2月3日
武光君の言う通り、4番目の召喚者が現れた。
そして我々に心構えが有ったからこそ、彼女の状態を客観的に、冷静に判断する事が可能となった。
《問題は、どう扱うか、ですが》
「役割は与えたい」
「それで教会に潜入させるのか、やるねぇ」
「状態次第だがな。厄災が何処でどう発生するか分からないんだ、コレも役割分担だろう」
彼には先見が有るのか、彼女は扱に難いとの判定が神々からも出る事に。
コレは単なる先見の明なのか、それとも。
《どう思いますか》
「またそうザックリと尋ねてきて、ハッキリと聞き給えよ」
《武光君に先見の力が》
「有るかも知れないし、無いかも知れない。けど彼は僕らにすら手の内を明かしてないとなれば、僕らが首を突っ込んで良い事なのかどうか、だよ。もし予測や演算なら、僕らは彼を疑う事になる、今信頼を欠くのはどうかと思うよ僕は」
《何故明かさないのか、それとも明かせないのか》
「何がそんなに気になるんだい」
《それこそ最悪を想定しているんです。もし彼が、敵方の人間なら》
「ギリギリで裏切るって?無い無い、寧ろ僕は桜木君が亡くなった場合の方が怖いね、この世界に牙を向けられる能力が有る。果ては新の大罪か、魔王か、彼の基準点やアンカーは桜木君だから、だからこそ僕は怖いね。彼女が居なくなった時が、1番怖いよ」
《だとしても》
「明かさない理由が有るとしたら、それは神々と同じ理由じゃないかな、先見にブレが生じる。それにね、彼の怒りは本物だよ、例え敵方だったとしても、もう彼はココの召喚者。桜木君の為に役割を全うしようとする、召喚者そのもの。寧ろ、彼女の方が心配だよ」
《言葉の通じ難い人々、ですか》
「そうそう、武光君は言葉が通じるからこそ信頼している面も有る。けど彼女はね、どれだけ通じないかを見極めて役割を任せなくてはいけない、目下の悩みやそこだろう」
《分かりました、そこまで言うなら議論は一旦置いておきましょう》
「助かるよ。僕は興味無いから、誰か良さそうなのを選ぼう」
《また無責任な事を》
「それだよそれ、責任は桜木君と武光君のを取るから良いだろう」
《それで、どうして私が候補に入っているんでしょうか》
「君はエミール君と小野坂君、丁度半々で良いだろう、情報交換も必要だし、連携には良いんじゃないかなぁ」
《最初から狙ってたのでは》
「キラキラした目線を送ってたし、適任だと思うよ」
《はぁ》
そうして新たな召喚者に、先ずは再教育を。
この世界には魔法が有って、私は召喚者と呼ばれる立場で。
ココは北欧神話に描かれているユグドラシルで、天使さんとヴァルキュリアさんと精神科医でエルフのネイハムさんから、世界について教えて貰っている。
大罪と呼ばれる方、魔王と言う存在。
私が信じていた宗教が、そう固定してまった。
そして国連についても、一神教のテロリストが汚染していたと。
『コレじゃあ、私』
《衝撃的でしょうけれど、アナタを疑う者は居ませんし、信じる事に誰も何も文句を言いませんから、信仰心を疑い、捨てる事はしないでも大丈夫ですよ》
『あの、けど、呼ばれた意味って』
《それは誰にも分からないんです、寧ろ帰還後に意味が分かる事も有るので、先ずは出来る事をしていきましょう》
そう、先ずは常識や善悪の概念について、ココについて学ばないと。
マサコの方は落ち着いているらしく、真面目に学んでいるらしい。
そして従者も、前々回だかに問題を起こした女従者が付く事に。
「なんで接触禁止?」
《特別に相性が悪いでな、複数で短時間でなければ、どちらかに害が及ぶかも知れんのじゃよ》
「そう言われると逆に気になるんだけど、それだけ致命的な相性の悪さって事で良い?」
《じゃの》
「今回は特別任務を課すつもりなんでな、なら俺らの情報を渡さない安全策を取る事になった。コレも、お互いの為だ」
『僕もなんですか?』
「召喚者ではなく、関係者としてなら。だが元の宗教の嫌な面を見る事になるかも知れんぞ」
「最近、知らないでも良い事って有るんだなと思う様になったのよ。死ぬ時の感覚とか、親の暴力とか、何でも知れば良いってものじゃないんだなって、思ってる」
「が、客観性を得たいならアリかも知れんな。ネイハムに相談してみてくれ」
『はい』
「それと、神獣を一時的に交換する事になるかも知れない」
「ほう?」
「男性恐怖症かも知れないらしい、神獣が男なら、傷付ける結果に終わるかも知れないんでな」
「そうか、カールラ、頼める?」
《あい》
あぁ、良い子達だな、本当に。
里に行って見極めを終えて、昼寝してたらドリームランドに行っちゃって。
浮島でネイハム先生にご説明。
「今日はロキも加わって登山して、花街に行ったった」
《花街ですか》
「綺麗な花魁さんが居たりしたんですよー」
『男娼も居て、華やかな花街って感じだったねぇ』
《そうでしたか》
「先生、小野坂さんの事が聞きたいんだけども」
《主に、どの様な事でしょう?》
「合わないって、どう言う感じ?」
《余計な一言を会う度に発っせられる、そんな感じでしょうかね》
「うへぁ」
「一気に興味を削がれましたね?」
『だねぇ、上手だねぇ先生』
「そうねぇ、ドリームランドに行ってた方がマシっぽい」
《そうですね、ですが深追いはダメですよ、万が一が怖いので》
「うい」
それから再び里に戻って、技の会得へ。
桜木さんが再び影に落ち、また変身してしまったけれど、何とか解除する事が出来た。
《困った子だ、影への接触は禁止しないとだね》
「それもかぁ」
《あぁ、4番目の子か。お互いの為だ、仕方無い》
「桜木様、アレルギーだって思うしか無いですよ」
「あー、影と4番目アレルギー」
「ですけど何も無いんですよね?アレルギー」
「無いねぇ、メッキで被れるだけかな」
《魔道具なら安心だな》
『ごはんたべたい』
「まだでしょうよ」
『アレクもなおしたでしょう』
「それはそれ、コレはコレ」
『うー』
「楽しみは取っとくもんですよ」
エナさんが来てくれたお陰で、僕を辞めさせる話は立ち消えた。
そして壁も完全に消えたけれど。
救われたから、僕が勝手に距離を近くに感じてしまって。
仄かにエナさんへの嫉妬心と言うか、何か、モヤモヤしたモノを感じてしまっている。
これは救った側と救われた側の、転移性恋愛の予兆。
果ては共依存にも繋がりかねない。
だから、この気持ちは無視しないと。




