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超次元勇士ゾーンG(グレート)ロボ  作者: 道化師
ティル・ナ・ノーグ編
18/23

沈黙する地下研究施設と紫の双眸との遭遇。

表のリゾートアイランド・〘ティル・ナ・ノーグ〙で沢山の観光客が歓喜に沸く一方で、その地下数百メートル。地上の喧騒を完全に遮断した〘地下研究施設〙では、世界が反転していた。


――5月2日 21時42分:地下研究施設。


「……こちら特殊護衛部隊"ケルベロス"。現在、メインゲートよりエントリー。応答せよ」


重厚なタクティカル・ヘルメット越しに、隊長が低く呟く。だが、無線機から返ってくるのは、ザラザラとした不快なノイズのみだった。

数日前まで、ここには50名近い最先端の研究者と警備員が行き交っていた。だが、今はどうだ。通路の照明は半分が消え、非常用のレッドライトが不気味に明滅している。

驚くべきは、争った形跡が全くないことだ。ただ、人が()()()かのように静まり返っている。


「隊長、見てください……」


隊員の一人が指差した先。警備室の机には、まだ温かいコーヒーのカップが置かれていた。だが、椅子に座っていたはずの警備員の姿はない。床には、不自然なほど飛沫の少ない、薄っすらとした()()()()だけが残されていた。


「洗練されすぎている。死体を片付ける手間すら省いているのか……」


隊長を含め、他の隊員達もサブマシンガンを構え直し、奥へと進む。


――ドクン……ドクン……。


自らの鼓動だけが響く静寂の中。

通路の角を曲がった瞬間、隊長の網膜にその“絶望”が焼き付いた。

まず暗闇の中で輝いたのは、顔部の中心に位置する、毒々しくも宝石のように美しい、()()()()()()()()であった。

その瞳は周囲を偵察するように怪しく燐光を放ち、見つめる者の魂を吸い込むような冷徹な知性を感じさせていた。


「なっ……なんだ、あれは……!?」


光を完全に吸収する深い黒色――()()()()()()()()()()()

それは一見すると硬質なロボットのようでありながら、筋肉のうねりを想起させる有機的な流線型を併せ持っている。

生物と機械、そして〘"虚無"〙を混ぜ合わせたようなその質感。既存のいかなる物質の定義にも当てはまらない、それは人型タイプの"次元獣"であった。


――シュンッ!!


空気を切り裂く高周波の音。


次元獣が動いた。目にも留まらぬ速さ。


「撃て! 撃てェ!!」


――ダダダダダダダッ!!


ケルベロス隊員たちが一斉に銃声音が響き、火線を集中させる。だが、人型"次元獣"はまるで空間そのものを滑るように移動し、弾丸を無機質な装甲で弾き飛ばした。


キィィイイィイィン……!


次元獣の手のひらから、透明な刃が伸びる。

それは、相手の肉体だけでなく"存在"そのものを断ち切る概念の刃。


「ア……ガ……ッ!?」


最後尾の隊員の喉が、一瞬で断ち切られた。

血は飛ばない。切り口から次元の裂け目が広がり、隊員の肉体はそのまま粒子となって"次元獣"の装甲へと吸い込まれていく。


―ズシャァッ!!


肉体が霧散、惨殺。だが、そこには美しさすら漂う"処理"があった。

人型次元獣は、紫の瞳をゆっくりと明滅させ、残った隊長が率いる部隊たちを見据える。


「クソッ、化け物が……ッ!」


隊長が手榴弾のピンを抜こうとしたその時、次元獣が静かに人差し指を口元――そこにあるはずのない部分――に当てた。


「シィー…」


それは知性。この怪物が、地上の賑わいを()()()()()()()()()()()()()だと認識している証拠だった。


地上では今頃、タケルたちがホテルで豪華な食事をしているだろう。ケンは花見さんに、楽しい旅の報告をSNSで送っている中、彼らの足元――分厚いコンクリートと岩盤の向こう側では、エリート護衛部隊が、音もなく絶滅の淵に立たされていた。


『……こちら……地下施設は、すでに……だ……。来るな……ッ!地上に……を出すな……っ!!』


――グシャッ。


――通信は途絶えた。


人型"次元獣"は、手中に残った通信機を握りつぶすと、再び暗闇の中へと溶け込んでいく。


「フシュ〜〜…」


その紫の双眸は、次の獲物を探して――ホテルの真下へと向けられていた――。




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