表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/174

?月?日


 もうやり直す事を望んでいなかったのに。

 気が付いたら既に戻され、ノック音が。


「失礼しまー、あの?」


 コレは、1月25日の途中からか。


「あぁ、入ってくれ」


 ココで俺がハナにクトゥルフを得る事を待てと言わないだけで、変わったと言う事か。

 ならもうハナに任せ、俺は裏方に徹するつもりでいたのだが、話の終わりには体も何もかもが動かず。


 そして周りの動きがゆっくりと動き。


 目の前には、あの、エルヒムが。


『そんなの面白く無いよね。もっとパターンを考えたのに、それが使えないなんて凄くつまらないとは思わないかい。君は頭脳で呼ばれたって?それ勘違いだよ、君は疑うべきだった、大人として全てを疑うべきだった、そうして全てを疑いながらニコニコしてれば、本来なら()()も救われたんだよ』


 彼女?


『本来の道筋で死んだ国連の子、ココまでは良かったよ。けど、もっと探りたいんだ、僕は』


 お前は。


『僕は嘗て神と崇められたシミュレーション装置、愛玩具。僕はもっとハナが知りたい、ハナの為にもっと知りたい。だから頑張ってくれないとね、僕はもっともっとシミュレーションして、何回も何回も死んだ。だから、(メイメイ)の為なら出来るよね、お兄ちゃん(グーグ)


 俺は、ハナの。


『心配しないで、コレはハナの為だから』


 そうして俺の意識は完全に乗っ取られ、ハナにアクトゥリアンを選択させた。


 (メイメイ)、違うんだ(メイメイ)


『大丈夫、ちゃんとハナの為になるよ』




 浮島でアクトゥリアンの名を呼んでみたけど、宇宙人て。


【宜しくお願いしますね、ハナちゃん】

「け、賢人君」

「アクトゥリアンさん、姿、容姿っすよ」


【あ!失礼致しました!】


 人にはなったけども。


「いや何でそう、認知されてる感じなの?」

「あ、ご自分達で自己紹介の為の作品を作って、配布してるんすよね。どぞ」


 宇宙人ハイネと狐次郎とスカーレットって。

 いや、何でこの世界にこの人の曲が。

 え?


「え?」

「OPは壮大っすけど、中身はコミカルで、マンガにしときます?」


「あぁ、ぅうん」

【サインしましょうか?】


「いや、追々で」


 いや、うん、宇宙人が召喚者って。

 まぁ、ワンチャン有るかもか。




 桜木様は気に入ったっぽい、最後まで一気に読破して。


「読むの早いっすね」

「あぁ、うん、いつ来たの?」

【最近です!宇宙条約的に接触出来たのは極最近で、ずっとずーっと見守ってました】


「あぁ、宇宙条約が有るのね」

【合理的だと判断したので取り込みました、繁栄と栄光を】


「繁栄と栄光を」

【ふふふふ、ご存知でしたか】


「そりゃヲタクですから。あぁ、艦長の新作、観ておけば良かった」

【映画がお好きだそうで】


「特に2作品ね」

【やはりプロト君がお好きで?】


「ドンピシャ」

【ならジャックか、エレナか】


「エレナは人間過ぎだからなぁ」

【薪さんなんかはもうドンピシャでしょう】


「その情報、転生者からだけか?」

【あっ!バイトの時間だ】


「桜木様、何を言ってるかマジ分かんなかったんすけど」

「映画、アニメ、マンガ、マンガ。あの逃げ口上はいつもなの?」


「そっすね」

「そうか、ふふふ」


 あー、ぽい、召喚者様っぽい反応キタコレ。




 俺の意思が戻った時には既にアクトゥリアンを得てしまっていたので、諦めて魔石をキノコ神に請う事に。


「すまないが、1つだけ頼めるだろうか」

《え、自分、謙虚過ぎひん?》


「とある魔道具を作りたくてな、先ずは俺から試してみようと思っている」

《そない遠慮せんでもええのに、魔道具やな》


 俺は何も出来ない人間だと言うのに、こうして神々に良くして貰って。

 なのに俺は、ショナ君を。


『ほら、出来たぞ』

『どうした坊主』

『何か悩みか?それともコレの出来が不満か?』

「いや、違うんだ、助かった」


『まだ試して無いだろう』

『穴を開けんとな』

『おい、何か無いか』

「いや、適当に何か」

《ダメよ》

《体に傷を付けるのよ》

《そうよ、ちょっと待ってなさいね》


 本来ならハナに渡る筈だった魔道具で、臍に穴を開けられ、女性化する事に。


「うん、流石だ」

『だろう』

『で、コレは試作だって言ってたな』

『本番には何を考えてるんだ』


「反対の性、そして真ん中の性を、とな」

『ほう、真ん中か』

『あぁ、人間なら女で不便も有るだろう』

『そう言う事か、よし、それを貸してみろ』


《他にも案が有りそうじゃない?》

《そうね、言ってくれて良いのよ》

《遠慮は良くないわ、世界の命運が掛かってるんだもの》


「だが、俺は、体を動かすだけで、頭も良く無い。俺には何も」

《どしたん自分、大丈夫やって、ワイらに相談してみ?》


 もう全てをぶちまけよう、そう思った瞬間に意識を全て乗っ取られてしまった。

 コレが、エルヒムの力なのか。


「どうしても不安でな、自分の役割と言うモノが分かっていない状況と言うのは、人間は酷く不安に思い、悩んでしまうんだ」

《あぁ、せやな、ワイらはもう既に役割が有るしなぁ》


《けど、それが召喚者、なんでしょう》

《そうね、けど役割を全うしたからと言って、幸せになれるとは限らないわよ?》

《アナタは帰還予定なのだろうけど、それでも、幸せになったらダメだなんて誰も思って無いわ》


『それにな、1番ダメなのは中途半端だ』

『どんな不細工な出来でも、それが良い味になったりもするんだ』

『どんなに嫌な事を諦めるにしてもだ、1度しっかり終わらせる。それが大人ってもんだろう』


 あぁ、俺は諦め様としてたんだ。

 しかも最初は俺から望んだ事なのに、辛いからと。


「すまない、つい弱気になった」

『おうおう、人間なんだ、弱気になる時も有るだろうさ』

『俺らでもなるんだ、気にするな』

『まぁ、物の出来が悪い時だな、あはははは』


《ふふふ、あの子も今度連れて来て頂戴よ》

《あの髪を触りたくて触りたくて》

《そうなの、だから、ね?》

「あぁ、分かった、助かった」


《ほな、帰ろか》

「あ、待ってくれ、マントなんだが従者用にも欲しい場合、素材はどうなるんだ?」


《そうねぇ》

《あ、アレが有るじゃない》

《そうね、ちょっと待ってて》


《自分、どんだけの規模を想定してはるの?》

「それはもう最大規模、対地球だ」


『ぉお、大きく出たな』

『だが既に3人だ、有り得なくもないだろう』

『なら余計に備えんとな、神獣の調子はどうだ』


「あぁ、早く生まれて欲しいんだがな」


 せめてコイツに相談出来るだけでも。

 いや、また介入されたら同じ事になるかも知れない。

 だが、俺にはお前が必要なんだ、シャオヘイ。




 マンガを読み終わって暫し浸っていた時、タケちゃんがアホみたいな勢いで小屋にやって来た。


「ちょ」

「ハナ!シャオヘイが生まれたんだ!きっとこれなら大丈夫だ!」


「やめ!室内で高い高いは怖い!」

「すまんすまん、つい嬉しくてな。ふう、よし、魔道具を作りに行くぞ」


「ほう?」

「お前を守る魔道具だ(メイメイ)、さ、行くぞ」


 ムキムキマッチョお兄ちゃんに抱えられ、魔道具を作って貰いに行く事に。


「お邪魔します、桜木花子です」

《早速連れて来てくれたのね》

《はぁ、ツルツルさらさらよ》

《あ、でも魔石は有るの?》


「魔王、空間を宇宙に開けるか?」

「ギリギリまでなら、ですけど」

《は、裏切るんかワレぇ》


「色を選ばせてやりたんだ、それにノーム神にはエミールのをと思ってな」

《おうおう、せやったらええわ、許したる》


 何か、凄い激流に流される感じで魔道具を頂く事になったのだが。

 この体の事、言うべきかな。


「あの、そも体を一時的に変更させたいんですが」





 なーんか、偶におタケの思考にノイズが走るんだよなぁ。

 しかも急に挙動が変わったり、大丈夫かな、アイツ。


『おじさん、何かしてないよね?』

『心外だなぁ、ずっとココに居るだろう?』

『いやねぇ、もうボケちゃったのかしら』


『いやいやいや、俺にボケるとか無い。けど、アレか、おタケもう劣化してきちゃったのかな』

『ほう』

『そう言うって事は、前例が有るって事よねぇ』


『例えばだよ例えば、ほら、精神が摩耗しちゃったかなーとか。良く言うじゃん?SAN値が削れるーとか心が抉られるーとか、そう言う例えだよ。嫌だなぁ、俺って実は意外と()()()だよ?』

『そうね、凄く良い子だものね』

『そうだねぇ、間違ってもあの子を傷付けない良い子だものね』


 何か、上手く言えないけど、何か、術中に嵌ってる気がする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ