3月1日
竜種達と共にシュブニグラスの落とし子を離島へ運び入れると、俺とマサコの帰還のタイミングとなった。
ハナは五体満足で戻って来たが、全く口を利かなくなった。
食事は取るし、必要事項には答えるが。
眠っては魘され、誰とも目を合わせない。
『取り敢えずは、生き残ったね』
「だが、あまりにも犠牲が多過ぎる」
『だね。けど結ばれたよ』
「だから何だ!あんな、束の間の」
『けど思いは通じ合った』
「だから、余計に」
『ね、だから余計に生きるのが辛くなった。けど、本来はまだ続くんでしょ。ちゃんと見てみようよ』
「あぁ」
コレは俺への罰なのかも知れない。
そう思いながら、この周回と本来の道筋を追う事になった。
ハナちゃん、本来ならまだ宇宙。
そしてコッチのハナちゃんは、整形もせず、召喚者様として移民達の手助けを直ぐに始めた。
それと同時にハーレムも、ネイハムちゃんが主導して、ハナちゃんの為にと神様達も協力して、候補者を集めた。
アレク、白雨、神獣のコンスタンティンは人間として。
それから少し変わった感じの一般人にルーネ、真面目な仕事人の田千花、エルフのミーシャ。
それはもう見てられない位に普通で、最初からショナ君が居なかったみたいに。
あれ。
『ねぇ、これ、記憶消えてる?』
「そんな描写は無かっただろう」
『けどだって、茶碗蒸しうどん、初めて食ったって』
「あぁ、ぁああああああああああああ」
最初から、丸ごと、ごっそり。
ミーシャちゃんとショナ君が入れ替わってる。
『そうだよね、繊細だから』
「分かってる!俺だって分かってる!だから、なのに」
『けど、幸せそうだよ』
「けどこれじゃあ、ショナ君が」
『ショナ君が何を望むか、じゃない。一生引きずるか、ハナちゃんが幸せになるか。だから、その意志も組んだのかもよ』
「だとしても、コレは」
『どれか、だよ。親が居る大変さ、親が居ない大変さ。全部は選べない、もし仮に複数を選べるとしても、選ばなかった人生とは全く同じ事は感じ取れない、思う事も出来ない』
それからおタケは反論する事も無く、3月24日を迎える頃、ココのハナちゃんの人生は終わった。
エミール君はハナちゃんに似た子を探し、ショナ君の幼馴染の小雪ちゃんと結婚して、そこでは5人の子を成していた。
全てを知って受け入れた小雪ちゃん、良い子だな。
そしてアポロ君は女の子に戻り、人に戻った憤怒と3人の子供を育てて。
ハナちゃんは凄く立派だった。
贅沢もしない、好きな事は皆と共有する時だけ。
ショナ君が望んだであろう召喚者様、桜木花子として、ミーシャちゃん、コンスタンティン、ルーネ、田千花、それに後から加えられたショナ君に似たノアに其々3人の子を授けた。
それから移民にも死力を尽くし、良き召喚者として死んだ。
「あぁ、向こうがどうなってたか、気になってたんだ」
『よし、コレか、あぁ、正解に辿り着かないとダメ?』
『そうだね、彼にはもう少し頑張って貰いたい』
『そうね、けど、精神が保つかしら』
『まぁ、頑張って励ましてみるよ』




