アキザキくん。
今回は秋崎駄文くんの回です!
個人的にアビスで1番好きなキャラです。
だって名付け親だし。(これは事実)
今回も童話口調ですが、次回の田嶋ちゃんは
普通に長編しようと思います。
コメディなんですけど、バカバカしすぎて
バルト先生に怒られるかもしれん……
町から少しはなれた山の近くに
大きなお屋敷がありました。表札は「秋崎」
そのお屋敷には1人の男の子がいました。
名前は 「アキザキ ダモン」くん。
ダモンくん家は本がたくさんありました。
絵本、漫画、小説、図鑑、巻物、民俗学、解剖学、
古典文学、それから西洋の文献など
膨大な数の本がありました。
小学生でありながらも
ダモンくんは読書が大好きで、
一度読んだ本の内容は絶対に忘れないため、
″呼吸する図書館″と云っても
過言ではありませんでした。
しかし、そんなダモンくんに
困った出来事が起こりました。
読みたかった本が無いのです。
その本は両親から読んではいけない本だよ
と云われていて、益々読みたくなってしまい
今日こそ読もうと楽しみにしていたのですが、
どこの本棚を探しても無いのです。
その本の名は『苦楽の季節』と云いました。
諦めきれなかったダモンくんは
優しいおばあちゃんに本の在処を聞きました。
するとおばあちゃんは何やら葛藤する様子で
「ダモンちゃんになら……良いかもしれんねぇ…」
と云い、おばあちゃんの書斎へ案内されました。
見たこともない本で埋め尽くされた書斎は
ダモンくんにとっては未知なる島に見えました。
ワクワクしているダモンくんをよそに、
おばあちゃんは悲しそうな顔をしていました。
「やっぱり、あのお方には逆らえんのかねぇ」
と云って読みたかった本、『苦楽の季節』
を見つけてくれました。
しかし、それはボロボロです。
めくろうとしても千切れてしまいそうなのです。
本当に読もうか、いや読んで良いのかと
ダモンくんは迷っていましたが
おばあちゃんが「それが秋崎家の宿命だよ。」
とわからないことを云ってページをめくりました。
奇跡にも、ページは千切れませんでした。
喜んだダモンくんは早速読みはじめましたが、
困ったことに日本語で書かれてないのです。
だからと云ってそれが外国語でもなく、
古語でもありませんでした。
なんだかゲームの魔導書に書かれていそうな
文字………というより記号でした。
解読不可能な文字を見続けていた
ダモンくんは疲れていたのですが、
不思議なことに手が止まりませんでした。
いや、手が自我を持ったように次へ次へと
ページをめくるのです。
気がつくとダモンくんの目の前には
おばあちゃんではなく、知らない人が
星座をして座っていました。
髪の毛や肌が真っ白で、目は綺麗だけど真っ赤で、
黒い着物を見にまとった背が高い人でした。
【その本は、面白いかな?】
「はい。知らない言葉なのに
読みすすめるほど何が書いてあるのか
自然と分かっていくのです。」
【しかし、君は疲れているね。】
「はい。頭と手が勝手にページをめくるので
困っていたのです。」
それを聞いた知らない人は高笑いをして、
またしゃべりました。
【君には、その本を完結させる資格がある。
いや、そうでないとこちらが困るのだ。】
と云ってダモンくんの頭をなでました。
そして直ぐに消えてしまいました。
ダモンくんはきっとこの本の神様なのだろうと
思い、書斎を後にしました。
するとおばあちゃんが帰ってきました。
変だな。さっきまでいたのに。
何処に行ってたのか聞いてみると、
精密検査で2日間入院していて、
今さっき帰ってきたとのことです。
つまり、ダモンくんが会ったおばあちゃんは
姿は同じでもニセモノだということが
分かりました。しかも、昨日のおばあちゃんも。
少し怖くなったダモンくんですが、
急におばあちゃんがおどろきました。
ダモンくんの目が紅くなっていたのです。
あの時の神様のように。