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2月20日

 予めドリアードから聞いていた通り、小野坂さんから呼び出しが有り、即座に断った。

 どうしてこんな状態で、そんな風に人間関係を引っ搔き回そうとするんだろうか。


 どうして。


「どうして相談してくれないんすか?何で悩んでるのか、言える事なのか言えない事なのか。そう相談もされないとかって、見下されてんのかって感じが」


「賢人君、別にそう言うワケでは」


「でも全く何も言わないじゃないっすか、何で言わないのか、それとも言えないのか。それ位は言ってくれても良いんじゃないっすかね」


「守るつもりで付き添いをして、自分が敵側の駒になるのが嫌なんです」


「なら自害しちゃえば」

「それが桜木さんの傷になるんですよ?大きな傷にならないにしても、傷跡は残す可能性が有るんです」


「けど、もし俺が付き添いになっても良いんすか?俺はヤれって言われたら何でもヤりますよ、性的な事も」


「そう」

「好意も性欲も全く無いっすよ、でもそれで桜木様の命が助かるってなったら、大人なんだから割り切るしかないじゃないっすか。仕方無いからこそ、出来るだけ不快に思われない様に、傷付け無い様に。例えどんな状態でも、守る為に全力で頑張るしかないじゃないっすか」


「資料、読んだんですか?」

「いや、蜜仍君と想定してたんすよ。ショナさんが躊躇うとか悩むって、どんなんだって。なら桜木様関連とか、性的な事か、又はその両方か。で、ショナさんの距離の取り方からして、そうかなって、カマかけっすね」


「その、通りです」

「自信が無い系っすか?」


「自分自身も、手籠めにされたく無いんです」


「その練習なら」

「選ばれないとしても、選択肢には入っていたいんです、嫌われたく無いんです」


「もう周りに言われてると思うんすけど、期待しても良いと思うんすけどねぇ」


「それでもしダメだったら、多分、僕は立ち直れないので」




 めっちゃ好きって宣言聞いちゃって、俺、どうしよう。


《これこれ、何もするで無いよ》

「えー、ダメっすか?」


《成熟期に促進剤を使ってしまえば、ハナが気持ちを疑う事になる、とネイハムに言われてな。己が自らの気持ちだけで育った方が、ハナが受け入れる確率が高いんじゃと》

「あぁ、俺が告白させなきゃ告白しないんだったら、つまりはそんなに好きじゃ無い。とか有りそぅ、ヤバ、危なかったっす」


《それだけ純粋で真っ直ぐな気持ちでなければいかんのじゃ、と言われれば、もう見守るしかないんじゃけど。どうしても手出しをしたくなるんじゃよねぇ》

「分かるっすよぅ」


《じゃが、こう、耐えた後の成果を見たくはないかと問われれば、じゃ》

「あぁ、耐えられるかもぉ?」


《どうじゃろねぇ》

「あぁ、言い切らないんすねぇ」




 アンリちゃん達と会う事になったのだが、かなり言葉を覚えられたらしい。

 と言う設定なのだとタケちゃんには言われてるけど、本当に偶に単語が出ない感じが有る。


「向こうに無い単語?」

『そうですね、はい。美味しいは無いです』


 もうコレだけで同情してしまうけど、ダメらしい。

 敵かも知れないから気を許すなって。


 いや、理屈は分かるんだけどね、難しいのよ。


「そうか、じゃあ少しの間だけ、美味しいをココに置いていかないとね」


『はい』


 これから戦争になるかも知れない相手と、どんな気持ちで居たら良いんだろう。




 何処までも2人は相性が悪い。

 桜木花子と小野坂さんからの呼び出しが同時に有り、選ばざるを得ない状態に。


 片方は戦争予定の相手に対し、どの様な感情を抱けば良いか。

 片や役に立ちたいからと、祥那君を応援する方法の相談、しかも上手くいけば感情転移が起こるかも知れない状態。


「さ、どうするんだい」

《残念ですが、長く付き添うのは桜木花子ですので、今回はマイケル補佐に感情転移先になって頂きましょう》


「うん、僕が武光君に言っておくから早く行っておいで」

《宜しくお願いします》


 扉を通り浮島に着くと、疲れ切った虚無な表情で煙に巻かれていた。


「あぁ、すみませんね、どうにも心が揺れてしまって」

《当然でしょう、戦争相手と相対して平常心で居られる方は、殆どいませんから》


「こう、サイコパスの人はどう思うんだろうか」

《この予定が終わったら今日はステーキにしようか、それとも寿司にしようかな。と言った感じだそうです》


「フラットなのね」

《痛み、不安、恐怖に非常に鈍感だそうですから、戦争や戦後の事は仕事の範囲内、花壇を整備するのと同じ感覚かと》


「いやー、無理だな。美味しいって感覚を少しココに置いてけって言っちゃったけど、ワシが殺すかもなのよね」

《戦争では、味方の攻撃に当たる事は稀では無いそうですし、直ぐに降伏してくれるかも知れませんし》


「戦争したく無いなぁ」

《ですよね、私もです。穏便に移民政策に移行出来る事を、私も五十六先生も、皆さんそう願ってます》


「それワシが何とかするのか」

《だとしても阿れば良いと言う事ではありませんし。まだ要請は来てませんから、もう少し考えない様にしてみましょう》


「そうよね、ありとあらゆる想定がなされてるんだものね」

《はい》


「うん、ありがとうございました」

《いえ》




 ハナがネイハムに相談を持ち掛けた事で、俺とマイケル補佐がフォローする事になったんだが。


『あぁ、やっぱり桜木さん優先ですよね』


 アイツは卑屈だが、こう卑屈さを表に出さない。

 比較されたく無ければ、そもそも自分から比較する言動を控えるべきで。


 マサコの幼さとは、本当に、年齢だけに関わるのだろうか。


 あぁ、もう何を言ってやったら良いか、全く分からない。


「ぅう」

『タケミツ様?!』

『武光さん?!』


 動悸が。

 コレはパニック発作か。

 本当に俺は、どこまでも弱い人間だ。




 小野坂君、幼いって言うか、うん。

 マイケル補佐の言葉が真っ直ぐに入ってかないね、批判を恐れるのも良く分かるよ、大人だって叱られたく無いもの。


 けど、自分や自分の感情を制御出来ている、と勘違いしているのはね、どうだろう。


 そして根本に、役に立たなければ存在していけない、との無意識の勘違いが有る。

 それに加え、召喚者だから特別扱いをされて当然だとの大前提も、無意識に有るみたいだし。

 だからこそ自分が救ってあげるんだ、救わねばならないんだ、と責任感が発生する事自体は良い。


 けれど思考の試行をしないまま、分からないからと考える前に尋ねるけれど、それも結局は間違いを責め立てられたく無いからこその布石に過ぎない。


 そうやって要求に応える為の要求をする、何でも尋ねて、何でも意見を請う。

 そうして問い掛けを会話のキャッチボールと勘違いし、問い掛けは相手の為だと無意識に思い込み、そのアピールに過ぎない行為を対話や会話、意思の疎通だと勘違いしている。


 その姿は、最初は一見して従順で素直に見える。

 どうしたら良いのか、どうすれば良いのか、相手にしてみたら良く話し掛けてくれて親密さを感じる、その事は理解出来ている。


 けれど、そう相手の要求に応え続けた後、無意識にその後払いさせる。

 アナタは親しい人間だ、身内だ、そう信頼を押し付け、時には自分の振る舞いを呑ませる。

 もしその要求を呑まなければ、相手が悪いと評して善人の行動を取らせようとする。

 分かってくれると思ったのに、分かってくれない事は、許してくれない事は悪だと無意識に押し付ける。


 そして受け入れて貰えないか、反論されれば、攻撃されたと思い込み酷く傷つく。

 分かってくれてる筈の友人に、身内に、裏切られたのだと。


 こうなる前から小野坂君は要求に応える為の要求ばかりで、会話が会話として成立しないままだった。

 その違和感に武光君は気付き、心労から胃痛を起こしたり、発作を起こしたり。


 理想論だけれど、食事の際に小野坂君が言うべきだったのは。

 辛い物は体に良くないから、他に何かストレス発散になる物事は有りますか?

 こう摺り合わせと問い掛けを含んだ言葉を選ぶべきだった。


 感想と問い掛け、意見と問い掛け、そう組み合わせるべきだった。

 それこそが対話、会話なのだから。


《我は大丈夫じゃろか?》

「そう心配する人は大概は大丈夫だよ」


 ただ同調するだけ、意見を述べているだけ、感想を述べるだけでは無く、相手がどう思うかを尋ねる。

 そして相手がどう思うかも考慮して、言葉を選ぶべき。

 それが対話、会話。


 そうした対話や会話が、彼女は致命的なまでに出来ない、組み合わせが出来ない。

 同調や意見を言うか、正論や感想を言うか、問い掛けるか、単品使いだけで、どうしても組み合わせが出来ない。


 そうこうしているウチに周りが疲弊するにも関わらず、原因に気付かない、気付けない。


 そして遂には意見も関心も貰られなくなると、反応を得る為に意見や感想をぶつける。

 けれども更に避けられ、焦り、また要求か問い掛けか、感想を垂れ流すか。

 それに答えて貰えないとなれば更に焦り、要求し、問い掛け、果ては負のスパイラルに陥る。


 小野坂君の下地は、ココにも居る言葉が通じ難い人と性質は同じ。


《何か原因が有るんじゃろか》

「若さと環境かな、ココなら対応も既にマニュアル化されてるし、それでココまで酷い子は少ないからね。だからこそ、同調、意見、感想、問い掛け、その単品だけで会話が成立出来る環境。若いからその程度でも大丈夫な環境、かな」


《ふむ、環境ならば、向こうは大規模な改革が必要じゃろうなぁ》

「だろうね、自己主張こそ正義、みたいな国も有るって言うからねぇ」


《は、全く解せんのじゃが》

「うん、僕もだよ」




 幼さ故。

 幼い言動故。

 武光君が動悸で動けなくなり、先ずはマイケル補佐が対話を試みたのですが、成果は乏しく。

 私が対応する事に。


《それで。どうして武光君が倒れたか分かりますか、小野坂さん》

『はい、マイケル補佐が教えてくれました。私より桜木さんを優先したんだと、当て擦り、八つ当たりを言ったからです』


《実際には、どうでしょうか》

『事実だし、批判しようとして言ったワケでもないし、感想を言っただけです』


《ではマイケル補佐から助言を受け、どう思いましたか》

『相手がどう受け取るかを考えて無かった、っていうつもりすら無くて、ただ感想を垂れ流してしまったからでは、と指摘されて、そうかも知れないな、と思いました』


《では何故そんな事を言ったんでしょうか》

『傷付ける気も、批判する気も無くて。ただ、思った事を、感想で、出ただけです』


《では桜木花子に言われたら、アナタはどう思いますか》


『機嫌が悪いのかな、と』


《自分だったら悪意は無いし、当て擦る気持ちも、八つ当たりの気持ちも無いから。ですか》

『はい』


《誰に同じ事を言われても、ですか》


『だって、悪意は』

《未成年で悪意さえ無ければ死ねと言っても罪は軽くなるんでしょうか、例え相手が本当に死んでしまっても、悪意が無ければ許されると思っているんでしょうか》


『いえ、けど』

《ですがご自身は悪意無しに、桜木花子が優遇されていると武光君を謗った》


『謗ったワケじゃ』

《言い方の問題です、言葉選びの問題です》


『でも、私にそんなつもりは』

《なら今、私はアナタに注意をしているだけですが。本当にそう思ってますか?今、一瞬でも叱られている、怒られていると欠片でも思っていないか、思いもしなかった。ドリアードに確認して頂きましょうか》


『すみません、ごめんなさい』


《誰の何に謝っているんでしょうか、それではまるで謝れば許されると思っている子供と同じでは?非常に幼稚だとは思いませんか、それでも幼稚なつもりでは無い言えますか》


 こうして黙る事も幼稚な行為そのもの、そして形勢不利を悟ったからこその謝罪なだけと確定してしまうんですが。


 困りましたね。

 板挟みになる者にとっても、今回は2人の相性の悪さを実感させられる出来事で。

 これほどの落差を見せ付けられて、幾ばくも好意を抱くなと言うのは無理が有り過ぎですよ。




 比較するつもなんて無かった。

 当て擦る気も無かった。

 八つ当たりも、謗るつもりも、悪意も無かったのに。


 なのに。


 なのに、()()責める。


『キツい事を言うのもマサコさんの為だと思うのですが、もち違うと思うなら、どんな事でも仰って頂いて大丈夫ですからね』


『はい』


 きっと言っても分かって貰えない。

 私に悪意は無いのに、比較する気も当て擦る気も謗る気も八つ当たりする気も無かったのに。




《きっと言っても分かって貰えない。私に悪意は無いのに、比較する気も当て擦る気も謗る気も八つ当たりする気も無かったのに。じゃと》

「いやぁ、本当に通じ難い子だねぇ」


 この小野坂君の様に、言葉の通じ難い人の土台やベースには多くの前提と無意識の決め付けが有って、幼稚で無自覚なんだよね。

 そして特に、自分は悪意の無い善人だ、と無意識に思い込んでいる。


 小野坂君も、言葉の通じ難い人と同じ、様々な思い込みや決め付け、大前提が染み付いている。


 無意識に自分は良い人間だ、悪意を持って発言は出来ない人間だ、相手を傷付ける様な人間では無い。

 結果的に相手が傷付くことは有っても、自分は悪意を持って他者を傷付ける様な人間では無い。


 相手が自分の事を分かっていないだけ、誤解されているだけ。

 相手が自分に気に食わない所があるから、自分の言動を悪く捉えているだけ。

 誤解さえ解ければ、相手が正しく自分の事を理解さえすれば、コチラが言っていることが()()()と分かる筈だ。


 こうして自分が正しいと思う熱量と同じだけ、相手が間違っているだろう、と思い込める。


 それでも相手が傷付いたと主張するならば。

 それは相手の受け取り方が悪い、相手が悪い、となる。


 もし嫌だったなら先に言ってくれてれば良かったのに、そう無意識に他者へ責任を押し付ける。

 そんなに嫌だと分かっていたら自分はそんな事はしなかった、しない筈だ。

 何故なら自分は善人だから、又は普通の人間だから、と無意識に信じている。


 自分は正しい、自分は普通だ、と無意識に盲信している。


 そして理解を示して貰えないだろう相手には何を指摘されても、そんな事は無い、そんなつもりは無い、と軽く謙遜や流す事は出来る場合も有る。

 自分の事を理解されてないから当然だ、良く話せば分かってくれる筈だ。


 けれど理解者だと思い込んでいる相手から、批判を少しでも含んでいると思える言葉が出たら、自分が少しでも攻撃された、と猛烈な勢いで自分の正当性を主張する為に反撃に出るか。


 理不尽な目に遭っている、と泣くか。

 ココまでされる程の事は言って無い、していない筈、自分は悪くないのにどうしてこんな酷い事を言われなければいけないのか、と自分を棚上げし。

 過激な場合、どうしてこんなにも酷い事を言われなければいけないのか、それはこの人が自分を攻撃したいだけなのだ、と曲解し、正当化し、自分は悪くないのだとの結論に至る場合も有る。


 根本には、身内に自分が優先されて当然だ、身内なら当然自分の事を分かってくれているだろう、と言う無意識の押し付け。

 そして極めつけは最初の大前提に戻る。


 だって私は善人だし、悪意は無いんだから、と。


《ほう、そこに戻るか》

「要は無意識に子供レベルで幼稚なんだよね。酷く肯定的で自尊心が高い、子供の頃の万能感を無意識に引き摺り続けているから、指摘されると怒るか泣く、子供の様に」


《要は酷く子供なんじゃな》

「そうだねぇ」


《お、ネイハムが帰って来るぞぃ》


 桜木君との落差を見せ付けられて、どちらに傾くかなんて誰にでも分かるよね。

 それにしても、武光君はココまで見抜けてたからこそ、釘を刺したんだろうか。


 なら、もう少し上手く立ち回ってくれても良さそうだけれど。


《ただいま帰りました》


「お帰り、いやぁ、キレたねぇ」

《かなり抑えた方だとは思うんですが、もう少し加減するべきだったでしょうか》


「いやいや、ドリアード君から実に有意義な心情描写を聞けたから。うん、良い成果を挙げたと思うよ」

《そうですか》

《これこれ、有意義じゃと言われたんじゃし、聞かせてしんぜよう》


 あぁ、お喋り好きで助かります。


《あぁ、防衛機制の過剰反応ですね。自己防衛の為に分かって貰えない事へと意識と本題を逸らし、悪意が有ると注意されたと認知を歪め、悪意は無かったのだと言い張る。例え説得しても自尊心や肯定感で認知が歪み続け、決して引かない、媚びない、省みない。同じ所をグルグルと回り続け、定期的に人を不快にさせる。桜木花子の引き籠りに大賛成ですよ、ココでもそう言った人物は一定間隔で存在してますから》


 自尊心の高さと論拠の無い肯定感、他の患者に分けてあげたいよね。

 そして本題と本質を()()()理解しない性質、コレを意識的に操作出来れば、両方合わせて最高の交渉人になれる人材なんですけどね。




 魂を削り取る、魂を吸う悪魔とは、こう言った方々と接して生まれた湾曲表現や抽象表現なのかも知れませね。

 久し振りに、酷く消耗した気が。


「いやぁ、実に勿体無いですよねぇ、意図的に操れたら交渉人になれるのに」

《また何を呑気な》

《ふむ、エナがマサコはジョーカーだと言っておるが、どう言う事じゃ?》


「あぁ、ハズレと言わない優しさに感服ですね」

《4人目だからと言って、それが有効なカードとは限らない。そうですね、バイアスが掛かってた様です》

《じゃがジョーカーは大概の場合は大当たりじゃろ?》


《タロットなら愚者、そして多様性からして非常に危ういトリックスターだと言う事ですよ》

《ふむ、幼い時のロキか、大ハズレじゃな》

「けれど切り札にもなる両側面を持った最弱のカード、最も弱いって事は、誰かの切り札に混ざり最後まで保持していたら負ける。けど途中でルールが変わったら、持ってる者が勝者になれる」


《ふむ、ロキじゃな》

《かも知れませんね》

「ふふふ、惚れちゃったかい、彼女の人の良さに」


《そうですね、あんな約束をして後悔しています。ですけどアンカーには勝てないと踏んでいますから、彼に期待する方へ方向転換させました》

「おいおい余計な事もダメなんだからね、精々我慢してくれたまえよ」

《じゃの、我も我慢しとるんじゃ、お主も我慢せい》


「あのネイハム君を傾かせた灯台の神秘。いやぁ、実に良い時代を生きていますね、我々は」

《落差でしょう、一時的な落差》

《どうじゃろなぁ》




 中性体なら夢を見るかも、と。

 パンツだけで、コンちゃんのスベスベと毛布のふわふわを全身で味わっております。


「ぁーーーー」

《ふふふ、子供みたいですね》

『ご主人様だって赤ちゃんだもの』


「はぁ、子供の頃にこの発散方法を知ってたら、もう少し真っ直ぐ育ったかも」

《それは、どっちの事ですか?》

『多分、大声の方だと思うの』


「正解」

『えっへん』

《流石先輩ですね》


「そうなるのか」

『なの』

《ですね》


 あぁ、アンリちゃん達にぬいぐるみをと思ったんだけど、ダメか。

 何も渡せない、文化侵略や混乱を招くかも知れないから。


 どうにか避難組に加わってくれないかな。

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