2月21日
情報共有の阻害をした、と、武光君からの訴えで国から注意が入ってしまい。
コレは、話し合うべきかどうか。
「君も君でコントロールしようとするからだよ」
《別に私はそんな》
「魔王や大罪化しない様にって、さっさと安定させようとしてるじゃないか。支えるを超えてるよ、強力なナビゲーターじゃないか」
《大罪化しても良いんですか》
「そんな馬鹿な子なら、帰って来て無いんじゃない」
《そうですが、運の要素も》
「だとしても、向こうで大罪化する可能性も有ったんだ。そこを無視してるじゃないか」
《無垢で無辜なのに、更に向こうでも罪悪感を抱えさせられたんですよ。だからこそどうにか誰かに、見合うべき誰かへと視線を向けさせた方が》
「君で良いじゃない」
《それは最終手段と言うか》
「まぁ、どんな好意であれ君が自覚してコントロール出来てるなら良いんだよ。問題はどう興味が有るのか、副産物だけなのか、彼女も含めてなのか」
ネイハムから直接謝罪を受けたが、個人情報は保護する、と。
「そうだな」
「いや、二度手間は省きたいんじゃが?」
「なら、俺に言うなと言われた部分については俺も聞かない。コレでどうだ?」
《はい、承りました》
コレで結界を張った時だけ、俺に情報は伝わらない。
が、夢で確認が出来るからな、コレはあくまでも牽制だ。
「よし、じゃあ良い子にしてるんだぞ。ロキ神も、頼む」
「おう」
『うん』
このまま、出来たら俺が指名されてくれれば。
穏やかよな。
エリクサー作って、作物生やして、時に加工して。
アレクやタケちゃん、エミールからメシ貰えるし。
うん、やっぱり引き籠もり最高じゃんか。
「ショナ君、君に買って来て欲しいモノが有る」
「はい、何でしょうか?」
下着。
召し上げ様に準備してくれ、と。
こう誂う気持ちに切り替えれば良いんだったわ、うん、楽。
桜木さんの精神科医の方と相談して、女性体で買い物へ行く事にした。
もし気持ちを気付かれているなら、試されているのかも知れない。
気付かれていないなら、遠ざける為に試されているのかも知れない。
若しくは、単に誂っているだけかも知れない。
あるいは第3世界の方と同じ様に接する為の切っ掛け作りで、距離を置く為の作戦かも知れない。
僕としては、女性体のストレスを感じて欲しいだけなのではと。
それは表面上には存在しているだろうけれど、更に奥深くに何か有ると思っておいた方が良い、と。
本当は先生にも一緒に選んで欲しかったんですが、断られ、アレクと共に買う事に。
「サイズ分かってんの?」
「メモを頂きましたのでお渡しします、僕は見てないので、サイズは」
「ん?コレ、なぞなぞ?」
誂われてるだけな気がしてきた。
色は無難な白と黒の2種類。
「おぉ、ありがとうございます」
「いえ」
この微妙な反応は、なんだ。
「普通にサイズ有ったのね」
「はい」
かなり素っ気ないな。
うん、コレを思い出に、やっぱり諦めよう。
誂われるんだろうと身構えていたせいなのか、アッサリと桜木さんが引き下がった。
そしてサイズの事は僕は分からないまま、アレクがなぞなぞを解いて買ってくれたけれど。
もしかして、それがバレていてガッカリさせてしまったんだろうか。
「で、どうだった?」
「誂われは、しませんでした」
「へー」
何か、間違えたんだろうか。
「あの、コレは結局何だったんですかね?」
栓抜きを使って引く数を出し、答えを導け。
せたけみんせんつん。
4-8402-0654-6 引く事の-2、は。
「あの数字の列は検索したら出た、本のコードみたい」
「あぁ、確かに、そもそも検索すべきでしたね」
転生者様が書いた漫画だけど、F90、あぁ。
「ウブだよなぁ」
「すみませんね」
「でもまぁ良いんじゃない、俺みたいなのはきっと無理だろうし、譲るよ」
「何を、どうしたんですか?」
「ハーレムに入るかどうか聞かれて、俺は無理だろうなって思ったから。なら、ショナなら良いかなと、思って」
「どうしてそんな」
「それこそさ、お前が綺麗だとすると俺は汚れてるなって、思って。汚したくないし、ならショナじゃん」
「そんな、確かに元魔王だとは思いますけど」
「凄い事もされてる記憶あんの。多分、セバスの邪魔になるから俺の方にだけ有る記憶で、最初は役に立つかもって嬉しかったけど。初物が好きってのは時代が変わらないからさ、無理だろうなって」
「そん、桜木さんがどう思うかは」
「じゃあショナだったらどうすんのさ、他の男の影に怯えないでいられるか?前の方が良かったのどうか、順位付けされるか最初から1人しか知らないか。全然、違うだろ」
桜木さんが帰って来てから、ずっと考えない様にしてた事。
誰かと付き合ったりしなかったのか。
居たとして、僕は上手く出来るのか。
「僕は、比べられる側になる、かと」
「な、マジか」
「従者が、僕の夢だったので」
「いや、うん、何か、相談してくれたら少しは何か、言えると思うぞ」
「あ、ありがとうございます」
「おう」
ハナの為に買い物に行っていただけなのだが、少しの間に態度が変わっていた。
ほんの少しだが、ショナ君に尻尾を振ってたのが見えなくなったと言うか。
ショナ君の態度も少し、ぎこちないと言うか。
「メイメイ、少し良いか」
「おう?」
「疲れたか、どうした」
「なん、そんな表に出てた?」
「いや、勘だ。ショナ君とケンカでもしたのか?」
「諦めるのは、早い方が良いじゃない」
「待て待て、どうしてそうなる」
「記憶を失っては欲しくないもの、従者と召喚の記憶は、ショナには大事だろうし。遺伝子を変えて能力を失うのは怖い、また転移したらと思うと選べない。なら、ハーレムか召し上げか、だったらショナを巻き込めない」
「そんなに好きなら、だからこそ、まだ諦めないでくれ」
こんな風に泣くメイメイを俺は見た事が無い。
ポロポロと、声も上げずに、諦めた様に無気力で。
まるでもう失恋した様な。
「もう我儘は言えないよ、ショナにだって家族は居るんだし、説明出来ないもの」
「それでもだ、俺にもう少しだけ時間をくれないか」
「期待、しないよ」
「あぁ、少しだけ。何も行動には移さないでくれ、頼む」
「分かった」
コレは早々に気付かせた俺のミスか。
どうにか、何とかしないと。
ハナちゃん、キュンキュンするわ。
良い子だから諦める道を選んでさ、それでも意識しちゃって可愛い。
けど頑張る時はちゃんと頑張って、向こうで貰った種を増やして、おタケに渡して。
後はもう考えない様にって料理に集中して、ふと我に返ってショナ君を見て安心して。
1人寝が怖いからって、神獣と外で寝るなんて、健気で可愛い。
『可愛いねぇ』
「おま、アナタは随分とサドの気質が有るんだな」
『うん★』
「悲しませたく無いんだ、頼む、何か力を貸してくれないか」
『いやぁ、俺は万能じゃ無いし、君が知る知識と同程度しか無いからね?』
「そうなのか」
ごめんね、俺はココだと、何て、無力なんだ。
って感じなんだよね。




