをドキューノの顔面に叩き込んだ!
ドゴォォォォォッ!!
凄まじい衝撃波が空気を震わせる。ダイナミックな格闘戦が展開された。ドキューノの巨体がたじろぎ、ビルに背中を預けて押し潰す。
「追い打ちだ! モンタ、踏ん張れ!」
「おう! こんのッーー全開だあぁー!!」
ゾーンGロボは太い脚部で大地を蹴り、跳躍。空中から強烈なドロップキックをドキューノの胸部に叩き込む。
――ドガァァァァンッ!
しかし、ドキューノもただでは転ばない。倒れ込みながら全身の棘をミサイルのように射出し、ゾーンGロボの装甲を切り裂く。
「くっ……! まだまだぁ!」
「タケル、まずいよ! 奴の毒霧でセンサーが腐食し始めてる!」
ドキューノの口から吐き出された緑色の煙がゾーンGロボを包み込む。装甲がジリジリと音を立てて蝕まれ、三人の視界が遮られる。そこへ、再生した巨大な蔓がゾーンGロボの胴体を締め上げた。
「ギチギチ……!」と悲鳴を上げる装甲。
「うわあああぁっ! 苦しい……!」
モンタの声が響く。
「諦めるな! 俺たちが……俺たちがここで倒れたら、櫻魅耶の街はどうなるんだよ!」
タケルの叫びが、黄金のブレスをさらに輝かせた。
「俺たちの秘密基地は……俺たちの居場所は、絶対に守るんだ!!」
その瞬間、ゾーンGロボの全身のマルチコアが、これまでにないほど激しく発光した。
「全エネルギー、額のクリスタルに集中! ケン、制御を頼むぜ!」
「わ、わかった! エネルギー最大出力完了!!」
ゾーンGロボがドキューノの締め付けを自慢の怪力で引き剥がし、力強く一歩踏み出す。
額のエメラルドグリーンセンサーに、胸部マルチコアから全てのエネルギーが吸い上げられていく。
「これで……終わりだッ!ゾォォォオンGビィィィィィィム!!!」
――ビュゥォォォォォォォンッ!!
額のクリスタルから、空をも焼き焦がすような超高出力の極太ビームが放たれた。
一直線に伸びた光の奔流は、ドキューノの胸部、そしてその奥にある次元核を貫いた。
ビームに触れたドキューノの身体は、分子レベルで崩壊し、エメラルドグリーンの粒子へと変わっていく。
「ギ……ガァァァァ…………ッ!」
断末魔の叫びと共に、巨大な次元獣は爆発・四散した。
静まり返る櫻魅耶。
夕焼けに染まる街の中で、紅き巨神は静かに勝利の雄叫びを上げるように、右拳を天高く突き上げていた。
「やった……やったぞ!!」
タケルが叫び、モンタが泣き笑い、ケンが安堵の溜め息を吐く。
これが、伝説の始まり――櫻魅耶の街を守る、三人の少年勇士たちの初戦闘、初勝利だった。




