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第三幕.決闘


「こちらから行かせてもらうよ!」

 そう言いゼファーが妖気をため始めた。


「憑依〜雷獣白虎〜!」


 ゼファーをまばゆい白い光が包み込み、すさまじい妖気が漂っていた。

「早くミコトも変幻しなよ。君の変幻を見たい。」

「わーったわーった。変幻するよ。」

 そう言い、俺は呼吸を整え妖気を集めることに集中した。あの頃とは違い集まる妖気の量が桁違いに多かった。

『主よ、多量の妖気を集められるようになったな。妾は誇らしいぞ。』

「うっせ、集中させろ」

 そう言い、妖気が集まった所で俺は詠唱をした。


「憑依〜炎獣九尾〜」


 青い炎が俺の周りをまとった。やはりイズナの炎は温かい。

「あれ、聞いた話だと君の炎は赤色だったと思うけど。どうして青色なんだい?」

 あーやっぱり気づかれたか。手加減してるのバレたくないから適当な嘘でもついとくか。

「あーそれ嘘だねー。俺最初から青かったしー」

「ふーん。ま、そういうことにしといてあげる。さぁ始めよう!」

 ゼファーは亜空間から大剣を取り出し、雷の妖気をまとわせた。どうやら大剣使いらしい。言われてみれば体も割とゴツくなってる。

「あれ?ミコトは武器は使わないの?」

「俺は妖術で闘う。ただ、そちらが武器を使うのに、こちらが使わないのはなにか違う気がするな。よし剣を作ろう。」

 そう言い、俺は炎の気を溜め始め次第にそれは具現化していった。そこには刀身が焦げたように黒くなり、鞘と刀身の間には丸いなにかがあるな。これは鍔とでも名付けるか。その鍔は赤く輝いていた。

「随分綺麗な剣だ。まるでこの国の遥か昔のお話に出てくる刀のようだ。」

「刀か、面白い。俺はこれを使い勝負を挑もう。名前は、そうだな。"緋天・焔滅"と名付けよう。」

「名前も決めたところで、早速闘おうじゃないか!」

「あぁ!」

 そう言い交わし、俺らは何十回にもわたり、激しく打ち合った。しばらく経ち、ゼファーが口を開いた。

「はぁ…はぁ…中々やるね。」

「そっちこそな。まさかここまで渡し合って来るとは思わなかった。」

「ケリをつけよう。ボクの最高火力をキミにぶつける。」

 空が黒雲に包まれた。なにか猛獣の鳴き声のようなものも聞こえてくる。

「さぁカエデ!ボクの全てを受け止めてみて!」


「雷術〜怒りの雷鎚〜!」


 空からたくさんの雷が落ちてきた。観客席には当たらないように上手くコントロールしているようだ。

「さぁ耐えてみなよ!」

 その瞬間俺の視界が白で染められた


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この技はボクの一番の大技だ。ドラゴンでさえ気絶した技なんだ。耐えられるはずがない。いくら九尾の力を手に入れたミコトでさえ耐えられないだろう。

「これは勝負ありかな。」

 そう言い、ボクが会場から出ようとしたときだった。

「おいおい、まさかこれで終わりじゃないよな?」

「なっ…!」

 そこにはミコトが仁王立ちしていた。否、炎に包まれたミコトが立っていた。

「まさかあれを耐えたとでも言うのか!ドラゴンでさえ気絶したんだぞ!」

「まぁ俺には効かなかったってことだな。確かにあの量の雷を受けて生きてる奴はマズイないな。それこそドラゴンのように上級の魔物でギリギリ生きられるくらいだろう。」

 なら…一体どうやって。

「教えてやるよ。俺の炎はありとあらゆる攻撃を受けて、死んでも一日一回までは生き返られるんだよ。つまり俺はさっきの雷で確かに死んだが、この異能により生き返ったってわけよ。」

 ボクは言葉が出なかった。ミコトはもうそんな領域にまで行ってるのか。そんなの…そんなの…

「チートだろ…wなるほどね、最初からボクに勝ち目は薄かったってことか。」

 まだまだ力不足ってことか。もう少し精進しないとなんだな。

「終わらせよう。」

 ミコトはそう言い、気を集め始めた。

「ミコト」

「なんだ?」

「君は大陸、いやこの世界一強い男になれるだろうね。そんな男と闘えて光栄だ。」

「…そうか」

 そう言って、ミコトはフルパワーをボクにぶつける。


「火術〜火災旋風〜」


 眼の前に無数の炎の渦が出来上がった。それはさっきまでの青い炎ではなく、オレンジや赤が入り交じったような色をしていた。なるほどね。さっきまでは本気じゃなかったのか。

「降参と言え。さもなければ死ぬぞ。てか、まだ死んで欲しくないから降参してくれ」

 こんな場面でも人の心配をできるとは。彼は、ミコトはどれだけ心優しい人物なのだろう。

「…分かった。降参しよう。ボクの負けだ」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【勝者カエデミコト!】

 その場内アナウンスど同時に歓声がわいた。俺の勝利を祝うものもあれば、ゼファーの負けを嘆く声もあった。

「また強くなって勝負をしよう。ゼファー。」

「あぁ、もっと強くならなくちゃね。」

 少し話したあと、俺らは会場を後にした。



「では!2人の闘いを称えてー!乾杯!」

「「「乾杯!!!」」」

 その後村長の家で祝勝会が行われた。

「いやー二人とも!いいものを見せてもらったぞ!」

「はは、カエデにはやっぱりかなわないね。ボクの雷獣が手も足も出ないとは思わなかったよ。」

「ゼファーも十分強かったぞ。イズナも中々やるなとは言ってたよ。」

「九尾の親方様からそう言ってもらえるとは嬉しい限りだよ。」

 そう話していた時、村長が質問をしてきた。

「時にカエデよ。少し話がある。場所を変えても良いか?」

「なんだよ。急に改まって。」

「大丈夫じゃよ。お主にとって悪い話ではない由、心配するでない。」

「分かった。おい!イズナー!少し来れるかー?」

「なんだ主ー?わしは久々の地上の酒を堪能しているところじゃー!」

「はぁ、やっぱり良いや」

 そう言い残し、村長の後ろについて行った。

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