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4 アレン、魔力測定をする。

翌日、俺はミニアレンたちを同化させて指定された時間にギルドに行くと受付のところにマリンさんがいた。


「試験参加者はあちらになります」


「ありがとう」


 マリンさんは昨日とは全く違った笑顔で対応してくれた。


 マリンさんに指示された場所に行くと他の参加者とギルドの試験官がいた。


「よし、全員集まったな。俺はこの試験を担当させてもらうグレンだ。えっと……捕食者ってのはお前か?」


 とグレンさんは俺の方を怪しい目で見た。グレンさんは耳の長さからしてエルフだろう。エルフなんて初めて見たな。イケメンでクール感溢れる人だ。


「あ、はい」


「そうか……レベル100とかも……嘘はすぐにバレるぞ?」


 そう言って次は心配そうな目で俺を見た。


「へっレベル100とか捕食者とか、イキってんじゃねーよカスが!」


 ……えっと、話しかけた方がいいのかな?なんか金髪ヤンキーに絡まれた。


「おいそこ!静かにしろ!嘘とかはこっちが決めることだ。お前らに口出しする権限はない」


「ちっ……」


 そう言って金髪ヤンキーは静かになった。


「別に嘘はついてないですよ」


 そう言って俺はグレンさんが持っている紙を指した。あれは昨日俺が書いたものだ。


「……確かに嘘と決めつけるのは良くないな。お前がドラゴンを倒したという話はギルド長から聞いている」


 するとさっきの金髪ヤンキーを含めた数人が騒ぎ始めた。あれ聞いたのか。


「それも嘘かどうかはわからない。ということで試験を始めるぞ」


 そう言うとグレンさんは一つの水晶玉を持ってきた。なんだ?あれは。


「じゃあまず試験だが、これは全員にやってもらう。魔力測定だ」


 そう言ってグレンさんは俺たち全員をギルドカウンターの前に呼んだ。


 カウンターの上には先ほどグレンさんが持ってきた水晶玉が置かれていた。


「これに手を当ててくれ」


 列になって順番に手を当てていった。まず最初はさっきの金髪ヤンキーだった。


「おい捕食者とかいうカス!俺の魔力量にビビんなよ?」


 そう言って豪快に笑いながら手を当てた。……魔力量の相場がわからんから驚くも何もないのだが……。


「おお。お前相当魔力量が多いな。だが少しコントロールが弱いな。鍛えれば結構いけると思うぞ。……次!」


「へっ見たか捕食者!俺様の魔力量を超えられるよなぁ?レベル100だもんなぁ?」


「……はいはい」


 俺は初めて金髪ヤンキーと話した。とはいっても受け流したほどだ。


「ちっ……お前の恥晒しを見てやるよ!」


 そんなことを話していると俺の番がきた。


「じゃあアレン、お前の番だ。ちなみに魔力がないやつは光らないぞ」


 ……なるほど。


 確かにこれは嘘をつけないな。だがこんなものに頼らなくても実際にやれば済む話なのだが。


 なんてことを考えながら俺は水晶玉に手を伸ばした。……なんか様子がおかしい。カタカタと震えているのだ。


 俺が手を離すと震えがおさまった。


「これ……触って大丈夫なのか?」


 俺はグレンさんに一応聞いてみた。だって明らかにおかしいもんな。


「ああ。これを訂正するなら触らなくてもいいぞ?」


 そう言ってグレンさんはおれが書いた紙をひらひらとする。


「へっどうした捕食者!嘘がバレるのが怖いのかぁ?あぁ?」


 そう言って金髪ヤンキーは意地の悪い笑みを浮かべた。


 ……はぁ。仕方ないか。


 俺は真っ直ぐに水晶玉へと手を伸ばす。するとカタカタと先ほどと同じように震え始める。


 そして、俺の手が触れた途端に、パリンッ、という音を立てて水晶玉は割れたのだった。


「……は?」


「……え?」


 静まり返ったギルド内に金髪ヤンキーとグレンさんの声が響いた。


「ふ、不正だ!こんなのあり得ないだろ!」

 

 すかさず金髪ヤンキーはグレンさんに詰め寄る。……俺も何が起きたのかわからないんだけどな……。


「お、落ち着け。こんなケース以前はなかったから結果とかはわからない。お、おそらく、水晶玉が壊れかけだったんだろうな。あは、あははは」


 いや落ち着くのはお前だ。俺もみんなも何が起こったのかわからないという状況だった。


 そしてグレンさんはギルドの受付の奥からもう一つ新しい水晶玉を持ってきた。


「よし、これは新品だから安心して測定できるぞ。さ、アレン」


 そう言って手を当てるのを促してきた。


 俺は促されるまま水晶玉に手を近づける。……いや、どう見てもさっきと同じ感じに見えるのだが……。


 俺はそう考えたが、まさかと思って触った。するとーーー


 パリンッ!


 水晶玉は勢いよく割れたのだった。


「お、俺が自腹で買った水晶玉がぁ……」


 そう言ってグレンさんはガックリと落ち込んだ。


「あ、ありえねぇ……!どういう不正をしたらこうなるんだよ!」


 いや、不正ではないのだが……。


「いや、これは不正なんかではない。魔力が多すぎてこの水晶玉では測ることができなかったのだ」


 グレンさんがそう言った。自腹で買った水晶玉を割ったショックは思ったより小さいようだ。


「そんなこの今まであったのか?」


「俺が見たことがないだけだが、昔は一度だけあったと聞いたことがある。その人物は、『森の神』だ」


 まさかドラゴンが言っていたやつか?


「お、おい!こいつがその『森の神』と魔力量が同じだっていうのか!?」


 グレンさんの言葉に素早く反応したのは金髪ヤンキーだった。俺に負けたのがそんなに悔しいのか。そういえば、俺って魔力多かったのか。


「いや、水晶玉が割れたからといって同じ魔力量だと決まったわけではない。ただ、こいつがレベル100なのは嘘ではないかもしれない」


「な……!」


 金髪ヤンキーのあいた口が塞がらない。


 前世の俺からしたらこんなことが俺に起こるはずがないので少ないのかと思っていた。レベルも低いのだと思っていたのだが。


「とりあえず、魔力測定はこれで終わりだ」


 そうして波乱の魔力測定がこれで終了した。


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