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第5話 世界はふたりを見守る 【砕かれた光輪 3】

大変な展開ですね!?


でも全ての意味が繋がっていきますよ。


どうか、そのまま覗いて見てください。


謎のメイドうさぎが、突然オレの手を取りメカクレの子の下腹部に密着させた。


 すると一瞬、なにか【神聖な気配】を周囲に感じた。


なんだろう?いきなり森林浴してるような1/fゆらぎと祈りに満たされていくような…


 〇〇「んッ」


 冷え切った少女から小さな声が漏れる。


挿絵(By みてみん)


 そしてわずかな体温が少女の下腹部に残っているのが、オレの手に伝わってくる。


 うさこ「それは、体温というよりこのコに宿る生命の根源【神気】ですね。第1チャクラは脚の付け根にあるんです」(※1)


 そうなんだ?


 でも気を失ってる女の子の大事な部分を、見知らぬオレがいきなり触っていいんだろうか。


 すでにアウトだけど。



 ◯◯「ん…んッんッ」



 少女は無意識に反応したようだ。


 刀を抱きしめ身体を固くして堪えている。


 ご、ごめんなさい!


 うさこ「師匠くんあわてないで。彼女はアップデートの準備に入ったようですよ?


 けして嫌がっていません。きゅっ。」



 ◯◯「……んッ…んッ」



 うさこ「きゅっきゅっ。気持ちいいんだ、そうですよね…よかった、師匠くんじゃあ続きを急ぎましょう。きゅっきゅっ」




 ちょっとまって!んっんって堪えているだけなのに、メイドうさぎさんきゅっきゅってリアクションして会話できてるの?


まだ起きてないよねこの子?


 うさこ「解説が必要ですか?うさぎ族はもともと声帯がないので、ノンバーバルのコミュニケーション能力が発達してるんですよ」


 そ、そうなんだ。


 大変な状況でなければ知りたいことがどんどん増えていくよ。


 というオレの困惑を読み取ったのか、メイドうさぎがドヤ顔しはじめたのでぷいと目をそらす。



 ◯◯「んッ…んッ……」



 うさこ「あっこれはヤバいですね…ウチが見てるからモラルチェックはセーフだけど。師匠くんちょっと耳かしてください!超急ぎです!」


 メイドうさぎさんが真っ赤になってオレの耳元に顔を寄せてきた。(※2)


いままでと態度が違う。


 すると突然画面が真っ暗になったぞ?


 これ車内灯消えたわけじゃないよね?暗転?


 オレは気付いた。


これ上位世界から観測できない状況に、オレとメカクレさんとメイドうさぎさんがいる状態だ?


 うさこ「そうですよ。これはウチも予期してなかったんですが、この子、モブ子さん専用の特殊演出のようです!」


 モブ子「…んッ…くぅ……師匠…さま…?」


挿絵(By みてみん)


 メカクレさん、いやモブ子さんがようやく喋ったぞ!


 うさこ「きゅっ、あなたがわたしのお師匠様ですか?と言っています」


 どこか聞いたようなセリフだ…。


 メイドうさぎさんテキトーな翻訳しないでよ!


 彼女は刀を傍らに置いてオレの胸に身体を預け、


 恥ずかしげに顔を寄せてきた。


 いつの間にかメカクレの前髪に隙間ができて、


 彼女の魅力的な大きな目が覗いている。


 モブ子「よかった…お師匠は私と同じくらいの年齢だ。ラクガキみたいな概念のひとだったら、どうしようかと一瞬考えていました」


 オレの目をしばし見つめて、ようやく安堵した彼女は顔を伏せ静かに落涙している。


 オレは目覚めたばかりの少女が落ち着くのを待っている。



 ガタタタン……ガタタン……



 列車の振動音は少し緩やかになったようだ。


 <挿絵>


 オレがそっとハンカチで彼女の目元をを拭うと、彼女は少し赤らめてなにげに自分の頭の上を弄り出した。(ハンカチはうさこさん手渡してきて、ドヤ顔サムズアップで頷いている)


 モブ子「無くなっている…」


 指先は何にも触れず、彼女はほんの少し切なげにそう言葉を漏らした。


 オレは彼女の困惑を理解して告げた。


「ごめん。君の元の世界の【神性】はもうここで維持できないようだよ。でも、このメイドうさぎさんが、彼女の世界の神性を付与して、君を助けようとしてくれている」


 うさこ「きゅっ。ウチの世界【聖者の森】はモブ子さんのいた概念世界のすぐ隣にあります。どうか安心してこの新たな神性、【聖者の花輪】チャクラの開放を師匠くんと続けてください!」


 モブ子「チャクラ…聞いたことがある。どこかの世界でモンクが使うスキル…?」


 うさこ「そ、それはウチ達とまた異なる世界ですね。【チャクラ】は体内に7つの神性が配置され、それを順に回転させることで強力な刀技や法力を生み出します」


 モブ子「その最初のひとつがココにあるんだ…」


 彼女は自分の下腹部に手を添えようとして、オレの右手がすでにあることを一瞬意識する。しかしそのまま彼女はオレの右手に自分の手を重ね、やさしくオレにこう告げてくれた。


 モブ子「師匠さま、お手先を気にしないで…大丈夫。第一のチャクラがこの手の下で静かに回り始めてる…。わたしの阿頼耶式データを再起動してくれた貴方さまに【不適切】なリソースがほぼないこともじかに…伝わってくる……」


 うさこ「きゅっ、モブ子さんから継続OKの意志確認もできましたねっ!クールそうで優しい子ですこのコ!」


 …よ、よかった。オレも目覚めたばかりでどうやって助ける気なのか困惑していたけど、チャクラの意味がすこしわかってきたよ。



次回に つづく


───────────────


(※1)チャクラは現実にある生命観で、その一番目の車輪は人体の会陰部に存在するようです。このMMOムニ・アラニャム世界においてはそれら体内の【花輪】(この世界での当て字)が駆動し、マナに相当する神気を練り様々な神秘の力を生み出します。


(※2)上位世界へ向けた倫理AIのモラルチェックを避けるべく、がんばるメイドうさぎの行動のようです。

いかがでしてか?


謎な展開をどうか続けて楽しんでください。


引き続き第6話、月曜日10時10分公開です!


面白かったらぜひイイネ!やレビューお願いいたします。


見てくれるひとが増えてくれるととてもうれしいです!



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