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2月3日

 今日もハナは夢を見れなかった。

 だが、夢を見る機会はまだ有る筈だ。

 有ってくれ、頼む。


「おはよう(メイメイ)

「おはようグーグ」


 あぁ、今日はマサコが来る日か。




 タケちゃんに言われ、新しく来た召喚者の子と性別を変えてのご挨拶。

 あぁ、アレクを女性体にしとくべきだったかな。


『あの、それで今日からココで?』

「あぁ、先ずは天使から説明して貰うか、転生者の事もな」

『はい、では……』


 天使さんは性別無いから平気なのかな。

 つか性別無いかどう、どうなんやろ。


「ワシ向こうに行ってるわ」

『じゃあ僕も』


「ルシフェルさん、性別ってどうなの?」

『あぁ、イメージによるよね、ガブリエルは受胎告知に関わるから女性的だろうって。そうイメージを受けて反映するんだ』

『そうなんですね』


「じゃあルシフェルさんが実は女性だと思えば」

『うん、君が望むなら』


 いやー、召喚者じゃ無かったら勘違いしてたね。

 危ないわ、見目麗しいって危ない。


『ルシフェル、君にも挨拶がしたいらしいよ』

『そう、じゃあまた後でね』

「おう。にしても大丈夫かな、向こうじゃ悪魔扱いじゃん?」

『へ、あ、そうですね』


「どうした」

『いえ……本当に性別に拘りって無いんですか?』


「まぁ、今が今だし」


『あの、こう、好みとかって、有るんですか?』

「エミールとかルシフェルさんとかかな、タケちゃんと賢人君以外なら大体は好み」


『僕ですか?』

「おう、女の子でも可愛いし、何なら羨ましい位だわ」


 いやいやいや、顔を赤らめないでおくれよ、オバチャンでブスやぞ。


『あ、えっと』

「あ、マサコちゃんには興味無いから大丈夫、多分異性愛者やで」


『そうなんですね』


 何か、気まずいのは何でだろうか。




 ハナ、ソッチでフラグを立ててどうする。


「ちょっと良いか?」

「あ、おう」

『はい』


「性別を入れ替えて有ると説明して来て納得はして貰えた、で、俺はこのままニーダベリルへ案内するんでな、紫苑はこのままココで待機しててくれ」

「おう」


「それで、エミールはどうする」

『僕は、僕も行きます、練習してきますね』

「おう、ケガは程々に」


『はい』


 今回は相性が悪いと告知する必要も無さそうだが、拗れる前に引き出しておくか。


「世話になる」

『宜しくお願いします』




 エリクサーを作っては収納して。

 アレクの胃腸を整えたり、筋肉を付けさせてみたり。


 ワシ、足手まといでは。


「アレク、元魔王の気持ちが分かったわ」

「へ?」


「足手まといじゃん、移動魔法が無いから誰かと一緒じゃないとダメだし、武器とか格闘はサッパリだし」

「魔剣が有るじゃん」


「前回の戦闘じゃ役立たずだったやん」

「いや、思いっ切り技とか出して無かったじゃん。周りの事を気にしないでぶっ放してたら、また違ったかもよ?」


「気に、そうか、公園を壊さない様にって無意識に加減してたのか」

「かもだし、他のも巻き込みたく無かったからじゃね」


「なら良いんだけど、自信無いままよ、ずっと」

「厄災が災害ならエリクサーって重要だと思うけどな、体力回復にも繋がるんだし、土地だって回復させられるじゃん」


「はぁ、早く得たいな」

「良いじゃん、俺が居るんだし」


「脆いじゃんか」

「それさ、どっかの神様に丈夫にして貰おうかなって思ってんだけど」


「してくれるかね?」

「俺はシオンの一部、付属品、だから介入にすらならないって事で良いじゃん」


「強引な、してくれるなら良いけども」

「何か候補居ない?」


「居るが、タケちゃんと相談したいんだけど」

「おう、ちょっと聞いてくるよ」


「おう」


 ワシがスッと言って聞ければ良いんだけどな。

 やっぱり足手まといやんな。




 アレクが体を丈夫にしたい、と。

 ハナが俺と相談したいと言ってくれて喜び勇んで浮島へ来たんだが、溜め息をついて。

 俺がクトゥルフを得る事を待たせたばかりに、精神的に負荷を掛けてしまって。


(メイメイ)

「あぁ、アレクの体なんだけどさ……」


 リスク分散の為に、今回はエジプトで紹介して貰おうか、と。

 人造従者の事も有るし、俺も同行しよう。


「よし、行こう」

「いや、マサコちゃんは」


「ミーシャとサイラ、それにエイルにも任せて有るし、アクトゥリアンも得た」

「そうか、うん」


 すまん、本当にすまん。




 タケちゃんが従者と言うか、影武者を作りたい、と。


「こう、俺に似て」

「ちょいちょいちょい、そう命をホイホイと」


「いや、前から考えていたんだ。後の事はチェリ子に任せる事になるが、潜入や補佐に信頼出来る者が必要だと考えていたんだ」

「だからって」


「勿論人権は守る、非常時以外はリサイクルもする気は無い」

「ワシが弱いからって」


「いや、そこじゃないんだ。従者の弱さを知っているだろう、そこを補う為に過ぎない、従者を守る為でも有る。俺らに腕は2本しか無い、それを増やすか延長させる為だと考えて欲しい」

「じゃあ、帰ったらどうしたら良い」


「残った者と相談して、幸せを考えてやって欲しい」


「分かった」


 そうよね、エミールも残るかどうかだし。




 昨日に引き続き、今度は神様が作った人造従者を紹介されて。


『え?』

「捨て駒にする気は無いから安心してくれ」

「腕は2本しか無いから、それを増やすか延長させる為なんだと。ワシらだけじゃなくて、従者の為でも有るらしい」


「まぁ、ぶっちゃけ俺らって弱いっすもんね」

「いや、タケちゃんが強過ぎるって事にしておこう」


『それで、お名前は?』

「ドゥシャ」

「付けさせられた」

《宜しくお願い致します》


『あ、はい』


《ふむ、アレが起きたぞぃ》




 未だに整理出来て無さそうなエミールはタケちゃんに任せ、神様のホムンクルスの居る小屋へ。


『おもきえな』

「おもきえな?」


『なまえ、あなぐらむ』

「あぁ、うん、先ずは嚥下の練習をしようか」


『うん』


 可愛いなおい。


「あ、先ずはトイレか、出来るかな?」

『がんばる』


「ぉ、おう」


 コッチは紫苑だし、軽いからと抱っこしてトイレへ。


『できたー』

「パンツ履けるかー」


『がんばるー』

「おーう」


 トイレ内でゴンゴンぶつかってたけど、パンツは履けたらしい。

 けどドア開けられないの可愛い。


『あけてー』

「はいはい」


『つかれた』

「でしょうね、手を洗っ、いや、そのまま風呂で良いか」

「え」


「ダメ?」

「いえ、紫苑さんがですか?」


「ダメ?」

『だめじゃない』

「あ、はい」


 ショナに補佐して貰い、入浴介助。

 コレで感覚が色々と分かってくれたら良いんだけど。


 溺れんの。


「水中で座るのも難儀かよ」

『みたい』


「もう、このまま嚥下の練習するか」

『うん』

「紫苑さん、変わりますよ」


『やだ、しおんがいい』


 可愛いなおい。


 トロミ付きエリクサーで練習。

 普通に嚥下出来た。


「原始反射だから平気なのかね」

『みたい』


 直立だけなら可能、歩くとなるとまだまだ。


「喋れる赤ちゃん」

『なんぎ』


「ですよねー」

《ほれほれ、補佐してやろう》


 植物で全身を支えて貰って、何とか歩行。

 つか操られてる感じにも見える。


「操り人形」

『しかたないでしょ、あかちゃんなんだから』

《そうじゃのぅ、くふふふふ》




 エナさんが起きてから、紫苑さんの笑顔が劇的に増えた。

 そして世話好きなのか喜んで神様の介助をして、お世話をして。


 今はエリクサーを作りながらニコニコと見守って。


「紫苑さん、お世話好きだったんですね」

「いや、アレ面白いじゃん、面白くない?」


「こう、面白いと思って良いのかどうか」

「神様が人間になろうとしてんだし、良いべ。がんばれー」


『お-う』

「あ」

「拳を上げてコケるんかい、がんばれー」


『おーう』

「可愛いな」

「あ、はぁ」


 正直、僕はどう思えば良いのか、未だに処理出来てません。




 人間の器を得た神様に会いに、桜木花子の浮島へ。


『おもきえな』


《オモイカネのアナグラムですか》

「おぉ、流石先生」


《いえいえ、では検査をさせて頂きますね》

『うん』


 原始反射や感覚に問題は無し。

 尿意や空腹感も認知出来ており、魔法が使えないと言う点以外は通常の人間と同じ。


《どうして魔法を使えない設計にしたんですか》

『あぶなくないとしめす』

「こう、舌を噛まないかが不安」


『なおして』

「なおすけど、気を付けないと学習出来ないよ」


『それはそう』

「分かってるなら良いんだけど」


 男性体の桜木花子だから機嫌が良いのか、世話好きだからこそ世話が出来る対象が居て機嫌が良いのか。


《祥那君、少し良いですかね》

「はい」


 桜木花子とは対照的に、落ち込んでいると言うか、躊躇ってると言うか。


《機嫌が良い理由は何だと思いますか》

「世話好きだったからか、顔か、かと」


《顔?》

「メンクイだそうですし」


 そう不機嫌なんですか、成程。


《コンプレックスが有りそうですし、簡単に存在意義が示せて安心しているのかも知れませんね》

「自信が無いだけなんでしょうか」


《可愛いモノはお好きだそうですから、暫く見守ってみましょう》

「はい」


 コレは、自覚させるべきなのか、保護者に報告すべきか。




 ネイハムからショナ君の事を聞く事になるとは。


「で、どうして俺なんだ」

《信用を得る為です》


「ハッキリ言うな」

《どちらも驚かない処か寧ろ喜んでいる、私は完全に策略に嵌っている様ですね》


「いや、信頼を得ようと動いてくれた事と、ショナ君に恋心が芽生えた事が嬉しいだけだ」


《本当に、まるで過保護な父親ですね》

「あの病歴だ、過保護になる気持ちも分かってくれ。それに、俺が移動魔法を得る事を遅らせてしまったんだ、罪悪感だって当然有る」


《リスク分散を考えての行為ですし、アクトゥリアンも居るんですから、そう罪悪感を背負われなくても》

「クトゥルフは素養だ、そして神々や精霊は気まぐれでも有るだろう、今後得られるかどうか。ならそれがこの先の運命を変えるかも知れない、もう既に変えてしまったかも知れない。悪い方へ、良く無い方へ」


《なら補佐をしましょう、出来るだけ悪い方へ行かない様に》

「あぁ、頼む」


《アナタもですよ、さ、行きましょう》




 ネイハム先生とタケちゃんが普通にしてる、もう警戒しなくても良いんだろうか。


『しおん、はやくごはんがたべたい』

「いや、まだ重湯だろうよ」

「そうですね、食べてみますか?」


『うん』


 もうね、絵面が可愛い。

 写真を、いや動画か、良い具合に繋げて無限ループで動画を流してたいな。


 眼福。

 ずっと見てたいけど、眠いなぁ。


(メイメイ)、寝るならハナになっておけ」


「ぁあ、うん」




 結局ハナはドリームランドへは行けず、俺はマサコ用にマイケル補佐を迎えに行き、補助として付ける事に。


『宜しくお願いします』

『はい、宜しくお願いします、マサコさん』


 次は卵か。

 なら事前に親を捕まえ、交換を申し出てみるか。


「ドリアード、マサコの神獣の親が来たら足止めし、俺と会わせてくれ」

《ふむ、別に良いが、どうしてじゃ?》


「男性不振気味だろう、オスが来て揉めては面倒なんでな、少し親と話し合いたいんだ」


《ほぅ、じゃが》

「いや、邪魔するつもりも、持って帰れと言いたいワケでもない、頼む」


《まぁ、足止めには期待せんでくれよ、我とて万能では無いんじゃし》

「あぁ、頼んだ」


 もう、首を突っ込むならとことんだ。

 そして出来るだけをして、後は待つ。

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