2月20日
第2の本編、召喚者の病弱日誌ー永住を決意したのは良いんですがーと繋がる目途が付いたので連載再開です。
本来通りハナが頬にキスをした所で、俺も目覚めた。
ハナが帰って来る日だと思い、日本時間の早朝に合わせていたんだが。
前に、何時だったのかを聞いて無かったんだった。
「はぁ、俺は全く」
「タケミツ、起きてたんだ。やっと帰って来たよ」
「アレク!」
ハナが、帰って来てくれた。
病院前で桜木さんが武光さんに持ち上げられ、ぐるぐると振り回されている。
「タケちゃん、たんま」
「おぉ、すまん、酔ったかメイメイ」
「ちょっと。ただいまグーグ」
「お帰りメイメイ」
そして検査や面談中には爆睡し、終わると先ずは浮島へ。
一瞬、桜木さんが好きなのかと勘繰りそうになってしまったけれど、その印象は直ぐに消えた。
ざっと言うと、浮島から出るな、と。
出る時は紫苑でと。
「そんなヤバい奴らなん?」
「使節団は何も知らないらしく表面上は問題無いんだが、あの化け物を送り込んで来た奴らかも知れん」
「あぁ」
「それと、夢の黒山羊もどっちか分らんから、見付けたら先ずは俺に言うんだ、良いな?」
「お、おう、でも」
「先ずは1〜2日の辛抱と思ってくれ、隠し球だ、良いな?」
「うい」
「よし、皆の所に」
「あ、ちょっと待って」
淡雪を取り出し、開花させる。
無事に花と同時に生まれてくれた。
《成功したわね、愛してるわ》
「うん、良く頑張ったね、ありがとう」
「李 武光だ、宜しく頼む」
《第2世界から来た淡雪よ、宜しく》
流石コミュモンっても1週間だもんな。
そんな変わらないか。
「それで、どうしたんだ?」
「ショナとかが居ると、話すのは、気まずい」
「分かった、俺もか?」
「いや、まぁ、うん、グーグだから大丈夫だけど」
「なら、俺だけに頼めるかドリアード」
《しょうがないのぅ》
タケちゃんにショナを連れ出して貰い、温泉でドリアードとクエビコさんと情報交換。
ショナ君と共に久し振りに食事の準備をしつつ、ドリアードからザックリとした話を聞く事に。
うん、実にザックリだが、見た事と相違は無いな。
そして回復後、先ずは俺から順に魔道具が齎される事に。
それからショナ君、コレも同じで一安心だ。
次にエミールも呼び、白雨やアレク達にも、そして其々に泉や温泉で魔素の回復をする事になった。
「タケちゃん、マサコちゃんは」
「事情を話して無いのと、第2地球に警戒させたく無いんでな、控えて欲しい」
「あぁ、無理は無理なままよね」
「他に、何が有ったんだ?」
「あぁ、うん、いつかバレるか。お嫁さまが出来てしまいました」
桜木さんに、お嫁さんが。
お婿さんでは無く、お嫁さん。
櫛のやり取りで縁が出来上がったと神々が認めた仲で、だからこそ帰還出来たのかも知れない、と。
「そうか、寝たのか?」
「は、してないわい」
していても仕方無いかも知れないと思っていたのに、つい、安心してしまった。
つい、嬉しく思ってしまった。
《なんじゃ、何も、か》
「頬には、帰れるかなと、寝てる時に。それで気が付いたら小屋に居て、コレは先ず病院だなって」
悔しい様な、お相手の方が羨ましい様な。
「切っ掛け、か。無事で何よりだ、良く帰って来てくれた」
「おぅ」
「よし、兎も角は。そうだな、魔石で補給は出来無いんだろうか?」
可能だそうで、魔石で補給すると暫くして桜木さんが眠気を訴えた。
ハナと一緒に寝て、起きて。
今回は夢を見れなかったが、リズを呼び、食事会となった。
「うん、五体満足で安心したわ」
そうだ、それだ。
何を勝手に何とかなると思っていたんだ
「だな、うん。確かに、ココの義手はどうなっているんだ?」
「確かに、義体はどうなってんの?」
「なんか、勢いが一緒で安心した」
そうしてリズに義手や義体について話して貰い。
「よし、最悪を想定して作って貰うか」
「ただな、俺も頑張ってるんだが、アレは文字だけじゃ模倣が難しいんだよ」
「有るでよ、ドリームランドに映画館、専門家入れるべ」
「あぁ、そうか、検討させてくれ」
「俺からも頼む」
コレで少しは時間が稼げて。
稼げたとして、俺が選ばれるのだろうか。
それからタケちゃんやアレクが虚栄心を連れて来てくれて、もっと何かを作ろうとなった。
映画館より安全そうな、夢見る機械をと。
創作物系なら強欲さんもと呼び寄せて貰い、設計する事に。
ショナも普通にしてくれてるし、一安心。
そう、一安心だと帰って、暫くするとドリアードから知らせが。
ロキがクエビコ神の元へハナを連れ去った、と。
しかもハナの状態のままで。
少し、殺してしまいたいと思ってしまった。
厄災に関係無いのだし、次は殺すべきか。
《すまぬ、止めたんじゃが》
「コレでハナが死ぬ事になれば、絶対に許さない」
俺にも、本当に本気の殺意と言うモノが有った。
それに気付けた事にだけは、感謝する。
ロキにまた連れ去られ、タケちゃんに怒られる前にと直ぐに浮島へ戻ったのだが。
タケちゃん、怒りの形相。
つか、コレ殺意だ。
『え、俺とヤり合う?』
「あぁ、ハナを危険に晒したんだ」
ワシの為にこんなに怒ってくれた他人って、病院の先生以来だわ。
そう頭を少しばかり寄り道させたせいで、止めるタイミングを逃した。
盾を出すつもりが、完全に近接でヤり合って盾を割り込ませる隙が無い。
「もう殺しても出ないから、止めては、くれんよね」
正直、タケちゃんに勝って欲しい。
前衛でも後衛でも、全員が強い方が良いだろうし。
勝てた。
だがショナ君の桜花が有っての事、厄災に関係無いにせよ、俺の力だけで勝てないのは純粋に悔しい。
「はぁ、俺の力だけではロキには勝てないんだな」
「いや、あの近接凄まじかった」
「あの、どうしましょうか」
「血塗れだものなぁ、ナイアスを汚すのもアレだし、生き返らせるか」
ハナの回復魔法はやはり桁違いだった。
速度がもう、そして蘇生も。
『あの剣俺も欲しい』
「蘇って最初に言う事がそれかね」
『だって、何で怒ってるか分からないんだもの』
《すまぬ、情報封鎖の弊害じゃな》
ハナが狙われる事を避ける為にと引き籠もってた事を知らなかったのは仕方無いが。
「浚う様な真似はするなと前にも言ったべ」
『だって、皆に会いたいかなって、思って』
「まぁ、だけども」
「まだ、夢かも知れないと思っているのか?」
「まぁ、うん、良く戻って来れたなと思ってる。永遠に飛ばされ続けるかもって思ってたから」
「そこは俺の配慮不足だった、すまない。が」
『分かったってば、ごめんなさい』
コレでハナが指名されたら、次は何としてでも殺す。
現実感の事で、ネイハム先生を呼ぶ事に。
そして更なる衝撃的事実を知った。
土蜘蛛さんとこの血族か、狗神憑きの様な土地神と繋がっている人か、ハーレムしか灯台を抑えられないらしい。
「マジで仮に、よ」
《観上さんとは、流石に分かりませんが。井縫さんも、分かりませんね》
「ココだと」
《蜜仍君ですね》
あぁ、ショナはダメなのかと。
そも受け入れてくれるかが問題なのに、ショナはダメなのか。
「そうか、あかんか」
《それか、何もかもを変える事です。遺伝子レベルで名前すらも変えるか、死ぬか》
「話を聞きに行きたいけど、そうか」
《ハーレムは嫌ですか》
「まぁ、1人と添い遂げたかったからね」
《たかった、津井儺君ですか》
「まぁ、今さっき、ちょっと頭を過ぎった」
《でしたら、狗神を憑ける手段もありますよ》
下手したら死ぬけど、ワシならまぁ回復させられるし。
ただ今度は狗神を外す時よ、記憶喪失になるかもで。
いや、そも向こうの気持ちがだ。
「そもそも」
《気は有るかと》
「そう仮に仮定してもだ」
いや、アリなのか?
召喚者じゃない状態で出会って、それで好きになって貰えたら。
いや、この場合はハーレムか蜜仍君なのか。
なら、ワシの事を忘れて、誰かと一緒になるのか。
アレ、ワシ、好きじゃね?
でもなぁ、ワシこんなだし、半ば既婚者だし。
《ハーレムへの加入で有れば、協力致しますが》
「そら狗神は危ないものなぁ」
《そも、御本人が選ぶ事かと》
「だよな、そもワシを選ぶかよな」
2つの世界を無傷で渡って来たと言うのに、しかも神々が認めた相手も出来て、告白までされたと言うのに、桜木花子は全く自信が無いままだった。
《呪いが、強過ぎでは》
「あぁ、でも特に困って無いからなぁ」
《では、召し上げも検討されてらっしゃいますかね》
「あぁ、ロキ呼ぶか」
神ですら時に抑え込めるモノでは無い性質だと、提供された書類にも有るのですが。
『あぁ、何となく解決方法思い付いたから大丈夫だと思う』
「いや言えよ内容」
『エッチっちだよ?』
「コッチはマジで困ってんだよぉ」
『俺が分身して相手すれば大丈夫かなーって』
「あぁ、ルシフェルさんなら穏やかに暮らせそうだな。あ」
『ライバルになるのか共闘するかだけれど、君はどうしたい?』
「楽な方」
『サクラちゃん、即答』
『それは一緒に過ごしてみないとだよね』
「厄災が終わったら考える」
俺はネイハムに警戒されているらしく、結界を張られてしまい、何を話したのかを知り得たのはハナから。
ハーレムとかどう思う、と。
「他の方法は無いのか?」
「土蜘蛛さんとか狗神家とか土地のって」
「ギリギリまで俺も調べる、決めるのはまだ先で良いだろう?」
「ぅん」
「大丈夫、厄災も灯台も一緒に乗り越えよう」
「おう」
そうして何とか寝てくれたが。
「ネイハム、俺を警戒しているな」
《いえ、まぁ、念には念をですよ》
「そうか」
クビにさせるか。




