2月24日
日の出と共に起きて、またヤって、客だからか入浴介助をされて。
けどメシは1人。
あぁ、男は好きじゃない方がヤり易いから、そう好きでも無い女とするんだろうか。
『おはようございます』
「おはようアンリちゃん」
そんで好きでも無いから余裕が有って。
そうか、そんなにプライドが大事だったのか、ショナは。
『今日も、礼拝はして頂けませんか』
「おう、すまんね」
『いえ』
「色々な仕事場とか見学したいんだけど」
『はい、ご案内致します』
しかも自分に興味が無さそうだと落としたくなるのは、自己顕示欲と自分自身への挑戦。
要するに暇だから、有益な趣味の無い暇人の暇潰し。
ましてや体力と性欲が余ってるなら、良い運動になるものね、エロい筋トレ。
「力作業は男、細かい作業は女なのか」
『はい、女性は妊娠しますので、特に母体は最優先されます』
「作業場はもうコレだけ?」
『後は、刺繡部屋が有りますが』
「見たいな、是非」
『はい、では』
最後にした理由が分かった。
明らかに幼い子が1人、真っ青になりながら刺繡してるし、ルト刺繡部屋の女性は知り合い同士みたいだし、女性が多いし。
「子は、ココでも宝だろうか」
『はい』
「君が不可触民なら、ワシは何」
『稀人、歓迎すべき食客です』
「マレビト信仰に食客ね、不思議な文化だなぁ」
この会話にビクビクと反応してるのは日本語の分かる現地民、真っ青になってる刺繡が下手な子。
タケちゃんが言う様に転生者か、罠か。
『あの、そろそろ』
「あの子は女の子?」
『いえ、男児ですが』
「あの子が欲しい」
『その、同性は禁忌でして』
「友人にと思ったんだけど、君はワシをそんな風に見てるんだ、成程」
『違います違います、あの、では刺繍が終わりましたら、お部屋にご案内致します』
「手伝ったらダメなの?」
『あの、はい、花嫁用なので』
「ならあの子も花嫁なんだ」
『はい、神様の花嫁です』
「じゃあ失礼が無い様にしないとね、待ってるよ」
そう穏やかに待たせてくれるワケじゃなかった。
ルトの知り合いが日本語を学習した状態でやって来て、思いっきり誘われたけど、ルトと穴兄弟になりたくないので拒否。
《私は好みではありませんでしたか?》
「ルトと親しそうだったので、向こうでは避けるんですよ、そう言うのは」
《そうでしたか、ルトは家族、兄です》
「弟では無いのか」
《もう1つの言語では、ブラザー、妹はシスターと》
「あぁ、けど寝てるでしょう、ルトと」
《はい、家族ですから。シスターとブラザー、そして父と母が家族の呼び名です》
「夫婦の概念は無いのか」
《複雑ですから》
「そう、残念ながら向こうでは知り合いの兄弟や姉妹と簡単には寝ないし、さっきの子の方が今は気になってるので」
《そうでしたか、では直ぐにお呼びいたしますね》
「はい、宜しくどうぞ」
そして再び一服しに行こうとすると、アポロ君の部屋へと案内される事になった。
テラス付き、今日からこの部屋で過ごして良いらしい。
そしてアポロ君の怯えっぷりよ、中身も男ならそら怖いか。
「ニーハオ、ハロー?」
「こんにちは、転移者様」
「日本語を習得されましたか」
「はい、神様に英語と呼ばれるモノもいくつか」
嘘無し、先手を打たれたか、転生者を装ってるか。
「生まれ変わりや転生と言う概念や、知識は有りますか?」
「知らないです、分からないです」
嘘。
転生者かも、どうしよう。
この仔山羊の状態だと嘘かどうか全く分からん。
そしてハナやアレク達が抜け出た様に影から出ようとしたのだが、全くどうにもならん。
本当に見守らせるだけなのか。
ならもうハナが襲われる事は無いのだし、もう、寝てしまおう。
諦めてコッチ来ちゃうか。
「どうだ」
『ハーレムの心得を聞いてる最中、蜜仍君もね』
「あぁ、そう巻き込むのか。だが」
『まだ未成年だからね、そう上手くはいかないでしょう』
「ツナギか」
『と言うか、先生、普通に好きっぽいよ』
「嘘だろう」
『ほら』
「嘘、だろう」
『表に出ないのがエルフの特徴みたいだし、興味から好意に移ったんだろうね』
「はぁ、俺が先んじたばかりに」
『でも大団円にはなりそうじゃない?』
「俺は、ショナ君とだけくっ付いて欲しかったんだ」
『それってハナちゃんにとっての幸せになるのかなぁ』
「どう言う事だ」
『だってさ、名前も何も変えたハナちゃんって本当にハナちゃんだと思える?性格だって変わるかもって事は、中身まで変わっちゃうじゃん。もう別人だよ』
「少しは変化するにしても、生きていたら変化する事も」
『それにショナ君が対応出来るか、だし。しかもそうなったら召喚者も降りてて、エミール君とも会わないってなるとさ、本当にもうショナ君だけになっちゃうんだよ?幾ら万能でも、体は1つ、腕は2本しか無い。けど友人で家族で夫婦でって、そこまで器用な子なのかな』
「それは、だが」
『君は嫁や子供の為なら頑張れるかもだけど、恋愛の事も良く分からない子に補佐が付いたからって上手く出来ると思う?どう頑張ったってさ、何処かで抜けが出るから、離婚とか別れって有るんじゃないの?』
「そこはショナ君の成長を」
『待てるかなハナちゃん、好きなら、好きだからそこ求めるって事が有るじゃない。ショナ君の役割って多いし大変だと思うよ、だってココでは孤児なんだもの』
「そこは」
『我慢させるの?いつまで?それに子供が出来たらどうするの?流石に身がもたないんじゃないかな』
「ハナに」
『我慢が利けば良いけど、中身が変わってたら難しいかもじゃん』
「たしか、に、そうだが」
『まぁ、最悪の場合を想定して話してるだけだし、上手くいく可能性は有るとも思うけど。上手くいかなかったら犠牲になるんだよね、子供が。その責任が負えないのに、ショナ君だけって意固地になって本当に良いのかな?』
「俺は、酷く間違えてしまったんだろうか」
『結論を出すにはまだ早いよ、それに、意外と上手くいくかもなんだし』
「そう、か」
『そうそう、だってほら、ショナ君笑顔だよ』
ハナちゃんを待つと決めたショナ君、ニッコニコだけど、そう良い様にいくのかな。
俺も、感情の起伏って大好きなんだよね。




