表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

1 スライムさん、いただきます。

「うわぁぁぁ!!」


 俺はアレン。人間側の兵士Aである。

 只今絶賛仕事中で、魔王軍四天王の1人の首を取ろうと飛びかかっている最中だ。


 趣味は酒を飲んだり仲間たちとふざけ合ったりすることだ。1人の時は読書をしている。


 兵士になってからというものそんな暇はない。いわゆるブラック企業というやつだ。


 目の前にいるのは魔王軍四天王であり賞金首だ。これを殺せば俺の暮らしに花が咲く。まぁそんなことはあり得ないのだが。


 とにかくこんなブラックな職場から早くおさらばしたいというのが願いだ。


 もし転生できるなら最強になりたいなぁ……。


 そんなことを思いながら四天王に斬りかかろうとした時、そいつに首を斬られてしまった。


 結構いい死に方だと自分では思う。死んだ後何すっかな……。


 段々と意識がなくなってきているのがわかる。首を斬ってもすぐには死なないのが人というものだ。


 瞼が重くなってくる。眠いのだ。痛いし暑いし眠い。その痛みも段々となくなってくる。あぁ、俺死ぬんだな。


 ーとりあえず、腹減ったなー


 そして兵士Aアレンとしての人生は幕を下ろした。


『暴食スキルを取得しました』


 ん?なんだ?俺は死んだはずなのになんで声が脳の中で響いてるんだ?


 その時、再び俺の意識は飛んだ。


「ん……?ここはどこだ……?」


 目覚めると草原と木が広がっている風景があった。


「なるほど、夢か。天国ってこんな感じなんだなぁ」


 俺は少し歩いてみた。


 その時、俺の腹が鳴った。よかった、死んだ後で。


「腹減ったな。なんで死んだ後も俺の体は正常に機能しているんだ?」


 その時、俺の目の前にステータスウィンドウが現れた。




名前:アレン


職業:捕食者


スキル:捕食


レベル:1


HP 10/10


MP 10/10



 俺はまだこの世界に未練があったのだろうか。でもこんなもの出てくるなんて現実な訳がない。


 しかし、捕食者とはなんだ?今まで魔法使いやテイマーとかは見てきたけど初めての職業だな。


 すると、俺の目の前に何故かスライムが現れた。


「なんで死後の世界に……?」


 他に魔物はいないようだ。これはこいつを食べるしかないのか……?


「試しに……」


 俺が手を伸ばしてもスライムは動かない。そして捕まえた。


「いただきます」


 初めての試みだが、食べないと死んでしまいそうな感じがしたのだ。そして俺はスライムを口に運んでガブリ。


 その時、俺は今までにないほどの衝撃を感じた。


「うまい!」


 なんてうまいんだ!こんな食べ物食べたことないぞ!


 俺は1匹のスライムをあっという間に食べ終えてしまった。


「もう終わりか……」


 そう思った時、俺の腹の部分が伸びた。


「な、なんだ!?まさかスライムが毒だったのか!?」


 俺の腹の一部はちぎれた。


「いっ……たくはない……」


 するとその俺の腹の一部はうにょうにょと動き始めた。


 俺はその様子をじっと見つめていると、俺の外見そっくりのフィギュアのようなものが完成した。


 髪は黒で少し長い。こんな冴えない顔をしているのは俺だ。


「俺……もしかして死ぬのか……?」


 するとミニアレンは笑顔で俺に手を振った。そしてすぐに森の中へと走り出した。


「ついて来いってのか……?」


 行ってみるか。俺はミニアレンの案内の下、森の中を進んで行った。



 そしてミニアレンは目的地に着いたようだった。そこにあったのは『神の家』と書かれている家だった。


「ここに入ってことか?」


 俺がそう聞くと腕を腰に当てて「ふんすっ」と鼻息をならした。


 俺はその中に入って中を見てみると本や魔法の杖、剣ばかりだった。


「これを俺にどうしろと?」


 俺はそう聞くと、ミニアレンは鼻水を垂らしたアホの顔をした。腹立つな。


 俺は少し暇を潰そうと思い本棚から一冊取った。


『魔術入門書』


 本にはそう書いてあった。中身を1ページずつ見てみる。そこには魔術を使うにあたっての注意事項や基礎がしっかりと書かれてあった。


《暴食スキルが発動します》


 脳内にそんな声が響いた。


「な、なんだ!?」


 すると俺の手がさっきと同じように伸びて本を包み込んだ。そして本は俺の手に取り込まれ、無くなってしまった。


「なんだったんだ……?」

 

 その時、目の前にステータスウィンドウが表示された。




名前 アレン


職業 捕食者


スキル 捕食、光魔法、闇魔法、土魔法、

    火魔法、水魔法、雷魔法、風魔法

    時空魔法


レベル 10


HP 30/30


MP 90/90


「なんだ……?これは……?」


 さっきの暴食スキルとやらが発動するとレベルとかスキルとか諸々上がっていくらしい。


 それと同時にHPとMPもかなり増加していた。


 するとミニアレンが俺の足を突いていた。


「どうした?」


 俺が振り返ると……。


 そこには大量のスライムがいた。


《暴食スキルが発動します》


 その時また脳にその声が響いた。そしてスライムたちは俺の体に近づいてどんどん吸収されていったのだ。


「な、なにが起きてるんだ……?」


《スライムを捕食しました》

《スライムを捕食しました》

《スライムを捕食しました》

《スライムを捕食しました》


 この言葉が延々と続くのだった。


「捕食って言っても限度はないのか?」


 いくらスライムを吸収しても俺の体は太らない。


 すると、俺の体からまたもや分裂が始まってミニアレンたちが現れたのだ。


「お前ら……こんなに増えて、銭湯とかできるのか?」


 その瞬間ミニアレンたちは視線を逸らしたのだった。


「お前ら……」


 すると、俺のステータスウィンドウに新しいスキルが付いていた。『感覚共有』だ。


 俺がMPとHPの欄を見ると明らかに前よりも増えていた。


 まさかと思ってミニアレンたちを見ると、こいつらは自らの暴食スキルで本を吸収していたのだった。


「なるほどな……」


 俺がミニアレンたちを笑顔で見ていると、こいつらも笑顔で返してくれた。


 中には『性について』や、『女の口説き方教本』など意味不明な本もあるが……。


 こうして俺のステータスは最終的にこんな感じになった。



名前 アレン


職業 捕食者


レベル 100


スキル 光魔法、闇魔法、土魔法、火魔法

    水魔法、雷魔法、風魔法、時空魔     

    法、大魔法、上級格闘技、感覚共

    有、総合格闘術


HP 300/300


MP 1400/1400


『面白い』、『続きが気になる』と思った方はブックマークや応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ