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2月6日

 タレを煮詰めた小鉢で合格点を頂き、タケちゃんの作った青菜炒めを朝食に頂き。 


 影響されない色欲さんを連れて、悲嘆さんの居る孤島へ。

 穏便にクヌムさんの所で人間になって頂いたのだが。


『俺も、何か手伝いたい』


 死にたがってたとは思えない。

 そしてタケちゃん、悲嘆さんの処理中に来て、従者をクヌムさんに頼んじゃってんの。


「俺の分身だ、1人より2人だろう?」

「お、おう」


 そして彼の名前はドゥシャ。

 組み合わせで付けた名前なんだけど、ちゃんと意味を成すモノになった。


「服は任せた」

「お、おう」


 虚栄心の店に行くと、コンちゃんとパトリックの服が出来上がっていて、ドゥシャの寸法を取る間に色欲さんの店を見学する事に。




 紫苑さんが興味津々のままに動いてしまうので、付いて行くしか無くて。


「紫苑さん」

「大丈夫大丈夫、何もしないから」


 そう言って確かに見回るだけだけれど、嬌声や呻き声が。


「耳をふさ、ぐワケにはいかないのか」

「警戒はさせて下さい」


 そうして最下層と呼ばれる場所へと、辿り着いてしまった。


「ココは?」

《昔の言い方だと、売春宿、今だと出逢いの間》


「ほう、遊んでく?」

「いえ結構です」

《そんな食い気味に拒絶しなくても、ちゃんと合意の上だし、拒否権も有るのよ?》


「そうなんだ、どんな子が働いてるの?」

《それこそエッチが好きな子、出逢いを求めてる子、色々よ》


「ショナ」

「けっ、紫苑さんが試したいんですか?」


「いや、今は良いや」

《追々、ね》

「どうしてなんですか?」


《アナタ、誰にだって性欲は有るのよ?》

「かも知れませんけど」


《検査は万全よ?お客様にも定期的に検査結果を出して頂いているし》

「そう言う事では無くて」


《それとも、清く正しくだけしか生きてはいけないの?》

「そうでは無いですけど」

「お話だけってのも有るみたいだし、市井の声を聞くには良いかなと思っただけなんだけど。それもダメ?」


「い、いえ」

《そう、けどアナタとはじっくりお話をすべきかも知れないわね》




 ショナが何やら話し込まれているのを見ながら、カウンターでオレンジジュースを頂いていると、虚栄心から連絡が有り、ショナがコチラへと戻って来た。


「何の話?」

「そ、従者としての対応や、個人的な事を、はい」


「そうか、帰るべ」

「はい」


 コレ以降、何を言われたのかの相談も無いまま、ニブルヘイムでの訓練へ。


『よーい、スタート!』




 久し振りに素振りをさせて貰えたけれど、魔道具を貰えないのかと華山さんに尋ねられ。

 何の事なのかをネイハム先生に聞くと、先ずは何処からその話を聞いたのか、と。


《黙っていても不利になるだけなんですが、良いでしょう。ガブリエル》

《はい、華山香からの情報です》

『ごめんなさい』


《何について謝っているんでしょうか》


 思わず謝ってしまって。

 そう言うのは何も考えて無い証拠だって言われてるのに。


『えっと、あの、私が、変に、華山さんを庇ってしまったので』

《それは何故、どうして庇ったんでしょうか》


 分からない、何か私がマズい事を言ってしまったのかもと、そればかりで頭がいっぱいになってて。

 けど、そんな事を言ったら見放されそうで、言えなくて。


『っそれは、多分、悪気が無く教えてくれただろうから、です』

《どう判断したんでしょうか》


『私が未成年で、何も知らないと思って、親切にしようとかな、と』

《魔道具の情報は機密情報、秘匿案件なんですが》


『え、じゃあ、何で』

《どう思いますか》


『それは、分からないです』

《でしょうね、私も分かりません。別件が出来ましたので、コレで失礼します》


『はい』


 どうしよう、捨てられてしまうんだろうか。




 コレだけの度量の広さも見せているのに、捨てられるかも知れない、とは。


《全く視野が広がる気配が無いんですが》

「そうか」

「潜入は難しいかもねぇ。ココまでとは、若いから何とかなるかも、だなんて幻想に過ぎなかったって事だねぇ」


「馬鹿は死んでも治らないと言うしな」

《苛立ち過ぎでは?》


「自分にも言っているんだ。だが、役目を与えなければ帰還が叶わないかも知れない、教会内部を一掃してからボランティアをさせるか」

「あぁ、なら囮に使えば良いじゃないか、潜在的に一神教を広めたがってるのや潜伏してる者を引き付けられるよ」

《それは不敬過ぎでは》


「善に利用されるか、悪に利用されるか。彼女が一生ココに居るより、どうにかして帰って貰った方が良いんじゃないかな」


「俺を、試しているのか?」

「そうなるけれど、コレは最良の方法だと思うよ」

《召喚者を使い、人の手だけで成果を上げる方法としては妥当かも知れませんが》


「いや、一掃する。マサコに負荷を掛けて大罪化されても困るんでな」

「賢明なご判断ですな」


「やはり試したのか」

「いやね、ネイハム君が君を敵方だと疑うモノだからさ、今のウチにハッキリさせようかなとね、善意の試し行為だよ」

《そうココで私を出しますか》


「先見の能力か先見の明か分からないけれど、君の能力を怪しんでいる、けど僕は疑って無いんだよね。君の怒りは本物だから、少なくとも敵方では無いだろう、と」

「そうか、それで」


「いや、一掃しましょう、そうしましょう」




 へとへとで帰って来ると、タケちゃんの作った野笋炒肉丝を頂く。

 干し豆腐と干し筍とアスパラと豚肉の醤油炒め、要は青椒肉絲なんだけども。


「ご飯泥棒2号」


 卵スープと米とコレだけで無限に食える気がする、コレも覚えよう。

 けど、他にも常識を満たさないとだし、料理は1日1回にしておこう。

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