本編ドロテア・ゾーイとお泊り会内の話
ミユキが大騒ぎして眠らされた後からの話。(百合くさすぎて本編から抜いた)
Xには置いたので、読んだ人はいるかもしれない。読んでくれた方はありがとうございます。
「いやー、飽きないね~」
ベッドに眠らされたミユキを真ん中に置き、挟むように二人が
座っている。ドロテアが部屋の中央寄り、ゾーイは壁際の場所だ。
「ミユキに懐きすぎじゃない? 襲っちゃダメよ~」
「またその話? 聖女達ってなんでモノがないのに人を男みたいに」
機嫌悪そうなゾーイに、ドロテアが意外という目を向ける。
「ふーん。ゾーイは経験ないのね」
「は?」
「神聖力があれば肉体は変化できるでしょ。感覚同期を使えば一緒に気持ち良くなれる、という方法がある」
「?! だからあんなに風紀が乱れてんのかよ」
「そりゃあ、外に出られないし、そういうことも仕事でしてればねぇ」
汚いオッサンよりは、まぁそっちの方がいいということもある。
「経験あり?」
「もちろん。そーいう趣味はないけど、確認にね」
うわ、という顔をゾーイがした。
少しだけイラついたドロテアが、眠るミユキに添い寝をする。
「でもね。ミユキはねぇ無理にエッチなことをすると凄く怒るのよ。前に感覚同期を使った時はめちゃくちゃ蹴られたし。だからダメよ」
ゾーイがもしかしてという表情に変化した。
「ドロテア、お前親友なんだよな?」
「前回は手を出してないわよ? ミユキが処女だったし」
「前回はって……って、おい」
ドロテアがミユキの手をもってキスをする。
「親友の定義なんて意味ある? 可愛いから傍に置きたいだけなのに」
ごろんと寝ころんで少しミユキに重なる。
邪魔なのかミユキが寝たまま顔をしかめた瞬間。
ドロテアの下から身体が引き出され消えた。
「手を出すなら、親友を名乗るなァ!!!!」
ゾーイが眠るミユキを抱き寄せて壁際まで連れて行っていた。
余裕がないゾーイを、呆れたようにドロテアは見つめる。
「ゾーイも親友だから許せない?」
「いや、自分は親友とかそういう話はしてないけど」
「言ってあげたら。喜ぶわよ」
ゾーイは返事をしなかった。
考えるように視線をずらしている。
ミユキを抱き寄せているが、なぜか少し距離が近い。
それをジッと見ながら、ドロテアは眉間に皺を寄せた。
「アンタ。手を出したわね」
「……何に?」
「それは止めときなさい。警告だからね」
何に、という返事は、ごまかすためだろう。
ミユキの様子は今日も変わっていないから気付いていない。
ドロテアは考えながら、ゾーイを観察する。
何も言わずに、ズズ、と壁から少しずり下がっていた。
「面倒ね」
ドロテアがゾーイに神聖力を飛ばす。
ゾーイが弾こうとした瞬間。
腕の中にいるミユキが寝ながら動き、対応が遅れた。
「あ」
ゾーイの身体がミユキを抱きかかえたまま眠りに落ちる。
ドロテアは、壁際で寝ている二人を見ながら、ため息をついた。
「……危ないわね。引き離したいわ。でも現実問題、難しいわよね」
なんか怪しそうだから泊まりに呼んでみたけど、当たりとは。
神聖力が強い人間は我も強い。助けられた人間に懐くのも分かる。
けれども、その想いの先は崖しかない。
「わたくしは親友だから、警告はしてあげたわよ。感謝してよね。ミユキ」
ただ、方法とかは言わない方が良かったかもしれない。
まぁもう手遅れねと思いながらドロテアも眠った。